皆さんこんにちは!
ウクライナ戦争でドローンの存在がこれほどクローズアップされたことはありません。
それまでドローンは、空撮などの娯楽のイメージが強かったのですが、兵器としての
存在が大きくなってきました。
今日は、フランスの開発状況を見てみます。
エアバス、フランス海軍の潜在的需要に備えVSR700を準備
VSR700無人ヘリコプター(クレジット: エアバス・ヘリコプターズ)
エアバス・ヘリコプターズは、昨年同プラットフォームが軍艦から運用できることを
実証しており、VSR700無人ヘリコプターの開発完了まであと2~3年だと述べてい
ます。
VSR700は、フランス海軍がフリゲート艦に回転翼無人航空機システム(UAS)を
求めると予想されていたため、2016年からフランス海軍グループと共同開発が進め
られてきました。VSR700は、民間船舶や軍艦からの離着陸を何十回も成功させてお
り、現在開発の最終段階に入っていると、VSRプログラム責任者のニコラス・デルマス
氏は、当地で開催中のユーロサトリ防衛見本市会場で6月17日、アビエーション・ウィ
ーク誌に語りました。
「設計の観点では、現状を維持したいと考えています。現状はうまく機能しています。
しかし、内部にはまだプロトタイプの要素が残っているため、最終開発段階を経る必
要があります」とデルマス氏は言う。「再設計や変更はまったく必要ありません。
プロトタイプを量産機に変えることです。」
同社は現在、フランスの防衛資材庁DGAと協力し、SDAM(海軍空中ドローンシステム)
として知られるこのプログラムをいつ開始するかについて検討しています。
早ければ2026~27年に開始される可能性もありますが、同社はオーストリア企業の
S-100プラットフォームの拡大版であるシーベル社のS-300などのプラットフォームと
の競争を予想しています。
「飛行したので、我々は一歩先を進んでいる」とデルマス氏は述べ、現在提供されてい
るもの(一般的にかなり小型)と比較すると、VSR700は海軍UASプラットフォームの
サイズ、重量、性能の点で最適な位置にあると付け加えました。
エアバスは、サイズが大きくなり、ディーゼルエンジンも採用されたことで、VSR700
の飛行時間は 8 時間になると主張しているのです。デルマス氏は、この航空機は 2 つ
のペイロードを搭載でき、おそらく捜索レーダーと電気光学カメラ システムを搭載し、
レーダーはカメラを関心のあるターゲットに向けるのに役立つだろうと指摘しています。
デルマス氏は、他の海軍用回転翼無人機の多くは積載量が 1 つに制限されているが、
新型の折りたたみ式ローターヘッドは、有人ヘリコプターとともに艦船の格納庫に保管
されているときに機体サイズをさらに小型化すると指摘。また、フランス国外からも
この機体への関心が高まっており、エアバスは今年初め、この機体が飛行している
トゥーロン近郊の試験場で、潜在的な輸出顧客向けのデモを実施したとデルマス氏は
語りました。
しかし、VSR700 プログラムは、高度な UAS の構築だけでなく、VSR700 のベース
となっている商用ヘリコプターである Guimbal Cabri G2 軽量ヘリコプターのディー
ゼル エンジン搭載バージョンの認証にもつながるように思われます。
「ヘリコプターズ・ギンバルは、カブリG2用ディーゼルエンジンの認証に5年間取り
組んできましたが、現在、その取り組みは最終認証段階にあります」とデルマス氏は
言います。
当初の構想では、ディーゼルエンジンの商用化のため、ギンバル社が開発を主導する
予定でした。しかし、VSR700 プログラムの進展により、このエンジンをカブリ G2
に導入することが可能になったとデルマス氏は説明しました。
「[VSR700で]行った作業の一部はCabri G2にも役立ちますが、これは本当にチーム
の努力によるものです」と彼は言います。
このチームの努力は、VSR700 が量産に入った場合も継続され、エクス レ ミル飛行
場の、ヘリコプターズ ギンバルの自社組立ラインの近くに組立ラインを建設する計画
があります。エクス レ ミルは、マルセイユ近郊のマリニャーヌにあるエアバス ヘリコ
プターズの主要施設からわずか数マイルの距離にあります。VSR700 の組立をギンバル
工場の近くに行うことで、「相乗効果が向上し、効率的に連携する能力が強化される」
とデルマス氏は述べました。
しかし、すべてがうまくいったわけではない。昨年春、ブレスト沖で飛行試験中、
試作機VSR700は手動着陸を試みている最中に海に落ちたのです。機体は回収されまし
たが、飛行以外の任務のみに追いやられ、ユーロサトリなどの見本市に静止状態で展示
されています。2021年4月にフランス政府がパンデミック対策の一環として発注した
2機目の試作機が、飛行試験任務を引き継ぎました。
フランス、協定を通じて軍用ドローン産業の発展を推進
フランス国防省は、150kg未満の無人航空機システム(UAS)とペイロードに関する
独自の能力を確立するため、同国のドローン業界と協定を結びました。
フランスは、ロシアとのウクライナ戦争において小型ドローンが及ぼす影響が拡大し
ていることを認識し、国内と輸出の両方のニーズに対応できるだけでなく、紛争時
にはエマニュエル・マクロン大統領が概説したいわゆる戦時経済のニーズを満たす
ために強化できる国家産業能力を求めています。
フランスの大手元請け企業と中小企業約50社が、6月17日に当地で開かれたユーロ
サトリ防衛見本市初日にセバスチャン・ルコルニュ国防相が発表した協定に署名しま
した。
フランス国防当局者らによると、このアプローチの目標は、主に商業市場に焦点を当
てた多数の孤立した小規模企業からなる「断片化された」ドローン産業を「構造化し、
発展させる」ことです。フランス企業数社はウクライナからの注文で活気づいていま
すが、フランス軍のドローン注文は微々たるものです。
この取り組みは、フランスの陸上防衛・安全保障業界団体GICATとフランス産業ドロ
ーン協会(ADIF)の呼びかけに基づいています。両団体は、同国のUAS業界とのより
緊密な協力と、UAS技術に追いつくためのより互換性のある新しい取得プロセスの開
発を求めてきました。
この新たな協定は、プラットフォーム、軍事システム、ペイロードの開発を支援する
ための投資を奨励することを目的としています。これらの動きは、2月に発表され、
調達の変更とより強靭な産業基盤を求める内容となっている英国の防衛ドローン戦略
と類似しているようです。
小規模な企業が、同じくこのイニシアチブに署名したフランスの大手防衛元請け企業
の一部と提携することが期待されています。
「ドローンは戦場を変えている」と、この計画を監督するフランス軍需品庁(DGA)
のエルワン・サルモン将軍はユーロサトリでの円卓会議で語り、フランスがこの技術
に「遅れずについていく」ことが必要であり、システムを標準化する良い機会だと付
け加えました。
フランス参謀本部のエルベ・メルモド大佐は同円卓会議で、優先事項の一つは「電磁
環境において我々に優位性を与える」ドローンのペイロードの開発だと語りました。
業界の数字はより慎重で、ドローンの開発コストは企業の年間売上高よりも大幅に高
くなる可能性があると指摘しています。
ドローン協定の次の段階には、防衛ニーズに特化した「技術的構成要素」のロードマッ
プと、システムの取得および輸出戦略の策定が含まれる。ドローン技術の開発はフラン
ス軍の変革の4つの柱の1つであり、ドローン群は「作戦上の優位性を維持する」上で
極めて重要とみられています。
まとめ
現在、世界の軍需産業は無人機に力を入れています。ハードウエアだけではなくソフト
ウェアにも注目しています。
戦場という異常な状況下で常に敵を攻撃することは、かなりの技術を要します。
通常であれば、GPSの電波や磁気の誘導電波によって攻撃するところが、電波妨害は
当たり前になっている戦場では正確な攻撃はできません。いかに自律して勝手に敵を
攻撃できる性能が求められています。また同時に、そのような自律型ドローンに対抗す
る兵器も開発しなければなりません。まるでイタチごっこです。
しかしドローン兵器の開発競争に勝つことが戦場を有利に支配できることに繋がってい
ます。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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