皆さんこんにちは!
トルコのトルコ航空がボーイング787と737の大量購入、そしてアメリカから最新鋭戦闘機F-35の導入を決めました。
トルコとアメリカ、EU、ロシア、中東情勢をも左右するこの決断。
エルドアンの思惑は?世界情勢を深読みしていきます。
トルコ航空、787を50機発注、737 MAXを100機発注へ
クレジット: トルコ航空
トルコ航空は、待望のボーイング購入を発表し、787-9型機35機と787-10型機15機を
確定発注しました。これは同社にとって、より大容量の型機に対する初のコミットメントとなります。
トルコ航空は、ボーイング社と737 MAX100機の発注概要についても合意しました。
発注されるのは737-8型機と大型の-10型機となります。CFMインターナショナル社と
Leap-1Bエンジンの価格交渉が継続中であるため、発注はまだ完了していないとトルコ航空は述べています。
ボーイングとトルコ航空は、787 を 25 機追加購入することと、MAX を 50 機追加購入することにも合意しました。
トルコ航空は、787型機用エンジンについて、GEエアロスペースおよびロールス・ロイス社
と交渉を継続していると発表。トルコ航空の現行787型機にはGEnx社製のエンジンが搭載
されているが、エアバスのワイドボディ機に搭載されているトレントエンジン用のエンジン
工場をイスタンブールに開設したことで、ロールス・ロイス社との関係は強化されているのです。
トルコ航空によれば、787の納入は2029年から2034年の間に予定されています。
「この画期的な合意は、航空機数の増加だけにとどまらない意味を持つ」とトルコ航空
のアフメト・ボラト会長は9月26日に述べました。「これは業界における当社のリーダー
シップと、革新と卓越したオペレーションへの献身を反映したものである」
この発注により、同社の運航能力が強化され、保有機数を800機に拡大するという「2033年ビジョン」が達成されます。
「トルコ航空が将来の成長の原動力として、再び787と737 MAXを選定してくださったこと
を光栄に思います」と、ボーイング民間航空機部門社長兼CEOのステファニー・ポープ氏
は述べています。「80年にわたりトルコとトルコ航空業界の誇りあるパートナーとして、
今後もトルコ航空へのサポートを継続していくことを楽しみにしています。」
現在、トルコ航空は737-8/9、737-800/900、777-300ER、777F、787-9
など、200機以上のボーイング機を運航しています。同社はエアバス機も200機以上運航しています。
エアバス機は、A320ceo/neoファミリー、A330、A350ワイドボディ機を保有していま
す。子会社のAJetは、A320ceo/neo、737-8、737-800を運航しています。
同社は、787-10の導入により、運用コストの削減と、代替機と比較して燃費効率が25%
向上すると予想。需要の高い路線に787-10を投入する計画で、アフリカ、中東、東南アジア、そして米国を就航先として挙げています。
6月30日現在、トルコ航空の航空機の平均機齢は10.1年です。同社は2025年末までに
520機から525機の保有を目指しています。運航実績によると、7月末時点でトルコ航空と
AJetは合わせて491機の航空機を運航していました。
トルコ航空は 131 か国の 353 の目的地に就航しています。
トランプ大統領、トルコとのF-35契約の復活は「容易」と発言
アメリカ最新鋭戦闘機 F-35。クレジット: マーク・ワグナー/アビエーション・イメージズ
ドナルド・トランプ米大統領は、9月25日にホワイトハウスでトルコのレジェップ・エルド
アン大統領と会談した後、ロッキード・マーチンF-35プログラムへのトルコの関与に対する
6年間の禁止を解除できると自信を示しました。
会談直後、記者からトルコとのF-35契約を解消する可能性について問われたトランプ
大統領は、「もし私が望めば、簡単にできる。もしかしたらそうするかもしれない。まあ、
状況次第だが。(エルドアン大統領は)我々のために何かをしてくれるだろう」と答えました。
米国は、トランプ大統領の最初の任期中、トルコがステルス戦闘機を撃墜するために設計
されたロシアのS-400防空システムを導入したことを受け、トルコをF-35プログラムから
排除していました。この禁止措置により、トルコの防衛産業はF-35のサプライチェーンから
排除され、トルコ空軍によるF-35A型機100機の発注もキャンセルされたのです。
この禁止措置は、S-400、スホーイSu-35、その他の先進兵器システムを取得した特定の国
に二次制裁を課した「米州敵対者制裁法」の施行によるものでした。その後、議会は
トルコがS-400防空システムを保有している間、同プログラムへの参加を明示的に禁止する法案を可決しました。
法律の改正やトルコによる防空システムの廃棄合意なしに、ホワイトハウスがどのようにし
て合法的に禁止令を解除できるのかは直ちには明らかではありません。
会談開始前に記者団に対し、ロッキードF-22の襟章を着けたトランプ大統領は、エルドアン
大統領との会談ではパトリオットミサイル防衛システム、F-35A、ロッキード・マーティン
F-16ブロック70に関する保留中の取引について協議すると述べました。
合意復活の見通しは、ギリシャやイスラエルとの外交関係におけるトルコの実績に依然とし
て批判的な一部の議員からの反対に直面しているのです。
しかし、トランプ政権は、ウクライナ戦争の停止をロシアに求めるより広範な圧力の一環
として、トルコとの合意も望んでいます。トルコはロシアから石油を購入し続けており、
ホワイトハウスはそれがロシアの戦争資金に役立っていると主張しています。
「F-35の問題は年末までに解決するだろうと私は言った。間違いではないだろう」と、
トム・バラック駐トルコ米国大使はホワイトハウスでの会合を終えた後、CNNトルコとのインタビューで述べています。
【深読み】エルドアン大統領、トランプに賭ける?F-35とボーイング購入の裏に隠されたトルコの「超したたか外交」
トルコが最近、大規模なボーイング機購入計画と、米国の最新鋭ステルス戦闘機F-35の一括
購入を電撃発表しました。これは単なる経済的判断でしょうか?
多くの識者は、「もしや、トランプ前大統領の再選を見越した動きでは…?」と深読みを
始めています。しかし、トルコの動きはもっと複雑で、エルドアン大統領の「超したたか外交」の真骨頂がそこには隠されているのかもしれません。
いったい、トルコは何を狙っているのでしょうか?
「あの頃の蜜月」が再来?トルコがトランプに期待するワケ
トルコがF-35プログラムから除外されたのは、ロシア製防空システムS-400を導入した
ためでした。この「禁断の果実」は、NATOの一員であるトルコと米国との関係を決定的に悪化させました。
しかし、なぜ今、トルコはF-35の「まとめて購入」を表明したのでしょうか?
- トランプ氏との「特別な関係」: 忘れもしない、トランプ前大統領とエルドアン大統領の個人的なホットライン。米国の制裁がちらつく中でも、二人の直接交渉によって多くの危機が乗り越えられました。エルドアン氏にとって、トランプ氏の再選は、米国の強硬な姿勢を「ディール(取引)」によって軟化させるまたとないチャンスに見えているはずです。
- 「手土産」としてのボーイング: ターキッシュエアラインズによるボーイング機の大規模購入は、米国経済への貢献をアピールする絶好の機会です。F-35購入への理解を得るための、巧妙な「手土産外交」と見ることもできます。
もしトランプ氏が再び大統領になれば、議会の猛反発を押し切ってでも、S-400問題と
引き換えにF-35復帰を容認する「トランプ流ディール」が現実味を帯びるかもしれません。
エルドアン氏にとって、トランプ氏はまさに「有事の際の保険」なのです。
トルコは「トランプ待ち」だけじゃない!多角外交の深化
しかし、トルコの動きは、単にトランプ氏の再選を待つだけの単純なものではありません。
もっと大きな、「特定の陣営に縛られない」というトルコ独自の多角外交の深化と捉えるべきでしょう。
NATO内での「存在感」を強化
F-35はNATO標準の次世代機です。これを導入する意思を示すことで、トルコはNATO
加盟国としての防衛能力を高め、西側との関係改善のシグナルを送ります。これは、NATO
内で強まるトルコへの疑念を払拭し、自身の発言力を維持・強化する狙いがあります。
ロシアへの「牽制」とバランス
ロシアからS-400を導入したトルコは、ロシアとの戦略的パートナーシップも維持してい
ます。しかし、F-35への意欲を示すことは、ロシアに対し「西側との関係改善のカードも
持っているぞ」という強いメッセージになります。
黒海、シリア、南コーカサスといった地域でロシアと利害が衝突する際、この「西側の
カード」は、トルコが有利に交渉を進めるための強力な武器となり得るのです。
中東・中央アジアにおける「覇権」への道
トルコは、中東や中央アジアにおいて地域大国としてのリーダーシップを確立しようとし
ています。強力な空軍力、特にF-35のような最新鋭戦闘機を保有することは、これらの地域
におけるトルコの安全保障上の優位性を確立し、「トルコ系諸国機構」を通じた影響力拡大
を後押しします。米国製兵器の調達は、西側からの一定の支援を受けつつ、これらの地域で
の行動の自由度を確保するための巧妙なバランスの一部なのです。
究極の「戦略的自律性」を追求するエルドアン大統領
結局のところ、エルドアン大統領の一貫した目標は「戦略的自律性」の追求にあります。
これは、特定の国や同盟に完全に依存することなく、自国の国益に基づいて外交・安全保障
政策を柔軟に展開するという考え方です。
- 多極化時代の生存戦略: 米国一極集中から多極化へと移行する国際秩序の中で、トルコは全ての主要国(米国、ロシア、中国、EU)と等距離外交を展開することで、自国の影響力を最大化しようとしています。
- S-400とF-35の「両取り」?: もしトルコがF-35を実際に購入できた場合、ロシア製S-400と米国製F-35という、これまで相容れないとされてきたシステムを「両方保有する」という前例のない国家になります。これは、トルコが「いずれの陣営のルールにも完全に縛られない」という究極の自律性を示す、まさにエルドアン外交の到達点となるかもしれません。
まとめ:トルコの「したたか外交」は続く
今回の航空機購入とF-35への再挑戦は、単なる経済取引やトランプ氏への期待だけではあ
りません。トルコが国際社会における自身の立ち位置を最大限に活用し、いかなる外部から
の制約にも縛られず、自国の国益を追求し続けるという、エルドアン大統領の強力な意志が
込められた「超したたか外交」の一環なのです。
今後の米大統領選の結果と、トルコ外交の行方に、世界中が注目することになるでしょう。
あなたはどう考えますか? トルコのこの動きは、果たして賢明な戦略なのでしょうか?
それとも、リスクを伴う危険な綱渡りなのでしょうか?ぜひコメントであなたの意見を教えてください!
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