バードストライク

飛行機

皆さんこんにちは!

今日から8月が始まりました。

実は、8月から秋にかけて、航空業界では鳥に注意しなければいけない時期なのです。

バードストライク

バードストライクとは?

バードストライクとは、飛行機が鳥とぶつかって、大きなダメージを受けること

を言います。鳥と飛行機、同じ空を飛ぶもの同士、大きさだって飛行機の方が

はるかに大きく早いのですが、バードストライクによって重大事故へと発展する

のです。

大事故

バードストライクでの大事故と言えば皆さんも記憶の新しいところでは、

2009年のハドソン川の奇跡と呼ばれたエアバスA320のニューヨークの

ハドソン川への不時着水でしょうか。USエアウェイズ1549便は、離陸直後に

ガンの群れに遭遇しました。両方のエンジンに鳥を吸い込み、エンジンが2つ

とも止まってしまいました。そのままハドソン川に緊急着水して、奇跡的に

数名のけが人だけで死者が出ませんでした。

1960年、イースタン航空のロッキードL-188がムクドリの群れと衝突して

墜落しました。乗員乗客72人中62人が死亡しました。

1988年、エチオピア航空ボーイング737が鳩の群れと衝突し、両エンジンが

停止しました。近くの空き地に不時着しましたが、35人が死亡しました。

1995年、アメリカ空軍のボーイングE-3がガチョウの群れと衝突して、4つ

あるエンジンの内2つが停止して、操縦不能に陥り墜落して乗員24人全員が死亡

しました。

バードストライクの件数

このような大事故に至らなくても、バードストライクにより運航を停止せざるを得な

い事例件数は毎年数多くあります。

国土交通省のデーターによりますと

2015年:1769件、2016年:1626件、2017年:1553件

2018年:1434件、2019年:1577件、2020年:908件

となっています。2020年が少ないのはコロナの影響で減便が行われたからです。

2019年に最も多い空港が、羽田空港で165件で、全体の一割を占めています。

続いて大阪伊丹空港で58件、成田空港の57件となっています。

バードストライクが多く発生する時期は、8月から11月です。この時期に年間の

約半分の件数が集中しています。

一番多い鳥は、ツバメなどの小さいサイズの鳥ですが、機体やエンジンに大きなダメ

ージを与えているのは鷹(たか)や鳶(とび)などの大型の鳥です。

2018年のデーターによると、離着陸時が最も多く全体の半分を占めています。

衝突箇所は、航空機の先端、機首部分が最も多く全体の32%、翼が21%、エンジンが

18%ととなっています。

航空機の機首、キャノピーへの衝突

航空機の機首部分に鳥が当たった場合、比較的機体の損傷は少ないですが、パイロット

はビックリします。キャノピーに当たってガラスが割れることもあります。

画像6

航空機のキャノピーは、3重構造になっていますので、滅多に割れたりはしませんが

ヒビが入って視界が悪くなることもあります。私の経験では、戦闘機に乗っていた時

目の前にトビが現れ、機首にぶつかりました。着陸時であったため避けようがなかった

のですが、目の前で真っ二つになったトビを見たときにはさすがに驚きました。

エンジンへの吸い込み

エンジンに鳥を吸い込むことで一番怖いのが、エンジンブレード(これが回転すること

によりエンジン内に空気を送り込む役目)が破壊され、エンジンそのものが止まって

しまうことです。

羽根のような金属でできているのがブレードと呼ばれています。

新しい航空機のエンジンは、性能向上のためにエンジン自体が大きくなっています。

それはバードストライクによりエンジンに鳥が吸い込まれやすいことになります。

そこで、エンジン製造メーカーはブレードの素材の強化を行っています。

チタン合金の軽くて強くさびにくい性質を利用して、鳥と衝突しても変形はしますが

破断しにくくしています。また、最近は軽量で丈夫なカーボンファイバー(炭素繊維

複合材)を使用して軽量化とバードストライクにも有効なブレードを採用したエンジ

ンが使われています。ボーイング787やエアバスA350など最新の飛行機のエン

ジンは、ブレード一枚一枚を大きくすることによって、強度を増すと同時に騒音や

整備コスト削減の問題も解決できるようになり、現代の航空機の主流となっています。

鳥の習性

カラス

カラスは目はよく見えると言われています。赤色、黄色を認識でき、青色には反応が

遅いとされています。春の巣立ちの後、8月ごろには集団で行動することが多いです。

体長は56cm程度です。

カモメ、ウミネコ

人への警戒心は弱く、集団で行動し、雑食性です。沿岸部の港や市場、工場地帯に

多く生息しています。体長は46cmです。

ムクドリ

日本全国に生息しており、大きな公園や森林、農耕地、果樹園、ゴルフ場など緑が

多いところに生息しています。体長は24cm。

ツバメ

食料は虫などです。繁殖期は3月から7月で、年2~3回繁殖をします。

体長は17cmと小柄です。

トビ

視力が良く、上空から獲物を見つけると急降下して捕らえる習性があります。

餌はカエル、トカゲ、ヘビや魚です。体長は60~65cm。

日本の空港

日本の空港の多くは、海上空港や海に近い沿岸部にあります。理由は、十分な土地が

ないので海や沿岸部を埋め立てて作られているからです。また、周辺の騒音問題も

あります。滑走路の回りには必ず土と草地があります。これは、飛行機が滑走路から

何らかの理由によりはみ出でてしまった場合に、緩衝部分として設置するよう法律で

決められているからです。

この草地は、小さな鳥の餌となる虫が生息しており、小さな鳥が多く集まります。

また、その小さな鳥を餌にしている大きな鳥も自然と集まってきます。中には

ヒバリのように草地に巣を作る鳥もいます。

雨上がりの滑走路は、多くの虫たちが発生し、空港は鳥のパラダイスとなります。

鳥獣対策

草地の管理

低い草丈は、鳥が上空から餌を見つけやすく、外敵の監視が容易になり、かえって

鳥の飛来が多くなります。一方、草丈を伸ばすことは、航空灯火や標識などが見え

にくくなります。程よい草丈の管理が必要になります。

パトロール

車両で空港内を巡回して、空砲の威嚇だけでなく、実砲を使って直接駆除を行ってい

ます。

バードパトロールによる防除

猛禽類による試み

成田空港では、鷹の威嚇行為による鳥の飛来防止の実験を行いました。鷹による

威嚇は、天候に左右されやすく効果については不透明な部分が多いとされています。

まとめ

バードストライクに合わないために、航空機は昼間でもライトを点けて離着陸を

行います。もし万が一にもバードストライクに遭遇した場合は、直ちに管制機関

に通報して、滑走路に鳥の死骸がないかを確認してもらいます。その間は滑走路

は閉鎖になって使えなくなりますが、後続機がその死骸をエンジンに吸い込み

大事故にならないことの方が大切です。

また、離陸直後にバードストライクが起こってしまった場合、引き返すことを

躊躇してはいけません。大事故に繋がるからです。

鳥と飛行機が仲良く共存できる社会の実現に向けて努力して行く必要があります。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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