皆さんこんにちは!
北海道浪漫飛行 2日目は、ニセコアビエーションの経営者ベン氏に合うことです。
ニセコアビエーションは、その名の通りニセコに拠点を持つ航空関連企業です。
創設者、経営者のベン・カー氏がわざわざ出迎えてくれました。そしてまさかの・・・
ニセコの空へ
ニセコアビエーションについて
ニセコアビエーションは、北海道倶知安町を拠点とする航空関連企業です。創設者は、元々
ニセコの不動産業界で活躍していたオーストラリア人のベン・カー(Ben Kerr)氏です。
ベン氏は、1997年に日本に移住してきました。当時は、ウインタースポーツが好きでニセコの自然に魅せられ、移住を決意したそうです。
その後、オーストラリア人の観光ガイドを務め、旅行会社とも提携。外国人相手の不動産業に関わると共に2002年にニセコリアルエステートを設立。
趣味であった飛行機を飛ばすことを目的にニセコに農道飛行場を創り、飛行機を飛ばすためにニセコアビエーションを設立しました。
現在は、オーガニック野菜を生産販売するニセコファーム(同施設内)とその野菜を使ったピザを製造販売するレストランも経営しています。
待ち合わせ場所へ
前日のたきかわスカイパークの訪問の後、その日の夕方にニセコに到着。
9月11日もニセコは快晴。
9時にニセコファームにてベン氏との待ち合わせ。滞在先のホテルから車で約20分で到着。
ニセコファームと言っても、草原の中に大きな倉庫とビニールハウス、ヤギが3頭のみ。
いささか、場所が違うのかなぁと不安に駆られる。そうしていう内に1台のジープが。
ベン氏(さん)との初めての対面。ベンさんはジーパンにTシャツ、そしてサンダル履き。
帽子とサングラスがに合うナイスガイ。何と日本語がペラペラ。


オーガニックビザを焼くドームとピザ焼き窯

3匹のヤギ、離着陸時はヤギがいないことが確認
カブクラフターズ XCub(カブ)
倉庫の中から登場したのはカブクラフターズ(米)Xカブです。
尾輪式のその白い機体は、周りの緑と蒼い空に映えてその美しさを増しています。


クロスカントリーに最適な機体。タイヤは大きく未舗装の場所でも着陸可能
Xカブは、STOL(短距離離着陸)性能に優れ、未舗装の滑走路や短い場所でも運用できる汎用性の高さが特徴です。
- エンジン: ライカミング O-360-C1G(180馬力)またはライカミング CC393(215馬力)
 - 巡航速度: 約145ノット(時速約269 km/h)
 - 最大航続距離: 約800海里(約1,482 km)
 - 離着陸性能: 非常に短い距離での離着陸が可能で、未舗装地での運用に特化しています。
 - 搭載量: 優れた搭載量を持ち、多様なミッションに対応できます。
 - 特徴:
- 堅牢な構造: ラフな着陸にも耐えられるよう、頑丈な構造となっています。
 - 優れた視界: 大きな窓と高い翼配置により、良好な視界を確保しています。
 - モダンなアビオニクス: 最新のデジタル計器(グラスコックピット)を搭載し、パイロットの負担を軽減します。
 - カスタマイズ性: フロート(水上機用)やスキー(雪上用)への換装も可能で、様々な環境での運用に対応します。
 
 
ベンさんは、機体を掃除し始め、プロペラ、翼、エンジン周りの汚れを拭いていきます。
『乗ってみます?』
『良いんですか?!喜んで』
ニセコの空へ

コックピットは最新のアビオニクス
コンロロールステック(中央)、右にスロットル(黒の丸)とプロップコントロール(青色レバー)、ラダー(足下)は小さくシンプル。


後席でも同じ様にコントロール可能です。

後席に乗るには少しコツが要りますが、中は広々、快適空間です。

羊蹄山、手前の草地が350mの坂の滑走路です。この距離はXカブにとっては十分すぎます。
農地空港として登録するには、この長さが必要だったそうです。元々はジャガイモ畑。
それをベンさんは、一人で整備しました。夏は草刈りが大事なお仕事です。
飛行機に乗り組み、簡単な装備の確認。エンジンスタートはあっという間。
坂の上に登り(離陸位置までタクシー)、約4分間の暖機運転(エンジン回転数2000回転)
いよいよ、離陸開始!坂を勢いよく滑走していきます。速度がある程度ついたところで
ファラップを降ろします。そうするとすぐに浮き上がりました。それは一瞬の出来事。
旋回しながら上昇。ニセコの街や羊蹄山の上を飛行しました。

気持ちいい~
上空で窓を開けれるのもXカブならでは。後席は風がまともに当たります。しかしそれもまた気持ちいい~
Xカブの最高上昇可能高度は約14,000フィート(約4,267メートル)、羊蹄山は標高約6,227フィート(1,898メートル)。
少し紅葉し始めた羊蹄山は緑に映えて美しさ倍増!
Xカブのコントロールはセンシティブ。易しく丁寧に。パワーがあるので上昇もストレス無し。
10分から20分のフライトは楽しいだけ。飛ぶってこんなに楽しかった?!
訪問の成果

飛行を終えたベンさん(右)と筆者
LSAの活用
今回の訪問では、ベンさんの人柄に魅了されると共に、フライトの豪華おまけ付き。
ベンさんは、オーストラリアで飛行機の免許を取得。ライセンスは自家用操縦士免許。
訓練は尾輪式航空機で行ったため、そのまま尾輪式の航空機にハマっているとか。
もう1機フロート付きのXカブを持っており、沖縄や日本の湖で飛行しています。
フライト後、1時間あまり日本の航空情勢とLSAの必要性について意見交換しました。
ベンさんは、LSAを早期に導入して自家用操縦士免許の取得の足がかりにすべきと主張。
エアラインパイロットを目指す人は事業用まで取れるような訓練体系の確立。
一方でレジャーに特化した訓練、運用をすべくシニア層、富裕層の訓練の2極化が鍵となりそうとのことでした。
FAAのパート35
今後、LSAを導入するに当たり、機体にFAAでいうところのパート35の航空機用プロペラの
耐空性基準を定めた規則を適用性について意見が出ました。
この法律は、プロペラの設計、製造、および試験に関する要件を詳細に規定しています。
実際にベンさんはこのXカブをFAAのパート35を取った後に日本に輸入しました。
アメリカFAAの言いなりのJCABにとっては、反論のしようがありませんから。
整備士不足
そうなると必要となるのが、日本で言うところの『1等整備士』です。
資格を持った整備士の確認検査が年1回必要になります。
それではベンさんは実際にどうしているのでしょうか?知り合いの整備士に頼んでいるそうです。
コストはかかりますが自身の安全のためと、JCABの信用を確保するには必要なことです。
いずれにしても日本では資格を持っている整備士は現象と高齢化が進んでいます。
人材確保として自衛隊OBを活用することを提案します。
温暖化が飛行訓練空域、飛行場問題を変える
北海道内には数多くの農道空港や小型機の離発着空港(滑走路)があります。
しかし、冬期は使用できないのが現状です。雪が降ったら仙台や山形まで南下するそうです。
一方で、近年の地球温暖化の影響を受けて冬の期間が短くなっているそうです。
そのため、ニセコなどのリゾート地は夏型のレクリエーションに力を入れているそうです。
実際にニセコのゲレンデの近くにモトクロスバイクの大型のコースを作っています。
上空からもわかるくらいの大きさでした。今月末にはニセコマラソン、サイクリングロードの整備など北海道をあげて取り組んでいます。
余談ですが、今北海道はジャガイモの収穫時期です。ニセコの周りには広大なジャガイモ畑が広がっています。
今年は猛暑の影響で収穫は2~3割減っているそうです。
これらの現象は一見たいへんなことと思えるでしょうが、フライトに関して言えばそれだけ
飛行する時期が延びると共に使える飛行場が増えることになります。
隣の倶知安に1200mの滑走路を建設予定だそうです。主にプライベート航空機用の滑走路です。
インバウンドを見据えた戦略です。
今回の北海道訪問は、実りあるものでした。ますますLSAの導入を加速させる必要性がはっきりした2日間でした。

 


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