皆さんこんにちは!
8月の9日に、イギリスのバーティカル・エアロスペース社のVX4が試験飛行中に墜落した
原因が明らかになりました。
それは、プロペラの結合部分にありました。
墜落の原因
原因はプロペラの取り付け
バーティカル・エアロスペース社は、8月9日にイギリスのコッツウォルド空港で飛行試験中
に同社のVX4 eVTOL試作機に大きな損傷を与えた事故の根本原因は、プロペラの接着問題
だったと発表しました。同社は木曜日、同国の航空事故調査局に報告書を提出し、2024年
初めに4人乗り全電気自動車の2番目のより先進的なプロトタイプの飛行を開始する準備を
進めていると発表しました。
「初期世代のプロペラは事故前にすでに再設計されており、次のテスト段階に先立って問
題は完全に解決された」とバーティカル・エアロスペース社はプレス声明で述べました。
「調査[チーム]によるさらなる推奨事項は、同社によって実施されています。」
バーティカル・エアロスペース社によりますと、単一のプロペラが外れた事故は、VX4 の
別の電気推進ユニットがテストのために意図的に停止したときに起こりました。その結果、
過剰なバランス荷重が発生し、支持パイロン構造の 1 つが破損しました。
バーティカル社のエンジニアリングチームは、高電圧システムやバッテリーシステムなど
の独自技術が事故の時も良好に機能したと報告しています。「電圧、電流、電力はすべて
許容範囲内に留まり、事故中および事故後も電池温度は正常とみなされていた」と報告書は
結論づけています。実際に衝撃による火災は起こっていません。
同社は、AAIB(イギリス航空事故調査局)の調査が完了次第、事故に関するより包括的な
最新情報を発表すると述べました。同社の最初の声明では、予期せぬ故障により「航空機
は地面との衝突で損傷する前に安定した降下に入った」とされていました。
8月9日の試験飛行中墜落したVX4試験機(画像:バーティカル・エアロスペース社)
事故にも関わらず、バーティカル社は、7月中にVX4による遠隔推力飛行試験キャンペー
ンと称するものをなんとか完了し、試験航空機は目標速度40ノット(時速70マイル)
を達成し、「全体的に並外れた安定性と制御性を実証した」と報告しています。同社
はまた、ホバリング飛行や低速飛行では、遠隔操縦による飛行の性能目標が一般的に
10~30パーセント上回ったと報告しています。
「プロトタイプは、通常、VTOL航空機にとって最も困難な状況である持続ホバリング
において特に優れた性能を発揮し、予想よりも長く水平飛行を維持した」とバーティカ
ル社の最初のレポートでは述べられています。「これらの推力飛行試験の目的は、この
速度範囲全体で許容できる安定性、バッテリー効率、制御特性、空気力学、構造負荷、
性能、振動を検証することであり、そのすべてが達成されました。」
型式認証のスケジュールは変更なし
バーティカル・エアロスペース社は、プログラムの型式証明スケジュールに変更がない
ことを強調し、来年後半には飛行準備が整う別の本格的なプロトタイプの構築にも取り
組んでいると述べました。ハネウェル、GKN Aerospace、ハンファ、ソルベイ、レオ
ナルド、モリセルが主要なプログラム パートナーとして貢献しています。
準備中の2機は構造とサブシステムが改良されており、2026年に予想される型式証明に
備えて量産仕様に近づける予定。どちらも飛行開始には英国民間航空局からの飛行許可
が必要となります。
「私たちは、これまでの飛行試験の進捗状況と、収集したデータ、洞察、貴重な学習に
満足しています」と、バーティカル・エアロスペース社の創設者兼 CEO の スティーヴン
・フィッツパトリック氏はコメントしています。「いかなる種類の欠陥も残念ではありま
すが、新しい航空機をテストするこの段階ではまったく予期せぬことではありません。
その結果、当社の専門家チームが障害の原因を特定し、事件発生から 14 日以内に AAIB
に報告書を提出できたことを嬉しく思います。」
8月9日に墜落した航空機は今後地上試験のみに使用されます。この最初のプロトタイプ
のプロペラ ブレードのタイプは、後のモデルでは使用されません。
NASA、コンセプトキャビンの衝突試験を実施
NASAによる落下テスト(画像:NASA)
新しい高度なエアモビリティ技術の安全性を研究する継続的な取り組みの一環として、
NASAは最近、緊急着陸の場合に乗員に何が起こるかを調査するために、衝突試験用の
ダミー人形を満載したモックアップeVTOL航空機のキャビンを地面に落下させる実験
を行いました。NASAは、 頭上の構造物が崩壊し、試験品が地面に衝突する様子をスロ
ーモーションで映すビデオを 公開しています。
バージニア州ハンプトンにあるNASAラングレー研究センターの着陸・衝撃研究施設で
大規模な墜落事故を実施。衝突試験のために、NASA は 6 台の擬人化試験装置 (俗に
「衝突試験ダミー」と呼ばれる) を、翼やプロペラを取り付けていない状態で eVTOL
キャビンに搭載しました。ただし、翼構造、ローター、バッテリーを表すために頭上
の質量が追加されました。研究者らは、さまざまなサイズのダミー人形を使用して、
衝突がさまざまな年齢の乗員にどのような影響を与えるかを研究しました。実験中、
NASAは新しいエネルギー吸収ストロークシートと、NASAが開発したエネルギー吸収
複合下地床もテストしました。
NASA ラングレー構造力学部門の研究助手ジャスティン・リテル氏は、満員のキャビ
ンを数メートル上空に吊り上げ、発火カッターで支持ケーブルを解放し、推進力の喪失
やその他の緊急事態が発生した場合にeVTOL航空機が墜落する可能性のある方法をエ
ミュレートして、斜めに地面に落下させました。墜落でキャビンはひどく損傷したよう
ですが、NASAは実験は成功したとみなしています。
「ラングレーの耐衝撃性チームにとってテストは大成功でした」とリッテル氏。「私た
ちは、6人乗り、高翼、頭上質量、マルチローター車両を表すeVTOL車両コンセプトの
テストに成功し、200チャンネルを超えるデータを取得し、20を超えるオンボードおよ
びオフボードカメラのビューを収集しました。」
「私たちはまだデータとビデオを調べており、これらの結果は暫定的なものですが、こ
のテスト中に2つの主要なイベントが発生したことがわかります」とリッテル氏は付け
加えました。NASAの説明によると、最初の出来事は床の粉砕とシートのなで方だったと
いいます。NASAによると、エネルギー吸収シートと床は予想通りに機能したようで、衝
突試験ダミー人形への衝撃は軽減されたということです。
リッテル氏が言及した 2 番目の出来事は、衝突直後の頭上構造物の崩壊でした。機体前
部のダミー乗客は機体に押しつぶされた様子はありませんが、後部座席の状況はそれほど
期待できるものではないようだたっだ。NASAは声明で「頭上構造物の崩壊が衝突試験ダ
ミーに与える影響はまだ調査中だ」と述べています。
「私たちの計算による事前テストモデルは、頭上の構造物が破損するまで複合材の変形を
うまく予測しました」とリッテル氏は語りました。「しかし、計算モデルはテストで見ら
れたような全体的な崩壊を予測しませんでした。」
NASAは、この衝突試験のデータはこれらのシミュレーションを改善し、より正確かつ現
実的なものにするのに役立つと述べています。研究者らはまた、2023年末に実施予定の
NASAの次回のeVTOL落下試験の考案にこのデータを活用することも計画しています。
異なるサイズの 6 つの衝突試験用ダミー人形が試験に使用されました。(写真:NASA)
まとめ
今回の墜落事故の原因は、すぐに判明しました。このことで、開発の妨げとなる事故原
因が簡単に排除されることにより、開発スケジュールに少しの遅れはあるものの予定通
り進んで行くでしょう。また、今回の墜落事故で、バッテリーからの火災や液漏れなど
重大事故にならなかったことは賞賛に値します。リチウムイオンバッテリーは、衝撃に
弱く、電池内の液漏れによって火災が発生することが多く報告されています。
最近のニュースでも、電動自転車のバッテリー火災が問題になっています。
NASAの実験にもあるように、キャビンやバッテリー、エンジン部分は航空機並みの
強度(耐空性)を持たせ、安全性を高めています。それには強固な構造もしかり、さら
に軽さを求めた素材が重要になってきます。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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