皆さんこんにちは!
最近、ティルトローターとティルトウイングに関するニュースが多く見られるようになり
ました。
ティルトローター自体はそんなに新しい技術ではありませんが、今なぜティルトローター
ティルトウイングなのでしょうか?
ティルトローター・ティルトウイング
ティルトローターとは
ティルトローターとは、垂直/短距離離着陸のための手法のひとつで、ローター(プロペラ
に似た回転翼)を、機体に対して傾ける(ティルトする)こと。翼ごと傾けるタイプの機体
はティルトウイングと言います。ティルトローター機の歴史は1930年代にさかのぼり、現
在では数社の製品が実用化されています。さらに大きな内部空間を持つ機種は、戦略上高い
有効性を持ち、カナダ空軍が捜索救難用に採用を検討しています。代表的なのがV-22
オスプレーではないでしょうか?
V-22オスプレー
V-22 オスプレー(画像:陸上自衛隊)
V-22は、アメリカ合衆国のベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル社(現ボ
ーイング・ロータークラフト・システムズ)が共同で開発した垂直離着陸航空機です。
オスプレイとは鷹の仲間のミサゴを意味します。
ヘリコプターのように垂直離着陸ができ、その上固定翼型航空機としての利点である
航続距離を伸ばすことができます。また、多くの人員の輸送や大量の荷物を運べる
大出力のエンジンが魅力です。
現在、陸上自衛隊が木更津駐屯地(千葉県)に2020年から部隊を配備しています。
将来的には海上自衛隊の水陸軌道団と連携して島嶼防衛態勢を確立したいと考えています。
アメリカ軍が沖縄に配備した当初、V-22の墜落事故が多発して反対運動が起こりました。
V-22は、ヘリコプターにあるオートローテーションといってエンジンが停止しても安全に
着陸することができる機能がありません。また、操縦も難しく、垂直上昇から水平飛行に
移るときに風の変化が大きいときは失速してしまう可能性があります。
ティルトウイングとは
ティルトウイングとは、垂直(短距離)離着陸のための手法のひとつとして、エンジンを
主翼ごと機体に対して傾ける(ティルトする)構造の航空機を言います。
ティルトローターに比べ垂直上昇時にダウンウオッシュを受けないという利点があります。
ホバリング中のヘリのダウンウオッシュ。
反面、STOL(短距離離着陸)モードでは迎え角が大きいため抗力も大きくなり、
また全般的に風の悪影響を受けやすいといった欠点があります。
レオナルドAW609の軍用型が登場する可能性が高い
各国政府は、特に捜索救助用途での使用として AW609 に関心を示しています。(画像: レオナルド)
レオナルド(イタリア)が2011年にベル社のAW609ティルトロータープログラムの株式
を取得したことにより、契約条件、特に同航空機の武装・軍事化バージョンの市場投入が
妨げられるのではないかという憶測が昨年広まりました。レオナルド・ヘリコプターズの
マネージング・ディレクター、ジャン・ピエロ・クティージョ氏が、おそらく準公共バー
ジョンの航空機を開発するため、同社がAW609についてイタリア政府と交渉に入ったこと
を明らかにしたとき、その憶測はさらに高まりました。
そして昨年12月、米陸軍はベルに対し、V-280ティルトロータープロトタイプを将来の長
距離強襲機として開発する契約を締結。V-280の最大巡航速度は300ノット(時速560キロ)
に近く、現在のボーイングAH-64アパッチやベルとシコルスキーが引き続き競争している
将来の攻撃偵察機などの攻撃ヘリコプターよりも100ノット以上速い速度です。これにより
今回は V-280 の護衛機の可能性として、AW609 の将来の軍事用途についてのさらなる憶
測が生まれました。
ベルもレオナルドも、AW609契約の条件について公にコメントする予定はありません。
しかし、UAEやマレーシアを含むさまざまな政府がこの航空機に関心を示しており、監視、
パトロール、救急救命、または捜索救助の構成に関連していると考えられています。
ティルトローターは 1950 年代から研究航空機として使用されてきました。ベルボーイング
V-22 は 1989 年に初飛行し、2007 年に運用が開始され、最初は米海兵隊、次に米空軍、
そして現在は米海軍の輸送機搭載空母として運用されています。合計すると、400 機以上
の V-22 ファミリー航空機が納入されました。V-22 は軍隊に独自の能力を提供する一方、
その開発コストとユニットコストの高さ、メンテナンスの複雑さ、および運用準備率の比
較的低い点で批判を受けてきました。
明らかに小さいながら、AW609 は V-22 の基本的なアーキテクチャ、つまり垂直と水平の
両方の飛行とその間のさまざまな度合いの移行を提供するために旋回するエンジンに取り
付けられたプロプロモーターを特徴としています。この航空機のエンドユーザーへの単価は
当初は従来の超中型民間ヘリコプターと同等であると考えられ、業界のさらなる憶測を引き
起こしました。しかしレオナルドは、同機の想定される価格帯や受注額を公表することを
断固として拒否しています。レオナルドが価格について議論することをためらっていること
から、この計画が商業的に成功するには、この航空機が準公共機関や軍からも相当の注文を
集める必要があるという仮説が高まっているほどです。
2011 年以来、AW609 は再設計ではないにしても、元の設計とサプライチェーンの最適化
を確実に受けてきました。キャビンの高さは 54 インチから 60 インチ(1.3メートルから
1.5メートル)に増加し、幅は 58インチ(1.47メートル)になり、長さは合計 13 フィート
5 インチ(4メートル)になり、AW609 は一般的なビジネス用ターボプロップ機と同じか
それ以上の広さになりました。レオナルドは、メインキャビンのドアをクラムシェルデザ
インにし、幅を 35 インチ(0.9メートル)に広げ、特に 600 ポンドの一体型ホイストを装
備した場合に、609 を救急救命士の役割により適したものにしました。補助タンクを装備し
た 270 ノット(時速500キロ)の AW609 は、無給油の最大航続距離 1,000 海里(1600
キロ)まで飛行します。この航空機は、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ製 PT6C
-67A ターボシャフトを 2 基搭載し、コリンズ プロライン フュージョン デジタル アビオニ
クスを搭載しています。実用/軍用構成では、キャビンは乗客 12 名と乗務員 2 名を収容で
きます。
現時点で同機の飛行試験はほぼ完了しており、FAAとEASAの認証局パイロットが今年初めに
習熟を目的に同機を飛行させました。レオナルドはFAAと協力して、現在FAAが開発中の電動
リフトカテゴリー規制とは独立した航空機の認証ベースで取り組んでおり、今年か来年初めに
認証を取得できる可能性は考えられますが、確実ではありません。
Dufour Aerospace の Aero2 、Aero3
ハイブリッド電動ドローン Aero2 の最終設計と仕様を発表
Aero 2 の予備設計レビューが完了(画像:デュフォー・エアロスペース)
デュフール社は最近、エアロ2モデルの予備設計レビューを完了しました。同社は最新の
プロトタイプであるX2.2のテストキャンペーンからのデータを使用して航空機の設計を微
調整すると述べました。
デュフールはほぼ毎日 X2.2 による飛行テストを実施する一方、次期プロトタイプに搭載さ
れるハイブリッド電気パワートレインによる広範な地上テストも行っています。パワートレ
インの主要コンポーネントは、Suter Industries が提供する 17.4 キロワットの TOA288
エンジンです。このエンジンはガソリンまたはavgasで動作し、電気モーターやバッテリー
と連携して動作します。
デュフールは現在、X2.3 プロトタイプの構築に必要な材料を注文しています。そのプロト
タイプは来年の2024年に飛行試験を開始する予定で、デュフォーは2025年にエアロ2の量産
を開始する予定です。同社は、軽量無人航空機を対象とするEASAの規則に基づいて、エアロ
2が2024年までにヨーロッパで認証されることを期待しています。
AERO3 TILTWING EVTOL 航空機の最新設計を発表
デュフールは今週、計画中の エアロ3 ハイブリッド電気ティルトウイング eVTOL 航空機
の最新設計を提供しました。エアロ3 は、翼に取り付けられたプロペラの数を 4 つから 6
つに増やし、以前はダクトファンが組み込まれていた再設計された尾部セクションにさらに
2 つのプロペラを追加しました。
Aero3 ハイブリッド電気 eVTOL 航空機。(画像:デュフォー・エアロスペース)
エアロ3 の予想積載量は 1,650 ポンド(750キログラム)強で、航続距離は約 640 マイル
(1030キロ)、巡航速度は時速 347 マイル(600キロ)になると予想されています。監視
任務の場合、これは 180 分の飛行持続時間に相当します。
エアロ3 のパワートレインは、プロペラを駆動する 8 つの電気モーターをサポート。まだ
詳細が明らかにされていないタービン エンジンで構成されます。同社は、2021年末までに
パートナーとサプライヤーを指名する準備が整う可能性があることを示唆しました。
エアロ3 は、旅客輸送だけでなく、捜索救助、貨物、監視、その他の準公共の役割も含むさ
まざまな用途を目的としています。緊急医療支援オペレーターであるレガ社の元ヘリコプタ
ー運用責任者であるハーデッガー氏によると、 この航空機は既存の回転翼航空機の多くを
置き換えることができ、より費用対効果が高く、環境的に持続可能な性能を提供する可能性
があるといいます。同社の創設者兼最高経営責任者(CEO)のトーマス・ファマッター氏は
現在もスイスの航空会社エア・ツェルマットの山岳救助パイロットとして活躍しています。
日本のSky Link、6人乗りeVTOLを生産へ
日本の神戸に拠点を置く会社、スカイリンクテクノロジーズ(SLT)は、eVTOL(この場合
は6人乗りの航空機)を開発すると報じられました。
スカイリンク のコンセプトは、飛行距離約 1,400 キロメートルの傾斜翼リフト(ティルト
ウイング)を建設することです。計画されている推進システムの正確な性質は明らかにされ
ていませんが、同社はウェブサイトで「マイクロガスタービンローター」について言及して
います。
同社のサイトには「当社は持続可能な航空燃料(SAF)の使用を可能にすることで環境への
配慮を優先しており、バッテリーの性能が十分に向上したら速やかに完全電動化に移行する
予定です」と記載されている。公表されたスケジュールによると、eVTOL航空機は2030年
代まで市場に投入される予定です。
プロジェクトのルーツは 2016 年に遡り、パーソナル プレーン開発プロジェクト (PPKP) と
呼ばれるボランティア グループが結成され、初期のコンセプト イメージがいくつか公開さ
れました。2019年に営業許可を取得し、本格的に開発が始まった。
大阪万博メディアの盛り上がりを背景に、スカイリンク は関西地域の地元メディアから大
きな注目を集め始めています。大阪のテレビで今週放送された特集記事では、離着陸時の
飛行安定性を達成するという課題に焦点を当てた、スカイリンクeVTOLの 1:6 スケールモ
デルのテストが紹介されました (上の写真を参照)。
まとめ
ティルトローター、ティルトウイングとも歴史は古く、それぞれ現在まで開発は行われて
きました。ティルトローターは、V-22オスプレーが出てきた頃から脚光を浴びましした。
一方、ティルトウイングは、その構造の難しさから際立って新しい技術は登場していません
でした。やはり、上昇姿勢から巡航姿勢(水平姿勢)に移行する際の重心位置や、操縦の難
しさがネックとなっていると思います。今後の技術の発展に注目していきましょう。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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