皆さんこんにちは!
今日は、自律型貨物輸送航空機についてのお話です。
先日アマゾンが自律型の宅配eVTOL機をお披露目しました。
今回はそれよりもっと大きな荷物を運べる自律型航空機メーカーを紹介します。
自律型航空機の市場予測
農業、消防、電気通信などの活動に関連する業界がそのアプリケーションの価値
をますます認識しているため、予測者は自律型航空機市場への支出が年間成長率
約 25% で拡大し、今後 20 年間で 3,250 億ドル(約47兆円)に達すると予想
しています。
また、自律型航空機への投資は急増しています。数十の新興企業が、自律型航空機
と密接に関連する技術のために多額の資金を調達しています。最新のレポートでは、
自律型航空機が 2040 年までに 10 万人近くの雇用に直接つながると予測しています。
Elroy Air(エルロイ エア)
会社概要
サンフランシスコに本拠を置くこの会社は、2016 年 11 月に CEO の David Merrill
と VP エンジニアリングの Clint Cope によって設立されました。Elroy Air は当初、
電機航空機のVTOLエア・タクシー市場を追求していましたが、乗客輸送認証の複雑さ
を回避するために、自動貨物航空機に目を向けました。2017 年 12 月、同社は空中
モビリティ投資家の Levitate Capital が率いる460 万米ドルの資金調達を行いました。
Chaparral eVTOL (シャパラル)
主力の自律型貨物機、シャパラルは垂直離着陸 (VTOL) 用の空中貨物プラットフォ
ームです。シャパラルの最初のバージョンは、ハイブリッド電気パワートレインと
シンプルで冗長なリフトおよび前進飛行モーターにより、300 マイル(約483km)
の範囲で300 ~ 500 ポンド(136~227kg)の貨物を運ぶことができます。
シャパラルは着陸し、貨物を積み込み、別の荷物を受け取り、再び離陸すること
すべて、オペレーターの操作なしで、わずか数分で完了します。シャパラル は、軽量
で空力性能に優れたポッドで貨物を運ぶように設計されています。このポッドは、地上
要員によって事前に積み込まれ、離陸前に航空機によって自律的に持ち上げられます。
輸送ポッドに荷物を積み込んでいるところです。
提携先
エルロイ エアは、アメリカ航空宇宙局(NASA)をはじめ、アメリカ空軍、
海軍とも連携して、次世代の自律型輸送に貢献しています。特に軍事的に困難な
場所への物資輸送を輸送機(C-130など)と連携して行っています。
人道支援のための救援物資輸送、軍隊と協力して輸送を行っています。
シャパラルは、空港のインフラに頼ることなく、従来の回転翼航空機や固定翼航空機
よりも低コストで、パイロットを危険にさらすことなく、災害救援、消防、および人
道活動のための安全で効率的な航空貨物輸送を可能にします。
受注先
2022年2月には、アメリカ貨物輸送大手のフェデックスとシャパラルを使った総合的な
荷物輸送のテストを2023年にも行うと発表しました。
積み降ろしのために、独自の貨物コンテナと自動貨物処理システムを設計しました。
貨物ポッドがロックされて積み込まれると、自動貨物処理システムが作動します。
航空機が垂直に着陸するとすぐに、インバウンド貨物を降ろす場所が割り当てられ、
そこでポッドを下げて解放する仕組みになっています。
同じく今年の2月にはロッキード・マーチン社から4000万ドル(58億円)の資金
調達を達成しました。
ヘリコプター オペレーターの Bristow(ブリストウ)は、シャパラル100機を購入
することを決定しました。アメリカヒューストンにあるのBristow(ブリストウ)は、
世界中で 60 年以上の航空ソリューションを提供しており、石油およびガスの顧客へ
のヘリコプター輸送、捜索救助 (SAR)、および政府および民間組織への航空機サポー
ト ソリューションの世界有数のプロバイダーです。
NATILUS (ナチラス)
自律型貨物航空機開発会社の Natilus は、440 機以上の航空機の販売契約に調印
したと述べており、カリフォルニアを拠点とするこのスタートに 9 億ドルの投資
を行った貨物輸送および物流グループの Flexport を含む 5 つの将来のオペレー
ターから 60 億ドルの価値があると述べています。
今年の2 月初旬、サンフランシスコに本拠を置く Flexport は、Natilus の N100T
モデル航空機 2 機の基本合意書に署名し、その他のコミットメントは、アフリカの
貨物航空会社 Astral Aviation、ドローン運用会社の Volatus Aerospace、Aurora
International、Dymond Group からもたらされました。
Natilus は、143 トン (314,600 ポンド) のペイロードと 5,112 nm の大陸間航続
距離を持つと予想される旗艦 N130T モデルを含む、無人貨物船のファミリーに取
り組んでいます。他の 3 つの設計は、N100T (110 トン/5,400 nm)、
N60T (66 トン/4,142 nm)、および N3.8T (4.3 トン/900 nm) です。
同じ重量の従来の航空機よりも 60% 多い貨物量を持ち、同じ移動で総運用コスト
を 60% 削減し、CO2を 50%削減します。
MightyFly(マイティフライ)
カリフォルニアのMightyFly は MF-100 自律型貨物機で最初のテスト飛行を完了
し、2023 年に貨物配送のパイロット運用を開始する準備をしています。昨年 FAA
特別耐空証明書が発行されました。
MF-100 は、時速 150 マイル(240km/h)で最大 600 マイル(965km)の
フライトで 100 ポンド(45kg)のペイロードを持つと予想されており、同社は
すでに 500 ポンド(227kg)を運ぶことができるより大きなモデルを計画して
います。
MF-100 の推進システムは、内燃エンジンと電気モーターで構成されています。
エンジンは飛行中にバッテリーを再充電し、この目的のための地上インフラの必要
性を最小限に抑えられます。現在の FAA の規則では、飛行を遠隔監視する乗組員は、
無人機の操作の訓練も受けている完全な資格を持つパイロットです。事実上、彼らは
IFRパイロットであり、MF-100は通常の航空機と非常によく似た計器を装備してい
ます。
同社は、2021 年に 510 万ドル(7兆4000億円)のシード資金調達ラウンドを
完了して以来、チームの規模を 4 倍に増やしました。来年のさらなる資金調達ラ
ウンドの可能性に先立ち、何人かの有望な投資家と交渉中です。
まとめ
今回は、アメリカで間もなく実用化されるであろう3社を紹介しました。
アメリカでは、この様に自律型貨物輸送の振興事業社への投資が過熱しています。
それは、従来のヘリコプターや航空機を使った輸送にはコストがかかることと
脱炭素社会への取り組みが活発になってきたことが要因です。それらは全世界
へと広がっています。また、ここから生まれる雇用(自立運転操縦パイロット
バッテリー、機体、搭載の自動機械化など)も大きな投資の対象です。
2030年までに物流の世界は大きく変っていくでしょう!
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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