FAA、ボーイング 737 MAX の生産拡大計画を打ち切り

飛行機

皆さんこんにちは!

アメリカでは、先日のアラスカ航空の客室ドア脱落事故のスキャンダルは全米を震撼さ

せています。

ボーイング737MAX9を運航しているのは、アラスカ航空、ユナイテッド航空ですがボー

イングに対する信頼は無くなってしまいました。また、737MAXの製造が中断されたた

めに世界経済に大きな打撃を与えています。

そんな中、今週ボーイングのCEOは、米国議会に呼ばれて釈明を行いました。

ボーイング社CEOが国会議事堂に登場、品質管理の問題に直面

ワシントン— ボーイングのデイブ・カルフーン最高経営責任者(CEO)は水曜日、オレ

ゴン州ポートランド上空でアラスカ航空が飛行中、737 Max 9のドアパネルが吹き飛ん

だ今月初旬の事故を受け、議会議事堂で主要な上院議員らに自社機が安全であることを

主張しました。  

「私たちは安全な飛行機を飛ばしている」とカルフーン氏は水曜日、記者団に語りまし

た。「私たちは100%の自信がない飛行機を空に飛ばすことはしません。私は透明性の

精神で今日ここにいます。」

ボーイングのデイブ・カルフーンCEO、国会議事堂で議員らと会談

1月24日、ワシントンDCの国会議事堂でボーイングの最高経営責任者デイブ・カルフーン氏に近づく記者たち。 (クレジット:CBSニュース)

連邦航空局(FAA)は  事件以来、ボーイング737 Max 9全171機を無期限運航を停止し

いました。

1月24日水曜夜、FAAは「運航停止中の航空機ごとに実施しなければならない徹底した検

査と整備のプロセス」を承認したと発表しました。  

これらの検査が完了すると、航空機は「運航に復帰できるようになる」ということです。

ユナイテッド航空の最高執行責任者トビー・エンクヴィスト氏は水曜日、従業員に宛てた

書簡の中で、同社の737 Max 9が日曜日に運航を再開する予定であると述べました。エン

クビスト氏は、同社の航空機のうち26機がすでに「FAAの監督の下で」完全な検査を受け

ていると述べました。

アラスカ航空は水曜日の独自の声明で、同社の65機のボーイング737 Max 9は「厳格な

検​​査が完了し、各航空機がFAAの要件に従って飛行可能であるとみなされた場合にのみ

運航に戻る」と述べました。

アラスカ航空は金曜日に737 Max 9の運航再開を開始する予定。 

またFAAは水曜日、ボーイングに対しマックス航空機の生産拡大を指示しないと発表しま

した。これは、ボーイングが現在の月産ペースで生産を継続することはできるが、その

ペースを増やすことはできないことを意味しています。 

FAA長官のマイク・ウィテカー氏は声明で、「この過程で明らかになった品質管理の

問題が解決されるまで、ボーイングからの生産拡大要請や737MAXの追加生産ライ

ンの承認には応じない」と述べました。

ボーイング社の広報担当者はFAAの発表に応じた声明で、「われわれは引き続きFAAと

全面的かつ透明性を持って協力し、ボーイング社の安全性と品質を強化するための措

置を講じる際にFAAの指示に従っていく」と述べました。「また、航空会社の顧客が

737-9型機を安全に運航に戻すために必要な検査手順を完了できるよう、顧客と緊密

に連携していきます。」

米国の航空会社で737 Max 9を運航しているのはユナイテッド航空とアラスカ航空の

2社だけであり、その結果、数千便の欠航を余儀なくされています。

両航空会社は以前、  停止中の737 Max 9型機のドアプラグから「追加の締め付けが

必要なボルト」などの「金具の緩み」が見つかったと報告していました。

FAAは日曜日、  別のタイプのボーイング737型機、737-900ERのドアパネルを検査

するよう各航空会社に通知しています。

国家運輸安全委員会の調査員は、吹き飛ばされたドアパネルを所定の位置に固定してい

たはずの4本のボルトに焦点を当てました。ボーイング社の現従業員によるものと思わ

れるSNSのコメント欄への1月16日の匿名投稿では、ボーイング社自身の記録には「こ

れら4本のボルトは取り付けられていなかった」ことが示されていると主張されており、

品質管理への疑問が生じています。

匿名の投稿者は、当該パネルはスピリット・エアロシステムズ(機体製造・組み立て会社)

が製造した機体の一部としてワシントン州レントンのボーイング工場に到着しましたが、

修理が必要な問題があったと主張。投稿者によると、修理完了時にはボルトが取り付け

られていなかったという。

CBSニュースは、737の機体が多くの問題を抱えてボーイング工場に到着したため、

スピリット・エアロシステムズが現場で修理を行うチームを割り当てたことを確認しま

した。

ボーイング社は声明で「この事故の調査を担当する航空安全局として、米国国家運輸安

全委員会だけが調査に関する情報を公開できる」と述べました。

スピリット・エアロシステムズの広報担当者はCBSニュースに声明で、同社は「積極的

な当事者である進行中の調査に関する情報を提供することはできない。企業として、

当社の施設から出発する各航空機構造の品質に今後も注力していく」と述べました。  

元ボーイングのシニアマネージャーでマックスの内部告発者となったエド・ピアソン氏

CBSニュースに対し、投稿に記載されているシステムとプロセスは正確であり、ボー

イングの従業員らしい表現であると語りました。同氏は、パネルにボルトがなかった

可能性があるという暴露には驚かなかったと述べました。

「実のところ、私たちにとって唯一驚いたことは、それが致命的な事故にならなかっ

たことがとても感謝しているということだ」とピアソン氏は語りました。

1月5日の夜、アラスカ航空1282便は乗客174名と乗務員6名を乗せてカリフォルニア

州オンタリオに向かっていたが、ポートランド離陸からわずか数分後にドアパネルが

脱落しました。

飛行機は無事にポートランド国際空港に着陸し、数人が軽傷を負いましたが、重傷者

はいなかったということです。

紛失したドアパネルは後にポートランド都市圏にある高校の物理教師の家の裏庭で発見

されました。機内から吸い出された携帯電話2台も見つかりました。

CBSニュースが独占的に入手した書簡の中で、イリノイ州の民主党タミー・ダックワー

ス上院議員は、まだ就航していない将来の737 Max 7の安全免除を求めるボーイング

社の要請を連邦航空局が拒否するよう要求したと報告されました。

ダックワース氏は書簡の中で、「ボーイングが求めている免除には、過熱してエンジ

ンナセルが壊れて脱落する可能性がある防氷システムが含まれている」と書いています。

「これにより、機体を貫通する破片が発生し、翼の後ろの窓側席の乗客が危険にさらさ

れたり、航空機の制御が失われる可能性があります。」

同氏は、ボーイング社がこの問題を2026年まで解決しないと示唆していると指摘。 

ボーイング737、エンジンナセル問題
皆さんこんにちは! 先日のアラスカ航空ボーイング737MAXー9の客室ドア脱落事故があったばかりですが、 実はまだ大きな問題を抱えていたのです。 それは、エンジンを覆っているカバーの強度問題です。 737 MAXエンジンの吸気口の耐久性 免...

ダックワース氏はCBSニュースに対し、「これは、航空機を利用する公衆の安全よりも

利益を優先しようとする非常に大胆な試みだ」と語りました。「彼らがこんなことをす

るなんて驚きです。」

ボーイングは木曜、品質向上に重点を置いた安全停止のため、レントン工場での生産

を一時停止しました。

アラスカ航空のベン・ミニクッチ最高経営責任者(CEO)は火曜日、NBCニュースに

対し、「ボーイングはこれよりも優れている。1282便は決して起こるべきではなかっ

た」と語っています。

1月9日の会議で、カルフーン氏は従業員に対し、この事故を受けてボーイング社が

「我々の間違いを認めている」と話しています。1282便に搭乗していた複数の乗客が

ボーイング社を相手に集団訴訟を起こしています。

FAA、ボーイング 737 MAX の生産拡大計画を打ち切り、MAX 9 の飛行再開の道筋を承認

FAAはボーイング737 MAXの生産拡大計画を承認しない

米連邦航空局はボーイングの737型機生産率を現在のレベル(月31機、年間372機)で凍結し、当面はエベレットの第4ラインの拡張を中止

FAAは1月24日水曜日、ボーイング737 MAXの生産拡大計画を承認しないと発表しました。

同庁は、同時にMAX 9機の飛行を再開するための道筋も示しました。

前日にアラスカ航空が運航していた製造後2カ月の737 MAX 9のドアが脱落した事故のた

め、同型機ボーイング737 MAX-9は1月6日に全運航を停止しました。FAAの調査では、

プログラムに重大な品質上の欠陥があったことが判明しました。MAX 9 フリートを検査

したところ、他の航空機にも問題が見つかりました。

アラスカ航空(65機)とユナイテッド航空(79機)が運航するMAX 9航空機171機を

運航停止にした後、FAAは「安全が確保されるまではこの航空機の運航を再開しないこと

を明確にした」とFAA長官マイク・ウィテカー氏は水曜日、公式声明で述べました

「私たちのチームが数週間の情報収集を経て完了した徹底した強化されたレビューによ

り、私とFAAは検査とメンテナンスの段階に進む自信が得られました。

しかし、はっきりさせておきたいのは、ボーイングにとってこれは通常のビジネスに戻

るわけではないということです。このプロセスで明らかになった品質管理の問題が解決

されるまで、ボーイング社からの生産拡大の要請に同意したり、737 MAXの追加生産ラ

インを承認したりすることはありません」と同氏は述べました。

「私たちが目にした品質保証の問題は容認できない」とウィテカー氏は語りました。

「そのため、私たちは現場でより多くの人員を投入し、生産と製造活動を綿密に精査し、

監視するつもりです。」

アラスカ航空CEO「怒っている」

アラスカ航空は「MAX 9の多くでボルトの緩みを発見した」と同社CEOのベン・ミニク

ッチ氏が火曜日放送のインタビューでNBCナイトリーニュースに語りました。

「この事故は私を怒らせます。新品の飛行機でそのような問題が見つかったことに腹が

立ちます」と彼は語りました。

ボーイングは火曜日に声明を発表し、「航空会社の顧客を失望させ、航空会社、従業員

乗客に多大な混乱をもたらしたことを深くお詫びします」とコメントしました。

これは単通路航空機計画に対する最新の混乱です。ボーイングは、2018年にMAX 8が

2度墜落し、2019年に機体が運航停止になって以来、生産率の向上に苦戦していました。

ボーイング幹部は10月、今年の生産を拡大する計画を改めて表明したばかりです。

FAA監視強化

FAAは水曜日、プログラムの監視を強化する計画の一部を明らかにしました。

ボーイング社の製造要件への準拠を精査する調査を開始。FAAはその執行権限を最大限

に活用して、企業がいかなる不遵守に対しても責任を負うことを保証。

ボーイング社のすべての施設でフロアの存在感を高め、新しい航空機の監視を積極的に

拡大します。データを注意深く監視してリスクを特定します。

品質管理と委任を中心に、安全性を重視した潜在的な改革の分析を開始します。

同庁はまた、停止させた737 MAX 9を飛行に戻すための検査とメンテナンスの指示も承認

しました。航空機内での手続き完了後、「737-9 MAXのドアプラグは元の設計に準拠して

おり、安全に操作できるようになる」とFAAは声明で述べました。「プロセスが完了し、

元の設計への準拠が確認されるまで、この航空機は運航されません。」

検査プロセス

このプロセスには以下が必要です。

  • 特定のボルト、ガイドトラック、フィッティングの検査
  • 左右のキャビン中央出口ドアプラグと多数の関連コンポーネントの詳細な目視検査

   留め具の締め直し

  • 損傷や異常な状態を修正する

FAAはまた、ボーイング社の安全管理プロセスとそれが同社の安全文化に及ぼす影響に

関する24人の専門家による調査から、近いうちに結果が得られることを期待しています。

ボーイング社の飛行機を組み立てる数千人の機械工を代表するIAM 751地区は、水曜夜、

同地区の社長兼事業部長のジョン・ホールデン氏による声明を発表しました。

「私たちはNTSBの調査の完了とその結果の発表を心待ちにしています。製造インフラの

安全性と品質は、ボーイング社でメンバーが取り組むあらゆる業務において最も重要です。

「これを認識し、IAM 751地区は、製造プロセス、耐空性、およびその他の関連事項に

関連する会員の懸念に対処するために、組合、ボーイング、FAAが参加する最近の三者

協定に積極的に取り組んだ」とホールデン氏は述べました。

「このパートナーシップを通じて、この合意により、すべての当事者が完全な透明性を

持って問題を特定し、調査することが可能になります。当社のメンバーは、品質検査を

維持し、製造および品質プロセスを強化し、製造プロセスが可能な限り最高の安全基準

に達することを保証することに断固として取り組んでいます。」

労組とボーイングが2月に契約交渉を開始する計画は、737MAX9の事故を受けて

延期されました。

顧客は無期限の遅延に直面

FAAが現在の月産約31機(年間372機)のペースでの生産を凍結しているため、数百機

の航空機を航空会社や賃貸業者に無期限に納入することができなくなっています。

ボーイングは昨年末時点で月38機生産のレートを期待していましたが、このレートを

達成するのに苦労していました。ボーイングの昨年の納入機には、「在庫」にあった

737型機、つまり2019年3月からの最初のMAX運航停止から21か月間保管されていた

737型機が含まれていました。

ボーイングは来年末までに月産50機の生産率を達成するよう投資家を集めました。

今年から来年にかけて暫定的な「レートブレイク」による増産が行われ、月産50個の

ペースを達成する予定でした。

ボーイングはまた、2023年1月に747-8の生産が終了した際に放棄されたスペースに

あるエベレット(ワシントン州)のワイドボディ施設に737の生産ラインを開設する

計画も立てていました。このラインはMAX 10とMAX 8200専用となる予定でした。

後者はベストセラー MAX 8 の高密度バージョンです。

これらの計画は現在無期限に保留されています。

ユナイテッド航空、アラスカ航空、デルタ航空は MAX 10 の大口顧客です。ライアン

は MAX 10 と MAX 8200 の大顧客です。世界中で 1,100 台近い MAX 10 の

注文があります。MAX 8200 は、レントン (ワシントン州) の主要工場で生産されて

います。FAA がさらなる情報を求めている間、MAX 10 認証は依然として曖昧なまま

です。この生産率拡大の凍結と新しいラインにより、さらに不確実性が増します。

ライアンエアー、ボーイング Max-8200 航空機 75 機(合計 210 機)を発注

ボーイングとライアンエアーの調停式の様子(2020年12月3日)

ヨーロッパ最大の航空会社であるライアンエアーは2020年12月3日、ボーイングと新型

MAX-8200航空機75機の購入契約を締結しました。これにより、ボーイング「ゲームチェ

ンジャー」航空機の確定発注は135機から210機に増加し、総額は210機を超えます。

総額220億ドル(3兆3,000億円)の大型契約です。ボーイング MAX 航空機の運航再開が

FAA によって認定されたため、ライアンエアは、これらの燃料効率が高く環境に優しい

新しい航空機の最初の納入が 2021 年初頭から開始される予定であり、これらの革新的な

航空機についてボーイングへの 210 機の確定注文を確認しました。

2021 年春から 2024 年 12 月までの 4 年間にわたって納品されます。

ヨーロッパNo.1の航空会社であるライアンエアーは、バーリ、バーミンガム、ブリスト

ル、ブダペスト、マルセイユ、ウィーンへの新規6路線を含む22路線を含むティラナ行

き初のサマー24スケジュールを発表しました。これらの新しいルートと運賃の引き下げ

により、ライアンエアーの輸送量は 2024 年に年間 300 万人以上に増加すると予想され

ます。(2024年1月24日発表)

まとめ

今回の事故で、FAAは早々と事故の幕引きを図ろうとしています。しかし、根本的な

原因はわかっておらず、サプライヤーであるスピリット・エアロシステムズに責任を

押しつけて終わらせようとしています。もちろん、製造側の責任は重いのですが、

ボーイングの検査・管理体制にも問題はあります。

また、アラスカ航空とハワイアン航空の合併にも大きく影響を及ぼすでしょう。

アラスカ航空、ハワイアン航空を19億ドルで買収
皆さんこんにちは! 先週、ビッグニュースが飛び込んできました。 なんとアラスカ航空がハワイアン航空を買収したのです。その額、なんと19億ドル! 日本円で2900億円。これははたして安い買い物だったのでしょうか? アラスカ航空、ハワイアン航空...

また737の製造ラインが停止したことによる世界経済への影響も懸念されます。

いずれにしても、まだまだこの問題の完全解決には時間がかかりそうです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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