世界初のフライングカーが救急車になる!?

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

2024年から市販される自動車の上にプロペラを付けたジャイロプレーン型フライングカー

が、イギリスの慈善団体緊急チームの足となります。

フライングカーを開発しているPAL-V、それを使うのがSkyAngels Air Ambulance です。

PAL-V Liberty フライングカー

PAL-V Liberty 空を飛ぶ車 運転する飛行機

PAL-V Liberty という会社は、ジャイロプレーンの原理を応用したフライングカー

の開発、製造を行っています。本社はオランダにあります。

最初のアイデアは、共同創設者のジョン・バッカーが 1999 年に飛行を始めたときに

ひらめきました。すべてのパイロットと同様に、飛行には常に不便な場所から出発し、

行きたくない場所に着陸することに不満を感じていました。

さまざまな航空プラットフォームをすべてテストした結果、チームはジャイロプレーン

の原理が空飛ぶ車の作成に最も適していると結論付けました。ジャイロプレーンの原理

は、多くの理由で彼らを納得させたのです。まず、ジャイロプレーンの飛行は非常に

安全で習得が容易です。さらに、洗練されたローター システムを車両の上に安全に保管

すると、かさばる翼を保管するよりもコンパクトになります。

それにもかかわらず、バッカーは依然として空飛ぶ車に固有の最大の課題に直面してい

ました。

  • 飛行機には通常、横風着陸を安全かつ機械的に容易にするために 3 つの車輪があ

   ります。

  • プロペラが重心を突き抜けるようにすることで、空中で安定するように重心を高

   くしています。

後者は、コーナリング時に転倒するため、運転中には望ましくありません。これは、

空飛ぶ自動車の設計者が 100 年以上にわたって直面してきた基本的な問題でした。

2005 年、テクノロジーの発達により、高重心の問題が解決されました。Carver と呼

ばれるオランダの会社は、3 輪車である Carver One に傾斜システムを実装すること

に成功しました。傾斜システムを使用して、航空機の高い重心に対抗し、折り畳まれた

航空機を路上で安全に運転できるようにすることができます。走行可能なジャイロプ

レーンまたは空飛ぶ車の最初のスケッチが作成されました。PAL-V Liberty の 3 輪設計

は、着陸時の安全性だけでなく、機械設計にも利点があります。特に横風の着陸では、

前輪が 1 つである方が簡単で安全なのです。

2008 年、PAL-V (Personal Air and Land Vehicle) という会社がロバート・ディンゲ

マンスとジョン・バッカーによって設立され、空飛ぶ車の夢が実現し始めました。

PAL-V パイオニア

性能は、3輪自動車で二人乗りです。

自動車モード:燃料はユーロ90~95という無鉛自動車用ガソリンです。100リットル。

重量は664キログラム、最高時速は160キロ。燃費は約13キロ/1リットル

満タンで1315キロ走れます。

飛行モード:屋根の上の羽根(2枚羽根)を拡げて、尾翼も組み立てます。

経済巡航速度140キロ、飛行距離は400~500キロ(満タン時)。

最大飛行高度は3500メートル(11500フィート)

必要離陸滑走距離330メートル、着陸距離30メートル。

着陸距離が短いのはジャイロコプターだからです。

パル V0919

自動車モードからの飛行モード(ジャイロプレーン)

フライングカーパルVリバティ

ジャイロプレーンの原理

ジャイロコプタ―の飛行原理は基本的に固定翼機の飛行原理と同じです。

固定翼機が前進する時、主翼に風を受けそれが浮力を生み上昇しますが、ジャイロコプタ

―も同様に前進し、ローターの下から上に風を受けそれによりローターが回転し、一定の

回転に達した時浮力が発生し上昇するというものです。 この回転するローターが固定翼機

の主翼に相当します。

前進する推力はマストに取り付けられたエンジンによるプロペラの回転によります。

ローターの回転は前述の通り動力によるものではなく、機体の前進により発生するフリーエ

アー(機体が前に進む風と前方からの風)に依る為、メインローター廻りの駆動系部品が

不要となり、その分重量も軽減にも繋がっています。 更にメインローターがフリー回転

である為、機体に対する反動トルクが無くテールローター用システムも全て不要となって

います。この為ジャイロコプターは、飛行の為のキ―となる駆動系のメカがヘリとは違い

圧倒的にシンプルである為自作には極めて向いている機体であると言えます。

また、機体を前進させる方式はプッシャ―式、トラクター式の2タイプが有りますが、機体

フレームへのエンジンの取り付け、機体の小型化、パイロットの操縦視界確保等の点から

現在ではプッシャ―式が圧倒的に多くなっています。

PAL-Vもプッシャー式(後ろのプロペラによる)を採用しています。

 

パルV フライングカー フライトアカデミー グランドスクール2

ジャイロプレーンの原理(図)

安全性

最大限の安全性を確保する失速防止

航空機が失速すると、特に低高度で、つまり着陸中に、できることはほとんどなくなり

制御が非常に制限されます。定義上、通常の固定翼飛行機の妥協点である固定翼フライ

ング カーの場合、失速のリスクは通常の飛行機よりもさらに高くなります。

自動回転

ジャイロプレーンとして、PAL-V Liberty は失速することはありません。これは、飛行中

ジャイロプレーンのローターが常に自動回転しているためです。ローターは気流によって

駆動されます。風速と重力により、ローターは常に回転して揚力を生成するため、エン

ジンが故障してもオートローテーションには影響しません。これは開いたパラシュート

に匹敵します。エンジンがなくても、着陸して完全に制御できます。

今日の飛行機の多くは、完全な飛行機のパラシュートを統合しています。ただし、この

パラシュートは過大評価されることがよくあります。まず、高度が低いとパラシュートが

機能しません。より高い高度では、正しい方法で開くと、車両が着陸する場所や地面に

衝突する速度を制御できなくなります. PAL-V Liberty があれば、このような状況でも常

にコントロールできます。

2 つのエンジンで 2 倍の安心感

PAL-V Liberty には 2 つのエンジンを搭載し、お客様の安全性をさらに高めています。

1 つのエンジンが故障した場合でも、パイロットはまだ 50% の出力を保持しています。

その後、飛行機は非常にゆっくりと降下するため、パイロットはより広いエリア内で

緊急着陸の場所を選択し、制御着陸を行うことができます。ジャイロプレーンの原理の

おかげで、両方のエンジンが故障するという非常にまれなケースでも、自動回転ロータ

ーは影響を受けず、安全で制御された着陸を低速で行うことができます。

失速防止コンセプトとデュアル エンジンの組み合わせにより、PAL-V Liberty は同等の

航空機やヘリコプターよりも 40 倍から 250 倍安全になり、通常のジャイロプレーンよ

りもさらに安全になります。

体系化されたトレーニング

操縦には専門の学校があります。そこでは、5 日間の実践的なカリキュラムが設計され

ており、実践的な飛行と関連する理論およびシミュレーターの演習を組み合わせていま

す。このコースは、ジャイロプレーン プライベート パイロット ライセンス (PPL(G))

を取得するための準備をするものです。

ジョン・バッカーは電動式空飛ぶクルマ(ドローン型)に批判的

創設者のジョン・バッカーは乗客用のドローンに関しては特に批判的です。

最初の理由は、ドローンの範囲が常に狭く限定的なことです。電気エネルギーを使用

して比較的小さなローターに電力を供給することは、非常に非効率的です。かなりの

数のバッテリーが必要で、重く、その結果、車両の航続距離が短くなります。これら

の問題が解決されたとしても、経験上、規制の枠組みが発展するまでには不確実な

年数がかかることがわかっています。

2 番目の理由は、ほとんどの概念が十分な安全性を備えていないことです。電源、ロー

ター、またはソフトウェアの障害が発生した場合、システムにはバックアップが必要で

す。ヘリコプター、航空機、またはジャイロプレーンには動力なしで着陸するオプショ

ンがありますが、ドローンは落下物に変わります。(注意: 低空ではパラシュートは機

能しません。)

第三に、それらは見た目ほど実用的ではありません。人間のドローンは居住地域に着陸

できません。これは、安全上の理由と、それらが生成する (甲高い) ノイズのためです。

彼らは指定された場所にしか着陸できず、目的地の近くにある可能性は低い. つまり、

運転できなければ、まったく実用的ではありません。

将来的には、その揚力効率と安全性により、PAL-V プラットフォームは実際に本物の電気

空飛ぶ車を作るのに最も適したものの 1 つです。バッテリーが 10 ~ 20 分の 1 に軽くな

った場合 (通常の飛行範囲が可能になる)、PAL-V Liberty を電気自動車に改造するのは簡

単です。同様に、自動運転車のソフトウェアが安全に飛行できるようになれば、PAL-V は

実際のフライング カーにこれを導入する最初の企業となります。

SkyAngels Air Ambulance

SkyAngels Air Ambulance

SkyAngels Air Ambulance(スカイエンジェル)は、英国初で唯一の国営ジェット

機を装備した慈善団体です。スカイエンジェルの航空救急ジェットは、2019/20 年の

NHS 患者移送システムを可能にし、患者、医療チーム、緊急医療貨物を空路で迅速、

効率的かつ安全に移送し、時間と人命を節約します。 

バーミンガム空港 の空軍基地から、英国の全都市の 95% に 11 分以内で到達できます。

完全に運用されれば、1 日あたり 4 ~ 5 つの英国の都市に飛行する予定です。救急車

で何時間もかかっていた時間が、飛行機で数分に! 

そして、医師や看護師、救急車のクルー(飛行機のパイロットにいたるまで)すべてが

慈善事業(ボランティア)なのです。航空機や救急車などの年間の運用コストはおおよそ

今後数年以内に年間 100 万ポンドから 200 万ポンド(約1億7千万~3億4千万円)に達

すると予想されています。

それではこれらの費用はどのように集められているのでしょうか?

その全てが寄付です。また、オンラインでできるチャリティの宝くじもあります。

この宝くじは、チケット 1 枚につきたったの 1ユーロ(約145円)で最高賞金 25,000

ユーロ(約3600万円)。当選確率は1/69!

今回、購入を予定しているPAL-Vやオール電動航空機アリス、電気救急車などの費用も

全て寄付でまかなっています。

NHS 患者移送システム

イギリスでは指摘医療保険を個人で払い、私立病院(全病院の約15%)で治療を受け

ることを希望する一部の例外を除き、医療は医療・福祉および救急サービスを総括し

て担うnational health service Major incident medical management in the United

Kingdom(NHS)により提供されています。

費用は基本的に税金でまかなわれ、日本のように健康保険料を払い、さらに医療行為に

対して一定の割合の自己負担をする必要はありません。

従って例外的に自費で私立病院を受診する以外は、患者が病院を選択することはできま

せんが、救急の場合には地域のNHSにより運営されている緊急本部からの指令により、

最も近い救急隊が派遣され、一番近い病院へ搬送されます。救急車(救急ヘリや航空機

を含む)のサービスに対して一切費用もかからず、医療サービスも無料です。

SKYANGELS が PAL-V 空飛ぶ車を緊急対応として運用

スカイエンジェルは、この車両(PAL-V)を使用して医師を全国の病院に運ぶことを計画

しています。PAL-V Liberty により、スカイエンジェルは「迅速な対応チームが現場に

迅速かつ安全に到着できるようにする」ことができると述べています。

スカイエンジェルの CEO であるデビッド ポロ マスク氏は、次のように述べています。

「PAL-V Liberty は単なる航空機ではなく、単なる自動車でもありません。両方です。

航空機が道路を走行できるという事実は、気象条件に制限されないことを意味し、道路

を必要としない飛行可能な車であることを意味し、特に地上インフラが限られている地

域での緊急対応のニーズにとって理想的なソリューションとなります。 」

前述のように、PAL-Vはスカイエンジェルの迅速な対応車両の 1 つとして機能し、高度

な救急隊員や医師を現場に運ぶことができます。両社によると、このパートナーシップは

英国にとって潜在的なより大きな注文の最初のものを表しています。

この車両は、ライト島やマン島への飛行など、自然の障害物を超える短い飛行で使用でき

ます。

まとめ

さすが、福祉の整備されている先進国のイギリスです。また、費用が全て寄付で

まかなえるなど、日本人としては驚くばかりです。日本は東日本大震災のように

大規模な災害が起こったときに寄付を行って助け合うという国民性です。国が

責任を持ってやることが当然のことのように思っている人が多いと思います。

欧米は、この様な慈善団体や企業活動が盛んです。お金やものを提供するという

考えが根付いているのです。

また、PAL-Vのようにジャイロコプターという発想もすごいことです。ドローン型の

空飛ぶクルマが支流ですが、開発の目的がはっきりしており、何と言っても安全性を

重視した構造にも着目しているところは更に驚くべきことです!

この機体は、日本ではけっして運航されることはないでしょう。(現時点では)

あまりにも日本の規制がキビしいからです。クルマでも飛行機(ヘリコプター)でもない

得体の知れないものに対して。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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