誰がするの?遠隔操縦

飛行機

皆さんこんにちは!

前回、飛行機の遠隔操縦についてお話ししました。

今日は更に一歩踏み込んで、遠隔操縦は誰がどのようにするのかを考察していきます。

現在、実際に遠隔操縦を行っている航空機はあるのでしょうか?

昨年、海上保安庁が採用した無人偵察機『シーガーディアン』、そして航空自衛隊

三沢基地に配備された『グローバルフォーク』からその現状を見ていきます。

シーガーディアン

海の守り神・シーガーディアン

海上保安庁、シーガーディアンの導入決定 | 惣郷木霊の四方山話

シーガーディアンは、海のの守り神とも呼ばれる大型無人偵察機です。2022年10月に

海上保安庁に配備されました。

運用が始まった無人機は米ジェネラル・アトミクス社の「シーガーディアン」(MQ-

9B)。全長11・7メートル、幅24・0メートルで、海保が実証実験を進め、導入

を決めました。導入費用は約40億円。

海保によると、有人機では心身への負担などで連続飛行時間は原則8時間以内と定めら

れていますが、無人機は飛行中に操縦者を交代することで24時間以上の連続飛行が

可能になります。

津波や噴火などの災害現場では、上空を旋回しながらリアルタイムで状況を把握。赤外

線暗視カメラやレーダーも搭載されており、海保関係者は「現場上空で旋回しながら対

象物を捕捉し続け、機体が揺れてもブレずに撮影できる」としています。

海上保安庁は早ければ2023年4月にも3機体制とし、さらにその後、1機以上配備する方向

で調整を進めているということです。

遠隔操縦航空機システム (RPAS)

シーガーディアンの開発・製造ならびに運用を行っている会社は、 General Atomics

の関連会社であるGeneral Atomics Aeronautical Systems, Inc. (GA-ASI) です。

General Atomics は、1955 年に General Dynamics 部門として設立された、防衛およ

び多角化技術企業です。具体的には、核融合システムを初めとするエネルギー、軍需産業

そして無人航空機産業を手がけています。

GA-ASI の Certifiable Ground Control Station (CGCS) 認知地上管制局は、遠隔操縦航

空機システム (RPAS)でシーガーディアンのような無人航空機用に開発されたシステムで

す。機能的には、飛行とミッション クリティカルな機能を分離します。飛行に不可欠な機

能は、既製のアビオニクスと、GA-ASI の認定可能な設計保証レベル ソフトウェアを実行

するフライト コンピューターを使用して実行されます。

GA-ASIのCertifiable Ground Control Station (CGCS)

ブロック 30 地上管制局

ブロック 30 地上管制局 (GCS) は、リモート操縦航空機 (RPA) のコックピットであり、

顧客が用意した建物または可動シェルターに収容され、1 台の GA-ASI 航空機を制御する

ために使用されます。デュアル シートのコックピットには、HD 統合タッチ スクリーン

ディスプレイと、乗務員が任意のビデオ ソースを任意の画面に移動できるようにするビデ

オ スイッチング機能が含まれています。パイロットとペイロード オペレーターの間の 24

インチ ディスプレイは、天候、空域、または両方の乗組員にとって関心のある情報など、

パイロット/ペイロード データを共有するための画面スペースを提供します。調整可能な

シート(加熱機能付き)と調整可能なラダー ペダルによって、ミッション時間のさらなる

延長が期待されます。ブロック 30 コックピットは、主に衛星通信 (SATCOM) データ リ

ンクを介した遠隔操作用に設計されています。

ブロック 30 地上管制局 (GCS)

左席はパイロット、右席はペイロード オペレーター。

ペイロードオペレーターとは、カメラなどの装置の操作・実験データの収集・解析・記録

地上の運用管制センターとの通信などを受持つと思われます。なんと、データとビデオの

表示を改善するための 11 個の HD ディスプレイを装備しています。

ポータブル航空機管制局 (PACS)

ポータブル航空機管制ステーション (PACS)

Portable Aircraft Control Station (PACS) は、航空機の飛行前および飛行後のすべて

の操作とエンジン機能を実行できる、堅牢で小型化されたシステムです。標準的な航空機

のメンテナンスおよび制御ステーションを、ダウンレンジ展開の準備が整った自己完結型

の高耐久性ポータブル ユニットに置き換えます。

すでにシーガーディアン に配備されている自動離着陸機能 (ATLC) と、2021 年に配備さ

れる SATCOM タクシー機能を組み合わせることで、PACS は、発射および回収サイト

(LRE) のフルサイズの地上管制ステーションに置き換えることができます。

特徴は、持ち運び可能で、日中の屋外条件で -10 °C から 60 °C で動作します。PACS

システムとソフトウェアは市販のコンポーネントで動作するため、寿命が尽きるコンポー

ネントの問題が軽減され、MQ-9A システム ソフトウェアを市販のコンピュータに将来

的にインストールすることができます。

統合情報センター

最新のオープン アーキテクチャとインフラストラクチャを備えたスケーラブルなオペレ

ーション データ フュージョン センターであり、コラボレーション、信頼性、安全性に

優れたミッションの計画と実行を可能にします。そのモジュラー設計により、自動化と

人工知能 (AI) 機能によって ISR ライフサイクル全体でマンパワーの必要性を削減しな

がら、将来の成長要件に迅速に対応する機能の拡張が可能になります。

マルチミッションコントローラー (MMC)

GA-ASIのマルチミッションコントローラー(MMC)

GA-ASI のマルチミッション コントローラ (MMC) は、自動化とユーザー体験に基づく設

計の組み合わせを活用することで、1 人のユーザーが複数の航空機とそのミッションを同時

に安全に制御できるようにします。MMC から、ユーザーは航空機を通過し、日常的な諜報

監視、偵察 (ISR) 任務を実行します。

インターフェイスは非常にシンプルで、ユーザーが複数の車両やエンティティを同時に制御

する今日のビデオ ゲームからヒントを得ています。航空機が捜索活動または攻撃任務を遂行

する任務を負っている場合、MMC は航空機をブロック 30 または CGCS に迅速にハンドオ

フすることを可能にします。その後、ブロック 30の乗組員が航空機を制御して任務を遂行

できます。複雑な任務が完了すると、GCS の乗組員は簡単に制御を MMC に戻します。

これらのハンドオフにより、安全で制御されたミッションが可能になります。

自動回避機能

シーガーディアンには、他の航空機と衝突しないように自動回避機能が装備されています。

昨年、海上保安庁は、実際に飛行機を接近させてその機能の有効性を証明しています。

グローバルホーク

グローバルホーク・鷹の目

グローバルホークは、ライアン・エアロノーティカル社によって開発された無人航空機です。

現在は同社を買収したノースロップ・グラマン社の製品になっています。アメリカ空軍など

によって使用されていて、イラク戦争で実戦に投入されました。

MQ-1プレデターなどの無人航空機とは異なり、攻撃能力を持たない純粋な偵察機です。

ニュース画像 1枚目:三沢基地に納入されたRQ-4Bグローバルホーク「機体記号:23-6003」

無人機グローバルホークとプレデターの違いと性能。航空自衛隊が導入!

操縦に関しては無人機のため、パイロットが搭乗することなく、遠隔地の地上施設内の操縦装

置から機体をコントロールすることになります。

離陸時は電波の関係から航空機本体に近い場所からの遠隔操縦となるが、グローバルホークの

飛行高度が高くなると、アメリカ本土のカリフォルニア州ビール空軍基地とノースダコタ州グ

ランドフォーク空軍基地で、米空軍のパイロットが操縦します。

グローバルホークの操縦を行うパイロットであるが、通常のパイロット資格を持つ者の中から

無人機に関する特別訓練を受けて資格を得た隊員が操縦します。

2022年12月15日、航空自衛隊は日本周辺での警戒監視を強化するために導入した無人偵察機

グローバルホークを運用する部隊を発足させました。自衛隊に無人機の運用を専門とする

部隊が発足したのは初めてです。

グローバルホークは、防衛省はおよそ340億円をかけて2機調達し、2022年3月、青森県の

航空自衛隊三沢基地に配備しています。

まとめ

シーガーディアン、グローバルホーク共に、軍事目的での遠隔操縦です。これは、パイロ

ットが危険な目に遭わないようにすることと、パイロットにかかる人件費の削減が目的です。

ちなみに戦闘機のパイロットが一人前になるには、約10億円の費用と3~4年の期間か必要

です。グローバルホークは機体と運用設備を含めて約150~180億円です。オペレーター

の養成はせいぜい半年足らずです。コスパを考えると決して高いとは言えません。

今後、空飛ぶクルマには、パイロットが操縦するタイプと遠隔操縦(自律飛行)タイプが

出てきます。当初は、前述の『パイロットあり』が大半でしょうが、技術が進むにつれて

遠隔操縦型が支流になってくるでしょう。同時に大量の交通量を一括(一つのモニター)

管理できるようなシステムも出てくるでしょう。しかも、空域ごとに一元化しないと

混乱の元になります。機体の開発と共にこの様なインフラストラクチャーの開発も

必要になってきます。そして、日本がアジア、いや世界の標準(基準)となるシステム

の開発をリードできるよう官民一体となって頑張って欲しいと思います。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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