中東の航空会社が大型化を目指す背景

飛行機

皆さんこんにちは!

中東UAEのエミレーツ航空やエティハド航空が航空機の大型に力を入れています。

今回のドアバイエアショーのA350とB777の大量注文を始め、生産が中止となったA380の買い付けにも動いています。

はたして、エミレーツがなぜ大型化を目指すのか?その背景は?

エミレーツ航空、ドバイからの大型受注を受けA350と777の大型化を目指す

ボーイングは先週のドバイ航空ショーで、777-9型機の大型受注を獲得しました。65機

(1機あたり5億7,580万ドル)で、定価380億ドル相当となります。ボーイングにとって

777X型機の最大の顧客であるエミレーツ航空は、現在270機の777X型機を受注していま

す。これは、ボーイングの受注残に加えた確定受注の43%に相当します。

エミレーツ航空 A350-900

エミレーツ航空はエアバス社からA350-900型機をさらに8機購入する契約を締結した。

エミレーツ航空は19日、エアバスA350-900型機を8機追加発注し、ワイドボディ機群の

拡充に向けた事業をさらに強化しました。ドバイ航空ショーで締結されたこの契約は、

17日にボーイング社と777-9型機65機の契約を締結したことに続くもので、2つの契約の総額は411億ドル(約6兆4,183億円)に上ります。

2031年に納入が予定されているA350-900には、ロールス・ロイス社製XWB84エンジン

が搭載されます。今回の追加発注により、エミレーツ航空の同型機に対するコミットメント

は合計73機となり、既に13機を受領しています。

エミレーツ航空は昨年11月、新型プレミアムエコノミーシートを備えた客室でA350の運航

を開始しました。「今週初めに発表したボーイング777-9型機の追加発注と合わせて、

エミレーツ航空の最新ワイドボディ機の発注数は合計375機となります」と、エミレーツ

航空の会長兼CEOであるシェイク・アーメド・ビン・サイード・アル・マクトゥーム殿下

は述べています。「これは、当社の将来、お客様にとってより良い空の旅の未来、そして

雇用と価値創造という観点から見た航空業界の未来への大規模な投資です。」

エチオピア航空は火曜日、A350-900型機6機を確定発注しました。同機の航続距離は最大

9,700海里で、世界64社の航空会社から1,400機以上の受注を獲得しています。

同航空会社は水曜日に、UAEに拠点を置くエネルギーグループENOCと協力し、持続可能な

航空燃料の供給量増加に向けた取り組みを進めていることを発表しました。この合意に基づ

き、両社はサプライチェーンのインフラ、生産能力、そして商業的実現可能性について検討を行います。

エミレーツ航空は今週初め、サフランと覚書を締結しました。この覚書に基づき、ドバイに

旅客機の座席を製造する施設が設立される可能性があります。当初、この合弁事業はビジネ

スクラスとエコノミークラスの客室に後付けする座席の製造に重点を置く予定です。

両社は、2027年末までに製造を開始し、年間最大1,000席の生産能力を持つと発表しました。

エティハド航空、エアバスA330/350の導入でワイドボディ機を増強

Etihad Airbus aircraft

エティハド航空も大型化に向けて航空機を調達

エティハド航空は、18日のドバイ航空ショーでエアバスA330-900型機6機の確定発注

を発表し、エアバスのワイドボディ機保有機を拡大します。アブダビを拠点とする同航空

会社は、アボロン社から同型機9機をリースすることにも合意しました。

エアバスはまた、エティハド航空が、以前の契約でカバーされていた大型のA350-1000

長距離ジェット機7機とA350F貨物機3機の追加購入を確定したと発表しました。今回の

契約により、同社の保有するA350-1000型機は27機となります。

エア・ヨーロッパがA350型機を最大40機購入する覚書を締結したことで、A350の受注残

はさらに増加する見込みです。スペインの航空会社であるエア・ヨーロッパは、これにより

ラテンアメリカなどの主要市場向けの長距離路線用機材を刷新すると述べています。 

同日遅く、エアバスはショー期間中、LCCのフライドバイとA321neoナローボディ機

150機の購入に関する覚書を締結しました。これは、エアバスにとって同ショー史上最大

の契約です。契約に署名したフライドバイ会長のシェイク・アハメド・ビン・サイード・

アル・マクトゥーム殿下によると、エアバスの新規顧客となるという決定は、この新興

航空会社がアル・マクトゥーム国際空港での運航拡大を計画する一環とのことです。

フライドバイは現在、ボーイング737のみを運航しています。

「これらの航空機は、中距離、長距離、そして貨物輸送のあらゆる分野で当社の事業を

強化します」と、エティハド航空のCEO、アントノアルド・ネベスは述べています。

「A330neoは、当社の地域路線および中距離路線の成長に効率性と柔軟性の最適な組み合

わせをもたらし、A350-1000は当社の長距離路線網で引き続き優れたパフォーマンスを

発揮しています。A350F貨物機は、世界的な需要の拡大が続く中、当社の貨物部門に大きな能力をもたらします。」

ロールス・ロイス社製トレント7000エンジンを搭載したA330-900は、最大7,350海里の

路線を運航できます。エティハド航空が最新の顧客となったA330neoファミリーの一員で

あるこの機体には、エアバス社製の「エアスペース」キャビンインテリアが採用されています。

A350-1000は最大9,700海里(約9,700キロメートル)まで飛行可能で、航空会社は大陸間

路線において幅広い選択肢を得ることができます。エアバス社によると、新型A350Fは業界

最大のメインデッキ貨物ドアを備え、2027年に施行される国際民間航空機関(ICAO)の

新しい炭素排出基準を満たす唯一の貨物機となります。エアバス社は現在、トゥールーズでA350F試験機の初号機を製造中です。

別の契約では、モロッコ政府はエアバス社製H225Mヘリコプター10機の発注に署名しま

した。これらの機体はモロッコ空軍の戦闘捜索救助任務に投入され、40年間運用されてきたプーマ回転翼機の後継機となります。

マキシマス、特大貨物輸送でラディアと提携

MAximusモデル

アブダビを拠点とする重量貨物運航会社マキシマス・エアは、世界最大級の航空機を開発中

のコロラド州の新興企業ラディアと提携する計画。

米国企業ラディアによると、同社のウィンドランナーは、風力タービンのブレードなど、

特大貨物を扱えるように設計される。また、ボーイングC -17の12倍の貨物容量を持つ

軍用バージョンの開発も計画しており、これにより、例えばボーイングCH-47チヌークを最大6機搭載できるようになるのです。

両社はショーで覚書(MOU)を発表。「この提携により、ラディアとマキシマス・エアが

ウィンドランナーの運用を前進させる相乗効果が生まれ、世界中で高まる特大・高価値貨物

輸送の需要に、より適切に対応できるようになる」と共同声明で述べています。

アブダビ・アビエーション・グループ傘下のマキシマス・エアは、重量物輸送、人道支

援活動、その他特大貨物を必要とする任務で定評があります。同社は、アントノフAn-124

イリューシンIL-76TDの大型貨物機を運航しています。

両社は、「この提携により、マキシマス・エアの地域における専門知識と運航網と、

ラディアの次世代ウィンドランナー技術を組み合わせ、世界的な大型貨物輸送能力不足に対処します」と述べています。

この会社は、私が以前働いていた会社です。

衝撃のエアショー!中東航空会社が「過去最大級の爆買い」に踏み切った巨大な理由

ドバイエアショーは、エミレーツ航空やエティハド航空による大型機発注のニュースで

世界を驚かせました。数十機ものワイドボディ機(長距離用の大型機)の購入は、コロナ禍

からの単なる回復ではなく、「中東ハブ戦略」を極限まで強化するという国家的な意思表明に他なりません。

なぜ今、中東の航空会社はこれほど巨額の投資に踏み切ったのでしょうか?

 地理的優位性の極大化と「東西結節点」の独占

中東は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを結ぶ、まさに地球の「へそ」に位置しています。

パンデミック後の国際移動需要は予想以上に早く回復し、特にアジアと欧米を結ぶ乗り継ぎ

需要は爆発的に増加しています。エミレーツ航空などは、この地理的優位性を最大限に活用

するため、輸送能力を物理的に最大化する必要があります。大型機はそのための最も確実なツールです。

彼らは、世界のどこへ行くにも「中東を経由するのが最も便利」という構造を確立し、

グローバルな乗り継ぎ市場を独占しようとしています。

 国家の「脱石油」と観光立国への大転換

この大型投資の真の背景にあるのは、UAEやサウジアラビアの国家戦略そのものです。

石油に依存しない経済(脱石油)を目指す中東諸国は、観光、金融、ロジスティクスを新たな柱としています。

  • ドバイ: 豪華な観光とビジネスのハブとして、質の高い旅行客を大量に誘致。
  • サウジアラビア(リヤド、NEOM): サウジアラビア航空(サウディア)が強力なライバルとして台頭しており、国家主導で観光産業を立ち上げ、ドバイに匹敵する、あるいは凌駕するハブを築こうとしています。

航空会社による大型機購入は、これらの都市を「世界の主要なデスティネーション(目的地)」として機能させるためのインフラ投資なのです。

 今後の戦略:フリートの「最新鋭化」と「二極化」

中東の航空会社が今後取る戦略は以下の二点に集約されます。

  1. 超豪華な顧客体験と効率の融合: 最新鋭の大型機(A350やB787、B777Xなど)は、燃費効率が格段に優れています。これにより、コストを抑えつつ、豪華なファーストクラスや充実した機内サービスを提供し、顧客満足度を高めます。つまり、安さと豪華さを両立させることで、他社との差別化を図ります。
  2. 競争の激化: エミレーツとエティハドに加え、サウジアラビアの航空会社が巨大な資金力を背景に急成長しています。今後、中東域内でのハブ競争はさらに激化し、サービスや路線網の拡大が加速するでしょう。

中東は今、世界中の人・モノ・金を呼び込む「空のシルクロード」の主導権を握るため、未来への投資を止めないのです。

 

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