皆さんこんにちは!
先日、中国のフォルクスワーゲンが空飛ぶクルマを発表しました。
少しだけ話題になっていましたが、その謎のベールが剥がされました。
V.MO フライングタイガー
フォルクスワーゲンが乗客4人で200kmの空飛ぶクルマ、中国発で22年後半
に試験飛行!と言う記事が経済各紙のニュースで出ました。
フォルクスワーゲングループ・チャイナは2022年7月27日、電動の垂直着陸
機(eVTOL)V.MOを発表しました。
V.MOは4人のお客を乗せて200km飛行できるというUAM(アーバンエア
モビリティ)です。垂直離着陸用のローターと推進用ローターを別々に備えている
リフト&クルーズ型のeVTOL機です。写真ではわかりづらいですが、機体と平行に
翼(?)が左右にあります。その上に片翼4つずつ、計8つの垂直離着陸用ロータ
ーが付いており、後ろに2つの推進用ローターがあります。黒い部分が機首になり
ます。全長は約11m、パイロットのいない完全自律型飛行『パッセンジャードロ
ーン』を目指しています。
2022年後半からプロトタイプのV.MOの飛行試験を開始します。その後、機体
の改良を加え、2023年夏には完成された機体での試験飛行を計画しています。
この試作機に黒と金色のラインが付けられており、虎をイメージしてフライングタイ
ガーと呼ばれています。このカラーリングは、寅年に発売されたことを記念して塗装
されました。中国語の有名な諺に「魯虎天一」という言葉がありますが、これは「翼
を生やした虎のように」という意味で、これまで以上の努力で課題や挑戦に臨むこと
を信条としています。
フォルクスワーゲングループチャイナ
フォルクスワーゲングループチャイナ
ドイツのフォルクスワーゲンは、1978年に中国の企業と合弁会社を立ち上げ、
中国に工場を誘致してきました。そして、フォルクスワーゲングループチャイナを
設立した後も各地で合弁会社を設立してきました。中国国内で走っている外国車の
多くはフォルクスワーゲン社製の自動車です。
フォルクスワーゲングループチャイナは、2028年までに2200万台のBEV
(バッテリー式電動自動車)を生産するに当たり、半数以上の1160万台を中国
で生産するとしています。同時に、e-モビリティにおける必要な充電インフラの整
備のために別会社を設立する計画です。e-モビリティの開発を加速するため、昨年
からアウディなどと共同して研究開発企業を立ち上げています。
今回、このe-モビリティ開発の一環として、中国の富裕層向けに開発されたのが、
V.MO、空飛ぶクルマです。この考えは、『中国から、中国のために』という
スローガンを基に中国政府の政策が後押しをしています。いわば、中国国内から
欧米の技術や製品を排除すると同時に、パクりの精神からの脱却ですかね。本当
の意味でのメードインチャイナになると良いのですが。
ドイツと中国の関係
中国に行くと、フォルクスワーゲンの車をよく見ます。最近はタクシーにも使わ
れています。2019年の中国構内の自動車販売台数は、フォルクスワーゲンが
423万台を売り上げておりトップです。2位は上海汽車の171万台、3位は
トヨタで169万台でした。しかし、最近はトヨタが大幅に販売台数を伸ばして
います。
ドイツと中国の関係は、2020年頃までは蜜月状態が続いていて、当時の首相
のメルケル氏は中国の李首相と仲が良く、フォルクスワーゲンと中国企業との合
弁化が進んでいました。しかし、2020年頃から、中国ウイグル族や香港の人
権問題でドイツ国民が中国を嫌うようになり、メルケル首相退陣前には、ドイツ
はヨーロッパやアメリカとのつながりを重視するようになりました。
2021年から就任したシュルツ首相は、対中国の経済政策の見直しを行ってい
ます。
V.MOの目指すマーケット
プロダクトマネージャーのズージン氏は、V.MOフライングタイガー発表後に
メディアに対してフォルクスワーゲングループチャイナがeVTOLを開発する必要
性、マーケット、将来性についてインタビューに答えています。それによります
と、次世代のモビリティの必要性は大都市での渋滞解消の観点から、大都市から
近隣都市への移動手段としてこのeVTOLを開発しました。開発に当たり、中国全
土の100人を超える富裕層を対象にアンケート調査を行い、かなりなニーズを
得ることができました。そのため、商用利用の第一段階は、VIPシャトルサー
ビスのような富裕層向けのプレミアム製品として売り込みが期待できます。
他のeVTOL機との差別化は、フォルクスワーゲンの持つ優れてた精密性、設計を
生かします。特にEV電気自動車(BEV)用に開発した高性能なCATLバッ
テリーは、1回の充電で最大60分飛行でき200kmの飛行距離を実現できま
す。これにより、都市の通勤やレジャーだけではなく、都市間輸送や空港シャト
ルサービスも可能となります。4人乗りという広々とした車内の高級自動車並の
デザインや完全自動化ですが一部の愛好家のためにオプションで手動操縦が少し
できる装置も着けることができるようにします。
開発するeVTOL機は、パイロットの免許がいらなくても誰でも航空機を操縦でき
るという時代に向かっています。これを可能にする鍵は、自動化と遠隔制御です。
乗客はタブレットで目的地を選択するだけで車両システムが案内を行います。
安全を確保するにはインフラ整備が重要です。中国政府は期待に認証を早期に行
うとともに、低高度空域をeVTOL機に対して開放する意向を示しています。
まとめ
問題点は、機体の安全性です。中国国内での認証は、イーハンのように問題はない
と思いますが、ヨーロッパやアメリカなどの先進国で認証されるかどうかは不透明
です。オペレーションを含めた安全を重視したシステムの開発が重要です。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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