皆さんこんにちは!
ゴールデンウィーク真っ只中の今日、5月2日は何の日でしょうか?
八十八夜、世界マグロデー、コージーコーナーの日【コー(5)ジー(2)】などなど
航空機で言えば1952年(昭和27年)の今日5月2日にイギリスで世界初のジェット旅客機
コメット号(デ・ハビランド DH106 コメット)が就航しました。
今日はその中でも『八十八夜』についてお話しします。
八十八夜とは?
立春から数えて88日目となる日です。今年2022年の立春は2月4日でしたので
今日5月2日が88日目です。
八十八夜の日に摘んだお茶を飲むと長生きできると言われています。
皆さんがご存知の童謡『茶摘みの歌』・・・
♬ 夏も近づく八十八夜♪ 野にも山にも若葉が茂る♪・・・♬
本当に新緑の季節ですね。
この時期は、明け方にかけて遅霜(おそしも)が発生しやすく、農作物に被害が出る恐れがあり
農家に対して特に注意を喚起するために作られたと言われています。
この八十八夜を過ぎると数日で『立夏(りっか)』を迎えます。例年は5月6日くらいです。
今年は5日(こどもの日)。暦の上ではもう夏が始まろうとしています。
ちなみに八十八夜から立夏にかけては夏の準備をする目安となる時期で、晴れて安定した日が
続きます。新緑の季節で、九州では麦が穂を出し、北海道では馬鈴薯(ばれいしょ)や豆の
種まきが始まります。蛙も鳴き出すのもこの頃です。
その中でも飛行機にも関係する『霜』についても少しだけお話ししましょう。
霜とは、0℃以下に冷えた物体の表面に空気中の水蒸気が付着すると氷の結晶ができる現象です。
航空機にも冬の時期に機体表面に付着することがあります。
特に前日の夜中に降った雨が、晴れた朝に放射冷却によって冷えた機体に霜となって付着する
ケースも見られます。飛行機の翼などに付着した霜は、翼から揚力を奪い、最悪失速に至ります。
そのため、この霜を含めた雪が降った場合、航空機の出発前までに取り除かなければ行けません。
霜や雪を取り除くことを『除氷』と言います。また、除氷した機体の表面に特殊な液体を散布して
再び霜や雪が付着するのを遅らせることを『防氷』と言います。
防除氷作業の様子です。
この防氷の液体には何種類かあって、よく雪の降る地方(北海道、東北など)には性能の高い液体
が配備されています。それぞれ、その時の気温、降雪状況(降っているのか止んでいるのか)、
雪の種類(雪、みぞれ、霜、あられなど)の条件によって細かく有効時間が決められています。
パイロットとしてはなるべく遅くまいて、決められた有効時間内で離陸できるように計画します。
そのためにお客さんを乗せた後に作業をすることもあります。この液体は人体に無害とは言えませ
んので、エアコンの吹き出し口から機内に入らないようにするために、一時的にエアコンを切るこ
とがあります。その間、寒い思いをして頂くのは本当に心苦しいです。
過去にこの防除氷作業をしなかったことが原因で、大事故が起こって死者も出ました。
1982年(昭和57年) エアフロリダ墜落事故(ボーイング737型機)
アメリカ、ワシントン空港を離陸直後に失速して、ポトマック川の橋桁に激突、機体は大破。
乗員乗客、地上を含め78人が死亡しました。原因は十分な防除氷を行わなかったために失速し
墜落しました。
1989年(平成元年) オンタリオ航空墜落事故(フォッカー F28-1000)
カナダのトライデン空港を離陸後、同様に墜落。原因は同じく不十分な防除氷による失速でした。
この事故により24人の尊い命が奪われました。
墜落時の航空機
フォッカーF28-1000 同型機
今回は、皆さんがよくご存じの霜や雪などが対応を一歩間違えれば大事故につながるという
ことを紹介しました。われわれパイロットをはじめ航空関係者は常に自然やお天気を考え
日々、安全なフライトができるように心がけています。毎日が勉強ですね。
寒い冬も終わり、春が過ぎ、いよいよ夏が始まりますね。
この時期は、紫外線も多い季節ですので、屋外での活動は十分対策をしてください。
それではまたお会いできる日を楽しみにしています。
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