アメリカではビジネスジェット業界の危機

飛行機

皆さんこんにちは!

世界の航空業界は、かつてないほどの成長を遂げています。そんな中、パイロット不足に

苦しんでいるのがビジネスジェット(チャーター)業界です。

以前にも大手航空会社への人財流出問題を取り上げましたが、事態はより深刻です。

今日は、その実態と対策をお伝えします。

リーダーは夜も眠れない

従業員の定着は航空部門のマネージャーにとって最大の課題

このコラムを書くことを予期して、私はしばしば私たちの業界が直面している課題に

ついて深く考えていることに気づきます。先月、私はパイロットパイプラインの減少

に関する私の懸念を共有しました。これは私にとって本当に夜も眠れない話題です。

しかし、座って考えを巡らせていると、疑問に思わずにはいられませんでした。人に

関連する問題となると、航空部門のリーダーたちが夜も眠れなくなるのはなぜなので

しょうか。

好奇心に駆られて、私は尊敬する同僚(その多くは顧客です)に簡単なアンケートを

とりました。その回答は目を見張るものでした。彼らの心を悩ませている労働力の問

題の圧倒的な理由は、定着率です。

私のアンケート回答者のなんと 92% が、人材不足の中でチームの健全性とモチベー

ションを維持するという課題に対して、落ち着きのなさを経験していることを認めま

した。しかし、彼らの眠れない夜の背後には一体何があるのでしょうか?私たちの調

査からいくつかの主要なテーマを見てみましょう。

リテンションの問題 = 眠れない夜

仕事と生活のバランス。 「オンコール」で悪名高い業界でバランスを保つことは重大

な懸案事項です。航空業界のリーダーの 60% 以上がそれを問題として挙げています。

あるリーダーは匿名で次のように語った。現在、航空機 2 機とパイロット 4 名に減り

スタッフには旅行を完了するようプレッシャーがかかっています。長期的に活躍した

人材が間もなく引退するとともに、人材の維持が問題となっている。そして、私たちが

支払っている金額では、経験豊富なパイロットを獲得することは決してできません。」

柔軟なスケジュール。同様に、柔軟なスケジュールの必要性も、調査回答で繰り返し取

り上げられたテーマでした。チーム メンバーの多様なニーズに対応しながら、仕事の

要求のバランスをとることはデリケートな行為であり、回答者の 60% 以上が解決策を

求めて深夜に油を燃やすことになることがよくあります。

柔軟性は不可欠ですが、請負業者への依存が常態化しないようにするという課題もあり、

回答者の半数以上が懸念を表明しました。一部の回答者は、請負業者に対して無制限の

予算を用意していると指摘しました。ある参加者は請負業者を頻繁に利用したことを認

めました。理屈は? 「パイロットを激しく動かしすぎると、パイロットは先に進んで

しまうことになる」と彼らは説明しました。

別の取締役は次のように書いています。「休暇の方針やガイドラインは、予測可能な

休暇をもたらすものでなければなりません。企業ポリシーや航空部門に対する期待は、

各企業や航空部門によって異なります。有能な人材を維持するには、休暇を守ることが

重要です。リーダーは組織内のこの問題を解決するために高いモチベーションを持つ必

要があります。」

補償。もちろん、競争力のある報酬も維持の取り組みにおいて重要な役割を果たします。

ビジネス航空の専門家は需要が高く、競争力のある給与と福利厚生を提供することが、

優秀な人材を引き付け、維持するために不可欠です。代償については、62% が睡眠不足

を感じていると回答しました。一方、23% は全く眠れていません。

ある航空業界のリーダーは、次のように述べています。「当社の給与は、当社は適切な

水準にあると言っていますが、業界が支払っている給与をはるかに下回っています。

同社は「調査」を使用しているが、範囲を設定し、それがそういうものであると言う以

外のことについては公然と議論することはない。私たちの給与は許容範囲を大きく下回

っており、定着が問題となっています。」

航空部門が高給取りの人材に人材を奪われるのは耳が痛い話です。ただし、定着率は

給与だけの問題ではありません。多くの航空専門家は、自分が評価されていると感じ

れば、忠誠心を保ち、より少ない賃金で働きます。仕事に対する情熱、個人的な興味と

の一致、組織やチームとの共有価値観は、従業員を維持する上で重要な役割を果たします。

従業員の衝突。チーム内の対立やチームワークの感覚を育むという課題も、眠れない夜の

さらなる原因となっていました。実際、回答者の 60% は、乗組員内の対立する性格を

管理するために睡眠を奪われています。

人々を率いるのは簡単なことではありません。それは慎重なナビゲーションと外交を必要

とする芸術でありスキルでもあります。有能なリーダーは、問題を回避したり無視したり

するのではなく、問題に迅速かつ直接的に対処することの重要性を理解しています。私た

ちがリーダーとして厳しい議論をする「経営上の勇気」を持っていれば、それは定着を

妨げるのではなく、助けになります。実際、透明性とコミュニケーションを活用するこ

とで期待が明確になり、対立が解決され、改善のためのフィードバックが提供され、

最終的にはチームや組織内に前向きな変化がもたらされます。

しかし、困難の中にも希望はあります。リーダーとして、私たちは組織内に変化をもた

らす力を持っています。私たちは、信頼を再構築し、チームワークを促進し、チームメ

ンバー全員が評価され、サポートされていると感じる前向きな職場環境を作り出す力と

リーダーシップスキルを持っています。いつものように、この取り組みではコミュニケ

ーションと透明性が鍵であり、組織全体でビジネス航空の利点を促進する取り組みも重

要です。

不確実性に直面しても、1 つだけ明らかなことがあります。それは、ビジネス航空の将

来は、リテンションの課題に正面から対処できるかどうかにかかっています。ワークラ

イフバランスを優先し、柔軟なスケジュールを提供し、競争力のある報酬を提供し、チー

ムワークと信頼の文化を育むことで、逆境に直面してもチームが強く、回復力を維持で

きるようになります。そして、新しい日が来るたびに、私たちが航空への情熱を共有す

る人々の生活に変化をもたらしていることを知って、少し安心して休むことができます。

エアチャーター協会がインターンシッププログラムを開始

航空チャーター協会 (ACA) は、創立 75 周年に合わせてスポンサー付きインターンシップ

プログラムを開始します。この 3 か月のプログラムでは、専門家のトレーニング、実践的

な仕事体験、コンテスト プロジェクト、ネットワーキングと賞の発表イベントが提供され

ます。 8月から開催され、18歳から25歳までが参加できます。

「ACAがこの新しいプログラムを開始することを嬉しく思います。これは、次世代がチャー

ターセクターに参入するためのより簡単なルートを提供するだけでなく、将来の労働力をサ

ポートするために若くて熱心な人材を紹介することで会員企業をサポートします。 」とACA

会長ケビン・ダックスベリー氏は語りました。

「私たちはしばらくの間、現在の資源問題において協会が業界をどのように支援できるかを

検討してきましたが、協会創立75周年の節目に次世代の航空専門家に機会を提供することで

これを実現できることは非常に興奮しています。これが、私たちのダイナミックでやりがい

のある分野にできるだけ多くの人に興味を持ってもらうための、継続的な年間プログラムの

基礎となることを願っています。」

第 1 段階は、ロンドンの空港で ACA トレーニング専門家が指導する 4 日間の座学トレーニ

ングで構成されます。インターンはトレーニングの最後に評価を受け、評価に合格すると

証明書を受け取ります。旅費と宿泊費はACAが負担します。

第 2 段階では、インターンは、航空機オペレーター、民間航空チャーターブローカー、空港

グランドハンドラー/FBO、フライトサポート会社、航空法務、航空保険会社、または航空機

ケータリングプロバイダーでの勤務を含む実務訓練を受けます。

その後、インターンは、業界内で選ばれた関心のあるトピックに関するレポートを作成する

よう求められます。最も評価の高い 2 つのインターン プロジェクトには賞が授与され、

11 月にブライトンで開催される Air Charter Excellence Awards イベントで授与されます。

まとめ

14年前に当時の日本航空が破綻して多くの日本人パイロットが海外に流出しました。

それまで日本の航空会社はいわゆる「終身雇用」という流れが一般的でした。しかし

このことをきっかけに、パイロットが自分の可能性を見いだす結果となり、自分の能力

を上げること(キャリアアップ)をすることによって、より給与の高い会社に行くことが

可能であると気付いたのです。そして現在、世界中に多くの航空会社が生まれ、パイロ

ットの需要が高まっていきました。そしてかつてないほどの好景気(日本以外)の中、

パイロットにとって選択肢が増えました。

それでは、パイロットは何を望んでいるのでしょうか?高い給料でしょうか?

いえ、パイロットが望んでいるのは「安定した仕事、生活」です。

裏を返せば、現在は好調でもコロナのようにパンデミックや急激な経済の落ち込みなど

不安要素は常にあります。短期的に給料を稼ぐという人もいますが、人間の心理的には

「継続的な安定」を求めます。

それでは現在の日本を含めたパイロットの勤務実態はどうでしょうか?人手不足のために

過度の労働による睡眠不足と疲労。プライベートの時間を確保することもできません。

常に不満を口にしながら仕事をしているのです。それでは今日のテーマの「定着率」は

無いに等しくなります。

それでは、経営者として何をしなければならないのでしょうか?

それは、従業員の「不安要素」を取り除くことです。正しいコミニュケーションをとり、

不安要素を1ずつ解決していく(姿勢を見せること)が大切です。それを怠っている経営者

が多くいることも事実です。人材不足が問題になっている今、従業員を大切にする企業のみ

が生き残れる時代になっているのではないでしょうか?

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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