ボーイング、787施設の拡張を正式に開始

飛行機

皆さんこんにちは!

ボーイングの生産ラインが停まったことは、ボーイング本体だけではなく、世界の航空会社にも大きな影響を与えています。

ここに来てやっと再開の目途が立ってきました。今後のボーイングの行方は?

ボーイング、787施設の拡張を正式に開始

ボーイング最終組立棟(想像図)

クレジット: ボーイング

ボーイングは11月7日、サウスカロライナ州ノースチャールストンの本社キャンパスで

787型機の大規模な生産拡張工事の開始を式典で発表し、数千人の従業員と地元当局者を

集めたライブイベントを開催しました。このイベントは同社のソーシャルメディアチャンネルでも放送されました。

10億ドル規模の拡張計画の焦点は、120万平方フィート(約120万平方メートル)の新たな

最終組立ライン(FAL)棟の建設です。この棟は、2つの並行ラインを有する既存の施設と

「同様の」ものとなります。ボーイング社はまた、部品準備エリア、垂直尾翼塗装施設、

そしてフライトラインのストール(機体)の増設も計画しています。内装センターも拡張

される予定です。新しいFALは2028年に完成予定です。

「フライトラインの規模を倍増させ、工場の規模も倍増させます。将来的には4つの生産

ラインを同時稼働させることも可能になるでしょう」と、ボーイング民間航空機部門エンジ

ニアリング担当副社長のリサ・ファール氏は述べました。「これは驚異的なことです。特に

ワイドボディ機の製造においては、まさに驚異的です。」

昨年末に発表され、すでに着工している拡張工事は、ボーイングの787型機の長期生産

計画の鍵となります。現在の工場では、月産7機から8機へと生産量を拡大しているのです。

計画では、2026年には月産10機に増産される予定です。

ノースチャールストン工場は、ピーク時には月産7機程度でした。現在は閉鎖されている

ワシントン州エバレットの生産ラインと合わせると、COVID-19パンデミックとそれに伴う

生産低迷以前は、両工場合わせて月産14機程度でした。第2FALと関連施設の開設により

ボーイングは月産能力を以前のピーク時である月産14機、あるいはそれ以上に引き上げることが可能となります。

ボーイングの公式受注残は9月30日時点で5,954機で、そのうち787は993機に上ります。

これは月14機の生産ペースで約6年分の生産量に相当します。これまでに787は1,230機

納入されています。このうち611機はサウスカロライナ州で生産されました。

「787ドリームライナーファミリーとその市場をリードする効率性と汎用性に対する需要は

引き続き堅調です」と、ボーイング民間航空機部門社長兼CEOのステファニー・ポープは

述べています。「本日、この大規模な投資を行うことで、ボーイングは今後数十年にわた

り、お客様のニーズに応えられる体制を整えることができました。」

ボーイングは、このイベントを、事業拡大をアピールし、雇用機会を積極的にアピールする

場として活用しました。イベントの締めくくりには、12名の要人が金色のシャベルで鍬入

れを行い、その後ろで掘削機が土砂を投棄した。講演者は、同社の採用活動について何度も言及しました。

ボーイング民間航空機部門の人事担当シニアディレクター、ランディ・シェパード氏は、

このイベントで講演した上級役員の一人であり、イベントではスコット・ベセント財務長官や州および地方の政治家による演説も行われました。

サウスカロライナ州チャールストンにあるボーイングの現在の拠点。(左上の飛行機の形をした公園に注目してください。)写真提供:ボーイング

ボーイング復活への道:787生産増強の裏にある「信頼回復」戦略

世界の航空機産業の巨星、ボーイングが正念場を迎えています。

サウスカロライナ州チャールストン工場への787型機「ドリームライナー」の生産集中と

2028年までの増産計画は、単なる生産能力の拡大以上の意味を持ちます。これは、過去

数年にわたり品質問題やストライキによる納入遅延で失われた、世界の航空会社からの

「信頼」を取り戻すための壮大な戦略にほかなりません。

果たしてボーイングは、かつての生産量を取り戻し、空の旅の未来を再びリードできるのでしょうか?

過去の課題:なぜ生産は止まったのか

ボーイングは近年、度重なる問題に直面してきました。

特に、主力機である737 MAXの安全問題に加え、787型機でも製造上の品質基準に関する

問題が相次いで発覚しました。胴体接合部の許容範囲を超えるわずかな隙間など、安全基準

には抵触しないものの、将来的な耐空性に影響を及ぼしかねない欠陥が見つかり、納入が長期的に停止しました。

さらに、労働組合との関係やサプライチェーンの混乱も重なり、生産体制は停滞。その結果

世界中の航空会社が機体不足による路線計画の見直しやコスト増を強いられるという、甚大な影響を及ぼしました。

チャールストン増強の真の狙い

今回、ボーイングが787の最終組立ラインをワシントン州エバレットからチャールストン

工場に一本化し、2028年までに増産を目指す背景には、二つの大きな狙いがあります。

  1. 品質管理の厳格化と効率化: 生産拠点を集約することで、品質チェックの基準と手順を統一し、トレーサビリティ(追跡可能性)を向上させることができます。過去の品質問題は、主に製造プロセスのバラツキに起因していました。一本化は、このバラツキを最小限に抑え、「品質ファースト」の文化を定着させるための構造改革です。
  2. コスト構造の改善: 長期的な視点で見れば、より効率的で現代的な工場に生産を集中させることは、製造コストの削減にもつながり、財務基盤の回復に不可欠です。
今後のボーイングの最優先事項と戦略

ボーイングが以前のような生産量と影響力を取り戻すためには、以下の3つの方針を徹底する必要があります。

1. 安全と品質の文化再構築(最優先)

何よりも、納入のスピードよりも安全と品質を最優先するという明確なメッセージを、経営層から現場まで浸透させることが不可欠です。これは、外部の航空当局(FAA)や航空会社、そして最終的な乗客からの信頼を回復するための唯一の道です。チャールストン工場での厳格な生産プロセスが成功の鍵となります。

2. サプライチェーンの安定化

パンデミック後の世界のサプライチェーンは依然として不安定です。増産目標を達成するためには、エンジンや機体部品を供給する世界中のパートナー企業との連携を強化し、部品のボトルネックを解消することが急務となります。

3. 将来を見据えたポートフォリオ戦略

短期的には737 MAXと787の増産が焦点ですが、長期的には次世代機の開発も欠かせません。開発が遅れている777X(大型双発機)の納入開始、そして将来的にはNMA(New Mid-market Airplane)のような新機種の開発が、ライバルであるエアバスに対抗するための生命線となります。

まとめ:復活の「翼」を広げるために

世界の航空会社は、今後20年間で数万機の新規航空機が必要になると予測されており、

ボーイング機への需要自体は非常に高い状態にあります。特にアジア太平洋地域を中心とし

た航空需要の回復は、ボーイングにとって強力な追い風です。

しかし、この大きなビジネスチャンスを掴むことができるかどうかは、ボーイング自身が

過去の過ちを乗り越え、品質と安全に対する徹底的なコミットメントを示すことができるかにかかっています。

チャールストンでの787増産計画が、単なる生産再開ではなく、「信頼回復」という名の

ボーイングの復活劇の第一歩となるか、世界が固唾を飲んで見守っています。

 

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