皆さんこんにちは!
中国のeVTOLメーカー大手のイーハングが、ついにアフリカに進出したという話題です。
中国習近平政権は、ロシア、北朝鮮などの関係を密とすると共に、西側諸国に対抗するため
にインドや東南アジアを取り込み、まだ未開のアフリカに進出しようとしています。
その一歩として、白羽の矢となったのがイーハングです。
イーハングがアフリカの空にEH216-S EVTOL機を初公開
アフリカに初登場したイーハング社 EH216-S (クレジット: EHang)
中国のeVTOL開発企業イーハングは、9月4日に開催される今年の「Aviation Africa
Summit and Exhibition 2025」で、アフリカ大陸で初となる電動エアタクシーの公開デモ飛行を実施し、大きな節目を迎えます。
この歴史的な旅客飛行は、ルワンダの首都キガリのキガリ・コンベンションセンターで政府
高官や1,700人を超える代表者の前で行われ、アフリカの先進航空機動(AAM)部門にとって画期的な瞬間となりました。
ルワンダ民間航空局(RCAA)との協力により実施されたイーハングの飛行は、ルワンダが
都市型航空モビリティ(UAM)におけるリーダーとしての地位を確立していることを示し
ています。2人乗りのEH216-Sは、中国民用航空局(CAAC)による有人機無人航空機の
航空運航証明書(OC)を含む、一連の規制認証を取得した世界初の無人機eVTOLです。
イーハングの国際部門最高執行責任者であるジン・シアン氏は、「ルワンダでこの歴史的
な節目、すなわちアフリカで有人旅客輸送型無人航空機EH216-Sの初飛行を達成できたことを誇りに思います」と述べました。
「このデモンストレーションは、RCAAをはじめとする公的機関との緊密な連携の成果で
あり、当社の技術の安全性と成熟度を示すものです。本日は、アフリカにおけるAAMの
新たな章の始まりとなると確信しています。ルワンダは再びイノベーションとスマート
モビリティをリードすることになります」とシアン氏は述べました。
このeVTOL機は最大30km(18.6マイル)の飛行距離と最高速度約130km/h(80.8mph)
を誇ります。8本のアームに搭載された16個の電動モーターで駆動します。
キガリでの飛行は、イーハング社が6月にインドネシアで旅客飛行のデモンストレーション
に成功したことに続くものです。EH216-Sは、タイ、スペイン、そして中国の複数の地域
でも旅客飛行ミッションを実施しています。キガリでの飛行は、イーハング社がアフリカ
大陸全体に向けて行っている広範な投資の一環でもあります。
「この歴史的なエアタクシー飛行は、アフリカにとって極めて重要な瞬間を象徴してい
ます」と、アフリカン・ドローン・フォーラム(ADF)の共同議長、ジョンティ・スレー
ター氏は述べています。「これは、低高度(通常400フィート以下の空域)経済を活用し
それがもたらす様々な機会を解き放つことで、アフリカ大陸が移動に関する課題を飛躍的
に克服できる可能性を浮き彫りにしています。」
このデモ飛行は、ルワンダが低高度経済と包括的な無人航空機(UAM)エコシステムの構築
を目指す計画に合致しており、観光は初期の重要なユースケースの一つとされています。
同国は既にUAMの運用を支援するため、全国に30カ所の垂直離着陸場(Vertipport)
ネットワークを構築する計画を立てており、現在、適切な空域管理と規制の枠組みを整備中です。
ルワンダは、国内の遠隔地に医療用品を配達するためにドローンを使用している米国企業
ジップラインと提携し、過去10年間にわたりUAMの運用に関する貴重な経験をすでに積んでいるのです。
ルワンダ共和国とは
ルワンダ共和国の概要
ルワンダは「千の丘の国」として知られる、中央アフリカに位置する内陸国です。
- 地理: 起伏に富んだ丘陵地帯が広がり、平均標高は1,600mと高地にあるため、熱帯でありながら比較的過ごしやすい温帯気候です。北はウガンダ、東はタンザニア、南はブルンジ、西はコンゴ民主共和国と国境を接しています。
- 首都: キガリ
- 人口: 約1,300万人(2025年時点)
- 国土面積:2万6千平方キロメートルです。これは日本の秋田県と岩手県を合わせた面積
国土面積は秋田県と岩手県ほど
歴史:ジェノサイドからの復興
ルワンダの歴史は、1994年の悲劇的な出来事によって大きく変わりました。
- 植民地時代: 19世紀末からドイツ、その後ベルギーの植民地となりました。植民地支配下で、フツ族とツチ族という民族間の対立が深まりました。
- ルワンダ虐殺: 1994年4月、当時の大統領の暗殺をきっかけに、フツ族過激派によるツチ族の大量虐殺が始まりました。わずか3ヶ月間で80万~100万人が犠牲になったとされています。
- 復興: ジェノサイド終結後、ポール・カガメ大統領率いるルワンダ愛国戦線(RPF)が政権を掌握し、ジェノサイドの教訓から民族融和を掲げ、国家再建と経済発展に力を入れています。
用語:ジェノサイド(genocide)
ジェノサイド(genocide)とは、特定の国民、民族、人種、宗教集団を、全体または一部破壊する意図をもって行われる行為のことです。これは集団殺害を意味する法律用語で、1948年に国際連合総会で採択された「ジェノサイド条約」によって国際法上の犯罪と定められました。ルワンダで1994年に発生した事件は、多数派のフツ族が少数派のツチ族に対して、わずか約100日の間に大規模な殺害を行ったもので、国際社会からジェノサイドと認定されています。
政治:強力なリーダーシップと女性の社会進出
現在のルワンダは、ポール・カガメ大統領が長期政権を維持しています。
- 政治体制: 共和制
- 女性の社会進出: 女性議員の割合が世界で最も高く、社会的・政治的に女性の活躍が進んでいます。
- ウムガンダ: 毎月最終土曜日には、全国民が道路清掃や公共施設の修繕などのコミュニティ奉仕活動に参加する「ウムガンダ」という伝統があり、国民の結束を強めています。
経済:IT立国を目指す「アフリカのシンガポール」
ルワンダ経済は、ジェノサイドからの力強い復興を遂げています。
- 主要産業: 主な輸出品はコーヒーや紅茶です。国民の約9割が農業に従事しています。
- 「ビジョン2020」: 2000年にカガメ政権が発表した国家開発計画「ビジョン2020」では、IT分野への投資を積極的に行い、知識立国を目指しています。首都キガリには「アフリカのシンガポール」とも称されるほど、イノベーションセンターやスタートアップ企業が集積しています。
ルワンダと中国の関係
ルワンダと中国の関係は、緊密な協力関係にあります。特に経済分野での結びつきが強く、
「一帯一路」構想の下で、中国からの大規模な投資やインフラ整備が行われています。
主要な協力分野
- 貿易・投資: ルワンダにとって中国は主要な貿易相手国の一つであり、中国はルワンダからコーヒーや紅茶、鉱物などを輸入し、ルワンダには建設機械などを輸出しています。
- インフラ整備: ルワンダのポール・カガメ大統領は、中国がルワンダのインフラ現代化に大きく貢献したとして感謝の意を表明しています。中国は、ルワンダの主要なインフラプロジェクトに資金提供や建設で関与しています。
- デジタル経済: 中国のEコマース大手アリババは、ルワンダに「世界電子商取引プラットフォーム(eWTP)」を設立し、ルワンダの中小企業が越境ECを通じて商品を世界に販売できるよう支援しています。これは、ルワンダの「IT立国」戦略に沿った重要な協力の一環です。
- 人材育成: 中国はルワンダに対し、専門的な人材育成プログラムを提供しており、技術や知識の移転にも貢献しています。
一方で、中国企業による現地での労働者虐待など、一部で問題も報じられています。
しかし、全体としてルワンダ政府は中国との関係を重視しており、両国間の協力は今後も継続していくと見られています。
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