皆さんこんにちは!
エアバスA320の操縦系統のソフトウエアの不具合による運航停止問題は、エアバスに追い抜かれたボーイングにとって好材料となるのでしょうか?
エアバスが苦境に立たされる中、ボーイングは躍進
YouTubeの航空専門ポッドキャスト「Check 6」が、2025年末の巨大航空機メーカー2社
の状況を詳細に分析しました。昨年は「エアバスが圧勝、ボーイングはよろめく」という
タイトルでしたが、今年の情勢は大きく変わっています。
エアバス:度重なるミスで2年連続の目標未達
長らく優位に立っていたエアバスですが、2025年末にかけてサプライチェーンの問題が集中し、苦しい状況に追い込まれています。
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下方修正された納入目標
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2025年の納入目標を820機から790機に下方修正しました。これは2年連続、過去4年で3回目の目標未達です。
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致命的なサプライヤーの製造ミス
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最大の要因は、スペインのサプライヤー、ソフィ・アエロ社で発見されたA320neoファミリーの胴体パネルの製造不良です。
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この不良は、パネルの厚さが不均一になるというもので、合計628機が影響を受け、うち460機が修理待ちとなっています。
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機体は飛行に安全ですが、納入には修理が必要となり、顧客との交渉が長期化しているため、納入ペースが大幅に減速しています。
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A320のソフトウェア問題
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さらに、米国の感謝祭の週末には、太陽フレアの影響の可能性から、A320ファミリーの一部機体でフライトエンベロープ保護ソフトウェアの緊急ロールバック(旧バージョンへの戻し)が必要になる事態も発生しました。
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課題は品質管理
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ゲストは、600機以上の機体に影響を与える品質の欠陥が、なぜ長期間にわたって発見されなかったのか、エアバスのサプライヤーに対する監視体制に疑問を呈しています。新CEOのラス・バグナー氏の最重要課題は、この生産システムとサプライヤー関係の改善になるでしょう。
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ボーイング:経営指標の改善で「復活の狼煙」
一方、737 MAXの危機とパンデミックから長く苦しんできたボーイングは、投資家に対して力強い回復のメッセージを打ち出し、市場の信頼を取り戻しつつあります。
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株価10%急騰の要因
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新CFOのジェイ・マラビ氏が、投資家会議で予想を上回る財務予測を発表し、株価が10%も急騰しました。
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「黒字化」のロードマップ
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2025年の現金燃焼(キャッシュバーン)は予想より少ない20億ドルに留まる見込み。
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そして、2026年にはついに**20億ドルのフリーキャッシュフロー(実質的な現金利益)**を生み出す見込みだと発表しました。これは同社にとって大きな転換点となります。
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長期的な目標として、年間100億ドルのフリーキャッシュフロー達成を改めて表明しました。
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生産率の着実な向上
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737や787の納入率増加計画を再確認しましたが、レート上昇は「サプライチェーンが安定した場合のみ」と慎重な姿勢を保っています。
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エアバスとの差が縮まる
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平均納入率を見ると、737 MAXの生産ペースは、A320neoのペース(月平均45機)に**「人々が思うよりも近い」**水準まで回復してきています。
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共通の敵:サプライチェーンの限界
しかし、このポッドキャストの結論は、両社が**「同じ課題」**に直面しているという点です。
ボーイングは生産率を上げようとしていますが、エアバスと同じく世界で限られたサプライヤー(エンジンOEM、胴体を製造するスピリット・エアロシステムズなど)に依存しており、レートを上げれば上げるほど、エアバスと同じような品質や供給の遅延に遭遇するリスクが高まります。
結論として、2025年末は、エアバスが足元を固める必要に迫られ、ボーイングが長期的な復活の道筋を示した年と言えるでしょう。
動画情報
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チャンネル名: AviationWeek
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タイトル: As Airbus Strains, Boeing Gains | Check 6 Podcast


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