クロスオーバージェットが北米の交通の流れを変える

飛行機

皆さんこんにちは!

クロスオーバージェット機とは聞き慣れない言葉ですが、エンブラエルEジェット,

A220やCRJなどリージョナルジェット機の総称です。

B737、A320がナロージェット機(単通路)と呼ばれ、その下のジェット機のです。

ナロージェット機の乗客は200人前後、クロスオーバージェット機は100人以下です。

そんな小さなジェット機の需要が伸びているのです。

リース会社はクロスオーバージェットが北米の交通の流れを変えると予測

ブリーズエアバスA220-300初飛行

エアバスA220クレジット:エアバス

航空機リース会社アゾラのジョン・エバンス最高経営責任者(CEO)は、北米でのエア

バスA220の導入数の増加により、大陸の交通パターンが徐々に変化しつつあると語る。

エア・カナダは以前、A220の導入により、トロントからサンフランシスコなど北米の

長距離路線に適切な機材で参入できるようになると述べています。エバンズ氏は、この

例がエアバス機が米国国内市場に与えている影響を示していると述べているのです。

「A220はデルタ航空、ジェットブルー航空、ブリーズ航空などの航空会社に、これま

で直行便がなかった都市間を結ぶ多くの新しい市場を開拓しました」とエバンズ氏は

言います。この航空機は「ナローボディ機よりも低い旅行費用で、より低いリスクで

新しい市場に進出する能力も提供します」。

エンブラエルEジェットはエアバスよりも航続距離が短いが、同様にこれらの目的に使

用されていると彼は付け加えました。

「例えば、ブリーズはアラバマ州ハンツビルからロサンゼルスへの路線をA220-300で

開設したばかりです。直行便で運航されたのは初めてです。」

「ブリーズは、どこに行くにも主要ハブ空港を経由しなければならない人々がいる、

急速に拡大している地域に注力しています」とエバンズ氏は言う。「オハイオ州アクロン

・カントンに大きな拠点があります。主要航空会社のほとんどが就航するクリーブランド

から車で30分のところにあります。」

ブリーズが第2都市間、または第2都市とハブ空港間の路線を開拓していることを示す指

標として、同社の路線の90%に直行便の競合相手がいないことが挙げられます。これは、

路線の80%以上に競合相手がいる超大型航空会社スピリット航空などの航空会社とは対

照的だとエバンズ氏は言います。

アゾラは現在、22機のA220を発注しており、その内訳はA220-300が20機、ACJ Two

Twentyエグゼクティブジェットが2機となっています。リース会社は、状況に応じて

A220-300を小型の-100に切り替えたり、ACJを追加したりする柔軟性を持っています。

同社は合計で40機のクロスオーバージェット機の購入を約束している。これには今年初

めに買収したエジプト航空の航空機12機と、セール・アンド・リースバック取引で買収

した航空機も含まれます。

ブリーズ航空はエアバスA220へ

ブリーズ航空 エアバス A220-300

エアバスA220 クレジット: ブリーズエアウェイズ

ブリーズ航空は、エンブラエルEジェットからエアバスA220への機材移行を継続しな

がら、定期国際便の承認取得に取り組んでいます。

「当社は国際チャーター認証を取得しており、チームは現在FAAと連携して国際定期

承認の取得に取り組んでいる」とブリーズCCOのルーカス・ジョンソン氏は語りまし

た。

A220-300 は E190/195 よりも航続距離が長いため、Breeze はカリブ海などの地域

に進出する能力を持っていますが、これはまだしばらくは実現しないかもしれません。

「当社の最長ルートは、ロードアイランド州プロビデンスからロサンゼルス国際空港

までです。これは 2,600 マイルの法定マイルです。これ以上進むと、水上を飛行する

ための ETOPS を取得する必要があります。」

ブリーズは、リース機を有利な価格で購入できた2021年のパンデミックの最中にサー

ビスを開始した。中古のエンブラエル機を調達することで、ブリーズは「名前を広める」

ことができたとジョンソン氏は語りました。

現在、ブリーズはE190を10機、E195を5機、A220-300を23機保有しているが、エア

バスの新機体の受領に伴い、この数字は「月ごとに」変動している。年末までに、ブリ

ーズはA220を32機保有することを目指しています。同航空会社は「少なくとも年末まで」

約10機のE190を保有するが、これらはチャーター便にますます使用されるようになるだ

ろうと語っています。

ジョンソン氏は、乗客は機種変更を好意的に受け止めていると述べた。「お客様は両方

とも気に入っていると思います。エンブラエルは2+2の配置なので、中央の座席はあり

ません。しかし、A220は2+3の配置ですが、お客様は乗って驚かれます。」(ブリーズ

は機体前方に2+2の「アセント」クラスを運行しており、「当社の国内ファーストクラス

版」です。)

同氏は、客室の広さと風通しの良さ、Wi-Fiストリーミング機能、各座席の電源ソケット

は、中小都市から出発する旧世代の50〜75席のリージョナルジェット機での旅行に慣れ

ている乗客に特に好評だと語りました。

ブリーズの運営理念は、オハイオ州アクロン、ウィスコンシン州マディソン、ニューハン

プシャー州マンチェスターなど、主要ハブに近い、あるいは比較的遠く離れているために

他の航空会社にとって魅力がなかったため、これまでサービスが行き届いていなかった

第2レベルまたは第3レベルの空港の接続性を改善することです。この航空会社の参入に

より、一部の空港では乗客数が大幅に増加しました。

ジョンソン氏は、ブリーズ航空はA220のプラット・アンド・ホイットニー社製エンジン

に影響を及ぼしたエンジン問題への対応に一定の成功を収めたと付け加えました。「確か

に当社にとって懸念事項ではあるが、当社は他の航空会社ほど影響を受けずに済んでいる」

これは、ブリーズ航空の航空機が最新のエンジン改造が施された後期型であることと、

航空会社の技術運用チームが問題の一部を軽減するために活動したことによるものです。

エールフランス、HOP E-Jet機の客室アップグレードを計画

エールフランス ホップ エンブラエル 190

エンブラエル190 クレジット: エールフランス

エールフランスは、地域子会社HOPが運航するエンブラエル190の客室をアップグレ

ードする準備を進めている。このフラッグキャリアの地域運航では現在21機のE190

が運航しており、今夏さらに2機が加わる予定です。

HOPは、主要路線で運航されるエアバスA220の機内基準に合わせる取り組みの中心

として、フランス企業エクスプリシート製の新しい座席を導入します。

Expliseat は、軽量で持続可能なデザインと、強化された快適性、耐久性、機能性を

組み合わせた、革新的なカーボンファイバーとチタンのシートを製造しています。

HOP の要件に合わせてカスタマイズされた新しいシートは、フランスのアンジェで

製造および組み立てられる予定です。

新しい座席に加え、E190の客室の装飾は、客室の壁パネルやカーペットなど、エール

フランスの特徴的な色に一新される予定です。

E190の改修は、夏の繁忙期が終わった後、フランス中部のクレルモン=フェランに

あるHOPの整備施設で開始される。改修された最初の航空機は今年の秋に飛行する予

定です。

エールフランスは、新しい座席は、同社の短距離・中距離路線機材で運航する割合が

増加しているエアバスA220型機の快適性基準と一致すると述べています。

エールフランスは、5月末にハンブルクで開催される航空機内装品博覧会(AIX)で

公開される予定の新しい座席について、これ以上の詳細を明らかにすることを拒否し

ました。

世界最軽量の航空機シートの製造会社を自称するエクスプリシートは3月21日、

エールフランスを最初の顧客として、E190にTiSeatの新バージョンを導入すると

発表しました。

「特許取得済みのチタンと複合繊維のフレームを活用したこの最新のTiSeatは、

シート重量の比類ない軽減、シートの堅牢性と持続可能性の大幅な改善、そして

先進的な快適性とデザイン機能を兼ね備えています」とExpliseatは声明で述べまし

た。しかし、新しい座席がHOPの13機の小型E170にも後付けされるかどうかはまだ

発表されていません。 

ジャジーラ航空のA320に搭載される予定のエクスプリシートTiSeat E2の模型に座りながら、ヘッドフォンを着けてモバイルデバイスを見ている女性。

新型TiSeat E2モデル

軽量シートは高高度、短い滑走路、高温の条件で厳しい積載量制限に直面している

航空会社に対応しています。この新世代シートにより、燃料価格の高騰、炭素税、

持続可能性の問題を解決できます。従来のシートよりもはるかに軽量な当社独自の

技術により、最新の TiSeat を搭載した ナローボディ機は年間最大 50 万リットル

の燃料を節約し、CO2 排出量を大幅に削減できます。

クロスオーバージェット

クロスオーバージェット機の特徴を他の飛行機と比べてみましょう。ここではあえて

リージョナルジェットと書いています。

座席数が50~100席程度、航続距離2000~3000㎞の小型ジェット旅客機のことで、

RJと略されることもあります。リージョナル(Regional)とは「地域の」の意味です

が、ナローボディ機と比較して、低燃費・低騒音で離着陸に必要な滑走路が短いとい

う特徴があります。

これまでプロペラ機が運航していた小規模な空港の多くを利用することができるため、

飛行時間が1~2時間程度の都市間の運航に適しています。1990年代以降、大都市を

結ぶ航路では機材の大型化が進みナローボディ機が用いられる一方で、地域間航路で

は効率のよい小型機が求められておりリージョナルジェットの市場は拡大傾向にあり

ます。

現在、全世界でおよそ3400機のリージョナルジェットが運航しています。これらの

機体は、ブラジルのエンブラエル社、カナダのボンバルディア・エアロスペース社の

2社が製造したものが大半を占めていますが、今後も機体の買い換え、燃料や経費の

効率などから継続してこのクラスの需要も見込まれており、ロシアや中国の航空機メ

ーカーが参入して競争が激しくなっています。

2017年の小型ビジネスジェット納入機数で世界一となったホンダジェットは定員5~

6名と、このリージョナルジェットよりもさらに小さな、ビジネスジェットやプライ

ベートジェットというカテゴリーになります。2018年3月にはANAがビジネスジェッ

ト市場参入を発表するなど航空機の小型化の波も押し寄せており、この影響がどこま

で波及するかわかりませんが、新しいビジネスチャンスや市場が生まれるかもしれま

せん。

航空機の違いを図([図表1][図表2])で見てみましょう。サイズと断面図でそれ

ぞれの航空機の違いを見ていただければと思います。断面図はなかなか見る機会がな

いかもしれませんが、床下に貨物スペースがあることを再確認できるかと思います。

床下はベリーとよばれ、大型の航空機になると貨物コンテナ(ULD:Unit Load

Device)を格納することができます。空港でこの貨物コンテナが小さな電車のように

連なって運ばれるところを見ることがあるかと思いますが、真四角ではなく角が落ち

た台形の形をしているのは機体の丸い形に合わせてスペースを有効活用するためです。

なお、貨物専用機は上のスペースにある座席などをすべて取り外し上半分にも貨物コ

ンテナを搭載する形で貨物を運びます。

[図表5]機種別サイズ比較(シルエット下の数字は「全長/最大離陸重量」を表す)

[図表1]機種別サイズ比較(シルエット下の数字は「全長/最大離陸重量」を表す)

[図表6]機種別断面図比較

[図表2]機種別断面図比較 

まとめ

航空機の投資対象として、これまでは比較的大きなジェット機が支流でした。コロナ以降

ナローボディ機(B737、A320)が多くを占める中、今後はクロスオーバージェット機の

需要が見込まれます。

この背景には、世界の主要空港の過密が問題となっています。多くの航空機が集中するた

めに遅延やキャンセルが発生しています。主要空港から車で1時間あまりの地方空港が

注目を集めています。しかし地方空港の多くは短い滑走路、未整備の搭乗施設などの

課題があります。そこへいくとクロスオーバージェット機は、短距離での離着陸、貨物の

搭載などの手間が省けるのです。

今後はますます、需要の高まりと投資熱の高まりが期待できます。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました