今、中東が熱い!脱炭素

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

今日のテーマは、ヨーロッパ以外の地域で脱炭素を積極的に推進している国が中東に

あります。それは、UAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビアです。

両国は、中東で脱炭素の主導権争いを行っています。そう、熱い戦いが始まっている

のです。今日はその中のUAEにスポットを当てて見ます。

中東の強国、UAE

UAEの歴史

UAE・アラブ首長国連邦は、アラビア半島の東端に位置し、オマーンとサウジアラビア

と国境を接し、カタールとイランとペルシャ湾で海上国境を接しています。

国土面積は、83,600平方キロメートルで日本の約4分の1。北海道程度です。

人口は約989万人(2020年:世銀)、アラブ人が人口の約2割ほど、その他は移民もし

くは隣国からの出稼ぎ労働者で占められています。その中でも、インド人やパキスタン

人の割合が多く、特にインド人はカースト制度の影響を受けており、上級者は銀行や

役所のトップに立っています。なぜインド人が多いかといえば、インドとヨーロッパ

との貿易の中継地としてUAEは位置していたからです。そのため経済の中心は、貿易

(絹や香辛料)、金融(金)です。また、シンガポールと同様に、税金が低いため

(消費税はありません)銀行などの金融機関が多く存在します。

しかし、その歴史は他国(イギリス)からの支配の歴史でもあります。紀元前3000年

頃にさかのぼる居住痕が存在。7世紀イスラム帝国、次いでオスマン・トルコ、ポルト

ガル、オランダの支配を受けます。17世紀以降、英国のインド支配との関係で、この

地域の戦略的重要性が認識され、18世紀にアラビア半島南部から移住した部族が現在

のUAEの基礎を作くりました。1853年、イギリスは現在の北部首長国周辺の「海賊勢力」

と恒久休戦協定を結び、以後同地域は休戦海岸と呼ばれていました。1892年には、

イギリスの保護領となりました。1968年、イギリスがスエズ運河以東撤退を宣言したた

め、独立達成の努力を続け、1971年12月、アブダビ及びドバイを中心とする6首長国

(翌年2月ラアス・ル・ハイマ首長国が参加:現在は7首長国)が統合してアラブ首長国

連邦を結成しました。首都はアブダビ、経済の中心はドバイです。

脱石油に向けた取り組み

中東といえば、石油を多く算出して経済的にも豊かな国というイメージですが

UAEはそうではありません。

OPEC加盟国の中でアラブ首長国連邦は石油産出量が第3位となっています。

2016年に日量400万バレルを超える生産をしていましたが、2017年には3.1%

減少しました。UAEの石油埋蔵量は980億バレルとみられます。そして埋蔵量につ

いては、1988年以降、ほぼ横ばいで推移しています。

アラブ首長国連邦は、人口が増えてきて電力不足が深刻化してきました。火力発電

や水力発電に頼っていましたが、それも追いつかなくなってきました。近年は大規

模な太陽光発電を行っています。

スワイハン太陽光発電プロジェクト

スワイハン太陽光発電プロジェクト:日本の丸紅などが出資している

私がドバイに住んでいたときも、地方の町では頻繁に停電が起こっていました。

理由は、電力を使って海水を真水に変えるためのプラントに多くの電力をさいてい

たからです。また、気温が高いためにエアコンなどの電力のの消費が著しく激しい

のです。また、送電線などのインフラの整備が遅れているので電力の使用制限が頻

繁に行われていました。

また、温暖化で砂漠の面積が広がってきたことも要因に上げられます。

政府は、脱炭素と石油に頼らない発電を余儀なくされています。

2030年までの温室効果ガス削減目標を31%に引き上げ

UAEは、気候変動への取り組みに関する「パリ協定」へのコミットメントとして定

めた2030年までの温室効果ガス(GHG)排出削減目標を、31%へ引き上げると発

表しました。

2020年12月にUAEが発表した2度目の「国が決定する貢献」(NDC)の中で、

2030年までのGHGの削減目標を国内の自助努力で23.5%と設定していましたが、

今回の目標はそれをさらに7.5ポイント引き上げたかたちになります。

さらにUAEは、2050年までにGHG排出量ネットゼロ(いわゆるカーボンニュートラル)

達成を目指すト発表しました(2021年10月)。同政府は目標達成に向けた「戦略イニ

シアチブ」を公表し、再生可能エネルギー関連事業に6,000億ディルハム(約23兆4,00

0億円、1ディルハム=約39円)以上を投資するとしました。

UPS は UAE の貨物輸送ミッションでベータの電気航空機をテスト

Beta Technologies の電気航空機は、間もなくアラブ首長国連邦で貨物の配達を行う

予定です。アラブ首長国連邦は、ユナイテッド・パーセル・サービスに、国境内での

貨物輸送のための電気航空機のテストを開始する許可を与えました。

アラブ首長国連邦規制研究所 は、「持続可能で環境に優しい輸送モードへの移行を

加速する」取り組みの一環として、ベータの電気航空機の貨物輸送型を運用するため

の一時的なライセンスを UPS に付与しました。

UPS が UAE でベータ版の車両の飛行を開始するとき、CX300と呼ばれる CTOL モ

デルを使用してから、Alia-250eVTOL 航空機を導入します。Alia-250 の貨物容量は

1,400 ポンドで、航続距離は約 250 マイル (400 キロメートル) ですが、CX300 は

eVTOL 航空機よりも従来の航空機の電力要件が低いため、航続距離が長くなります。

飛行試験中、CTOL プロトタイプは 1 回の充電で最大 386 マイル (621 キロメートル)

飛行しました。どちらの航空機も、貨物構成または 6 人乗りの乗客を運ぶエア タクシ

ーのいずれかで利用できます。 

ベータ、電動飛行機を開発(2023.3.16記事より)

ベータ、電動飛行機を開発
皆さんこんにちは! 電機垂直離着陸機(eVTOL)のALIA-250 を開発しているベータテクノロジーが 新たに電動航空機(CTOL)CX300を発表しました。 CX300 は、ALIA-250の固 定翼機版です。 ベータの最新ニュースと共...

2021 年、UPSはベータの Alia-250 eVTOL 航空機を最大 150 機購入して、貨物業務

使用することに合意しています。今回のCX300導入の機数についてはまだ発表され

ていません。

ドバイの「インテグレーター センター」は、UAE での EVTOL 航空機の運用をサポート

アラブ首長国連邦 (U​​AE) の当局は、ドバイでの高度なエア モビリティ (AAM) ビジネ

ス パークの開発を承認しました。この施設は、広大なアル マクトゥーム国際空港とド

バイ サウスの複合施設の一部であるモハメッド ビン ラシッド エアロスペース ハブ

 の地上インフラストラクチャ グループ VPorts によって建設されます。

12 月 7 日にドバイで開催された MEBAA ビジネス アビエーション トレード ショー

で発表された契約に基づき、カナダを拠点とする VPorts は、37,000 平方メートル

(9 エーカー) の敷地で 25 年間のリース契約を結びました。3 年間にわたる 4,000 万

ドルの初期投資によって資金提供され、建設は 2023 年に開始され、施設の最初の部

分は 2024 年にオープンする予定です。

この開発を「AAM インテグレーター センター」と呼んでいる VPorts は、eVTOL

航空機の開発に取り組んでいる企業を誘致することを目的としています。テナントは、

飛行試験のために承認された空域にアクセスでき、このサイトは、航空交通管理や

サポート サービスなど、AAM エコシステムのさまざまな側面に取り組んでいる企業

を引き付けることが期待されています。MBRAH との契約には、リースをさらに 25

年間延長するオプションが含まれています。

SkyportsとVports、どちらが早く離陸できる?

SkyportsとVports、どちらが早く離陸できる?
皆さんこんにちは! 今日は、空飛ぶクルマの離発着場、いわば空飛ぶクルマのエアポートを開発している SkyportsとVportsというライバル2大企業を紹介します。 ご存知のように、あらゆるAAM(Adobanced Air Mobilit...

ドバイサウス(Dubai South)概要

ドバイ・ワールド・セントラル・フリーゾーン(ドバイ・ロジスティックス・シティ)
は戦略的にアル・マクトゥーム国際空港に隣接し、ロジスティックス業界に向いたフ
リーゾーン。

当初貨物専用空港として2010年に開業したアル・マクトゥーム国際空港は、ジュベル

アリ・フリーゾーンにも隣接した世界最大規模の空港ですが、現在のところ、就航便
は限られた数です。

ドバイエクスポ2020の開催地区であり、今後周辺には商業コミュニティや住居コミュ

ニティが開発される予定。

入居している会社はロジスティック関係の会社が中心です。様々な業種が可能ですが、

今のところ周りに空港以外何も無くドバイ新旧市街地からも遠いため、ロジスティック
以外のビジネスを行うには向かない土地です。
VPorts は、アラブ首長国連邦を横断する eVTOL フライト用のバーチポートのネットワークを開発する予定です。

ドバイ サウスの施設には、VPorts が Vertiport オペレーション コントロール センター

と呼ぶものが含まれ、eVTOL 航空機オペレーター、バーティポート、および航空ナビゲ

ーション サービス プロバイダー間の航空交通統合と通信を管理します。同社によると、

このセンターは、貨物の積み込み、地上での取り扱い、セキュリティ検査、航空機のバ

ッテリーの充電などのタスクの管理にも使用される予定です。

VPorts は、UAE を拠点とする大学や研究機関を AAM インテグレーター センターに

含める予定です。AAM に関連する技術に携わる学者とのつながりを築くために、同社

はこれまでにカナダの 8 つの大学、シャルジャ大学、およびアメリカのシャルジャ大

学で構成される「スマート デジタル グリーン イノベーション ネットワーク」を構築

しています。

UAEとサウジアラビアの関係

UAEと国境を接するサウジアラビアは、同じイスラム国です。

UAEとサウジアラビアは同盟関係にありますが、外資誘致や石油市場での影響力など

を巡って競い合っており、イエメン内戦を含めいくつかの分野で対立する関係にあり

ます。これまでは表に出ることがなかった意見の相違が明るみに出てきており、湾岸

地域の同盟関係再編につながる可能性も懸念されています。

両国が最も激しく衝突するのが、両国が2015年に軍事介入したイエメン内戦を巡る

問題です。UAEは2019年にイエメンから地上部隊の大半を撤退させました。一方で、

サウジアラビアは内戦終結に向けてイエメンの親イラン武装組織フーシ派との直接交

渉に動くなど、UAEにはイエメンの将来に関する協議から排除されることへの懸念が

あります。

世界屈指の原油生産国である両国は、エネルギーを巡る問題でも水面下で対立してき

ました。UAEでは、石油輸出国機構(OPEC)脱退について内部で議論が行われている

といいます。脱退を決めればOPECを揺るがし、世界の石油市場での影響力低下につな

がることが考えられます。OPEC脱退はUAE指導者らの間で何年も議論されてきました

が、行動が取られることはありませんでした。サウジアラビアとの対立が深まっている

ことで、脱退論が再燃したというかたちになっています。

まとめ

UAEの脱炭素に向けた積極的な取り組みは、隣国サウジアラビアの影響もあります。

サウジアラビアの若きムハンマド皇太子は、かつて師と崇めていたUAEの国王、

ムハンマド大統領と袂(たもと)を分かち合えることができるのでしょうか?

どちらにしても、両国が中東の国々をまとめ上げていかなければなりません。周りの

国々は、UAEやサウジアラビアのように裕福ではありません。今でも内紛が起こって

いる地域もあります。丸紅や兼松、伊藤忠など日本の大手商社も商機があるとみて

参入しています。ただし、中東は宗教が絡んでくる複雑な地域です。そこを理解した

上で日本の企業も進出して欲しいです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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