イスラエルとハマスの戦争は何を意味するのか

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皆さんこんにちは!

今世界は、2つの戦争で支配されています。

長引くウクライナ戦争。突如として勃発したイスラエルとハマスの戦争。

今後世界はどうなるのでしょうか?

パレスチナ問題とは

昔から、地中海の一番、東の沿岸にある地域のことを「パレスチナ」と呼んでいました。

南にエジプト、東にヨルダンがあって、北にはシリアやレバノンがある場所です。

このパレスチナの地にあるエルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、それぞれ

の聖地があります。宗教上とても重要な地域です。

聖書で「乳と蜜の流れる土地」(肥沃な大地)とたたえられ、十字軍やナポレオンの遠征

など世界史の舞台にもなってきた パレスチナ。16世紀以降この地はオスマントルコ帝国の

一部として、アラビア語を共通言語とし、 イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒が共

存していました。 しかし19世紀、西欧帝国主義諸国が中東に進出し、オスマン帝国は崩壊

の危機を迎えます。

同じころ、オスマン帝国からの独立を目指すアラブ人の民族主義の動きが活発化します。

またヨーロッパで差別や迫害を受けていたユダヤ人の間では、パレスチナに民族国家建設を

めざす「シオニズム」が生まれます。 19世紀末、ロシアでのユダヤ人の迫害を背景に、ユ

ダヤ人のパレスチナ移住が盛んになりはじめ、 ユダヤ系資本によるパレスチナの土地の買い

占めが始まりました。

第一次世界大戦中、イギリスは戦争資金を調達するためユダヤ人コミュニティに協力を仰ぎ、

「パレスチナにユダヤ国家建設を支持する」と表明した書簡を送りました(「バルフォア宣

言」)。 しかし同時に、オスマン帝国からの独立をめざすアラブ民族主義をも利用すべく、

メッカの太守フセインに対してイギリスへの協力の代わりに「アラブの独立支持を約束する」

という書簡も送ります (「フセイン・マクマホン協定」)。 そしてさらに同盟国であるフラ

ンスとは、戦争終結後は分割するという協定(「サイクス・ピコ協定」)を秘密裏に結びます。

戦争終結と英仏同盟国側の勝利により、パレスチナとヨルダンはイギリス、レバノンとシリア

はフランスの委任統治領になりました。 イギリスがアラブとユダヤ双方に対し相反する約束を

したことが、二つの民族主義の衝突の芽となりました。

1947年、国連はパレスチナの土地にアラブとユダヤの二つの国家を作るという「パレスチナ

分割決議」を採択します。 しかしその内容は、パレスチナに古くから住む多数のアラブ系住

民に43%、 新しく移住してきた少数のユダヤ系住民に57%の土地を与えるというもので、ア

ラブ系住民とアラブ諸国から猛反発が起こります。 パレスチナを統治していたイギリスは、

アラブ民族主義とシオニズムの対立の激化になすすべなく、 一方的に撤退し、アラブ・ユダ

ヤ双方の武装対立と緊張関係のなか、1948年にユダヤ側はイスラエル建国を宣言しました。

イスラエル建国宣言を受け、第一次中東戦争(1948年~1949年)が勃発します。 この戦争

で70万人のパレスチナ人(パレスチナに住むアラブ系住民)が居住地を追われ、 ヨルダン川

西岸地区やガザ地区、そしてヨルダン、シリア、レバノンなど近隣諸国に逃れました。

1967年、イスラエルとアラブ連合(エジプト・シリア)の間で第三次中東戦争が勃発します。

この戦争で圧勝したイスラエルは、ヨルダン川西岸地区と東エルサレム、ガザ地区、 シナイ

半島及びゴラン高原を軍事占領下に置きました。

イスラエルでは2001年にシャロン政権が誕生し、2002年4月にはパレスチナ自治区への武力

攻撃がかつてない規模で開始されます。 戦車や戦闘機が大量投入され、多数の非武装市民が

犠牲になりました。 2000~2005年の間の衝突による死者は、パレスチナ側3,339人(うち

子ども660人)、 イスラエル側1,020 人(うち子ども117人)にのぼりました。

2008年、2012年にはイスラエルによる大規模な軍事侵攻が行われ、多数の一般市民が犠牲に

なりました。 人や物資の移動も制限され、ガザ地区では深刻な物資不足や生活環境の悪化、

経済・社会活動の停滞が起きています。

西岸地域では、2002年から巨大な「隔離壁」(西岸とイスラエルを隔てるコンクリートや鉄

条網の壁)建設が開始されました。 隔離壁は1949年の停戦ラインを超えて建設され、ユダヤ

人入植地や入植者専用のハイウェイも組み込まれたため、 パレスチナ自治区は飛び地状態に

なっています。

この戦争の意味するところ

ハマスのイスラエル侵攻とイスラエルの宣戦布告は、防衛アナリストや防衛計画立案者に検

すべき一連の新たなシナリオを提起しました。

イスラエルの対応は、これまでのハマスとの紛争時とは異なり、2001年9月11日のテロ攻撃

の米国の対応よりもさらに本能的なものになる可能性があります。米国は、2001年にアフ

ガニスタンを打倒するために9/11攻撃に対抗し、アフガニスタンに侵攻しました。タリバン

はアルカイダ指導部の捕獲を試み、2003年にはイラクが隠れた核能力を持っているのではな

いかとの疑いのもと、イラクに侵攻し、より広範な対テロ戦争を開始しました。

ハマスによる最初の10月7日の攻撃からの流れをこのように見る人もいるでしょう。イスラ

エルはハマスの破壊を目指すでしょうが、安全保障環境をリセットする道も歩み始めるでし

ょう。それには、ヒズボラを脅威として排除し、ヨルダン川西岸を併合した後、イランを懲

らしめてイスラエルへの脅威を阻止するために攻撃することが含まれる可能性があります。

もちろん、ヒズボラはイランと同様に、挑発なしに独自に行動してイスラエルを攻撃する可

能性があります。1991年の砂漠の嵐作戦開始後のイラクのイスラエルに対する弾道ミサイル

発射の決定は、ヒズボラとイランがどのように行動するかを示す一例です。

しかし、これらを同時には起こらないか、あるいはまったく起こらない可能性のある一連の

出来事として捉え、(少なくともハマス排除の最初のキャンペーンの後は)、よりストレス

の多いシナリオに備えるのが賢明かもしれません。

疑問の一つは、ガザ地区のハマス掃討作戦がいつまで続くかです。歴史を見ると、大規模な

都市作戦の期間はさまざまであり、すべてがガザのようなわけではありません。その極端な

例としては、2003 年にバグダッドで米軍がイラクと戦った戦闘があります。戦闘は 6 日間

続きました。第二次世界大戦やベトナム戦争のガザに似たいくつかの市街戦は1か月以内に

続きました。2008年から2009年にかけてイスラエルがガザへの限定的侵攻を行った「キャス

トリード作戦」は21日間続きました。より極端な規模の戦闘は、2016年から2017年にかけて

イラクのモスルで約10か月間続いた戦闘です。

イスラエルは作戦をできるだけ早く終わらせたいでしょう。ハマスは補給を持たず、イスラエ

ルはパレスチナ民間人の多大な犠牲を払うわけにはいきません。そうすれば世界の支持が損な

われ、ヒズボラやイランが行動を起こしたり、他のアラブ諸国との関係が悪化したりするリス

クが高まるでしょう。

このシナリオでは、軍事製品の需要は、精密誘導兵器、航空機やヘリコプターの回転部品や弾

薬の急増に限定される可能性が高く、次に、イスラエルが作戦後にガザに対して何をするかと

いう問題が生じます。ただ撤退して人口200万都市の早期復興を期待するわけにはいきません。

ガザを統治するには治安部隊と政府資源の両面で長期的なコストがかかるからです。

大規模な戦争は、世界の防衛にはるかに大きな影響を与えるでしょう。そうするつもりだと脅

しているにもかかわらず、ヒズボラはイスラエルに介入して攻撃することを選択しないかもし

れません。レバノンは経済的に悲惨な状況にあり、イスラエルの対応はレバノンにとって2006

年の戦争よりもはるかに大きなダメージとなる可能性があります。ヒズボラとイランはまた、

シリアのアサド政権を支援するロシアの能力の弱体化を考慮する可能性がある。

しかし、ヒズボラは2006年の戦争時よりもはるかに多くのロケットとミサイルの在庫を持って

います。戦略国際​​問題研究所が2021年に発表した報告書では、ヒズボラが保有するロケット弾

とミサイルの数は、2006年の戦争前夜には1万5000発でしたが、現在は13万発と推定されて

います。ヒズボラはおそらく、ウクライナとロシアによる小型無人航空機システムの使用も観察

しており、それがイスラエルに損害を与える能力を増大させる可能性があります。

イスラエルはこの脅威を強く認識しており、そのアイアン・ドームはハマスとの以前の紛争で効

果的であることが証明されています。しかし、一部の砲台はハマスが10月7日に発射したはるか

に大規模な初期一斉射撃に圧倒された可能性があります。

イランとの戦争は空軍とミサイル部隊によって実施されることになりますが、ヒズボラとイラン

が攻撃を連携させた場合には同じ問題が生じるでしょう。イスラエルには、損傷または破壊され

た場合にイスラエルに重大なコストを課す重要なインフラターゲットが10〜15ある可能性があ

ります。イランはまた、地域内の他の国の重要な目標を攻撃して攻撃しようとする可能性もあ

るかもしれません。

中東におけるより広範な戦争の可能性は排除できず、その開戦日は10月7日から9日のような

突然で混沌としたものになる可能性もあります。ロシアの大規模なウクライナ侵攻は、世界の

国防支出に大きな変化をもたらしました。基本的なシナリオは、イスラエルがハマスの破壊を

目指し、その作戦はガザに限定されるというものです。それでも、ウクライナの要求を満たす

ためにすでに緊張している米国と欧州の防衛産業基盤にとって、より広範な戦争がどのような

ことを引き起こす可能性があるかについて、より多くの考えと準備が置かれるべきです。 

ヒズボラとは:レバノンを中心に活動している急進的シーア派イスラム主義組織で、イラン型

のイスラム共和制をレバノンに建国し、非イスラム的影響をその地域から除くことを運動の中

心としています。反欧米の立場を取り、イスラエルの殲滅を掲げています。

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