将来の空中給油機像

防衛

皆さんこんにちは!

民間航空会社の中では、BWB(ブレンデッドウィング)の開発が進んでいますが、それは防衛についても同様です。

BWBの用途は、輸送や給油など幅広い活躍が期待されます。米空軍の未来予想図を紹介します。

ノースロップ・グラマン、米空軍のタンカー計画に3部構成のアプローチを計画

ジェットゼロ

クレジット: JetZero

ノースロップ・グラマンは、米空軍が将来の空中給油機に関する現在の「システムファ

ミリー」の枠組みを進展させていく場合、大型のブレンデッドウィング機から小型の無人

タンカーまで、3本柱のアプローチを米空軍に提示していると、計画に詳しい業界筋が明らかにしました。

ノースロップ・グラマンの戦略には、小型で低視認性の航空機を自社設計するとともに、

次世代空中給油システム(NGAS)アンブレラ・プログラムに幅広い選択肢を提供するため

に他社と提携することが含まれています。ノースロップ・グラマンのこのアプローチは、

エアバスと共同でKC-135の後継機となる米空軍のKC-Xプログラムを当初受注した約20年後

に採用されました。その後、落札に失敗したボーイングがKC-46の受注に成功しました。

ノースロップ・グラマンとエンブラエルは2月19日に新たな提携を発表し、エンブラエル

のKC-390を空軍の中型「戦術」タンカーとして使用します。これには、ノースロップと

提携先のジェットゼロが開発中の大型ブレンデッド・ウィング・ボディ実証機も付随し、

この実証機は、米空軍の資金援助を受けています。

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エンブラエルのKC-390は中型輸送機として米空軍の役割を担う

業界筋によると、この3本柱のアプローチはオプションのパッケージとして空軍に提示さ

れ、空軍がノースロップ・グラマンを選択した場合、各オプションの数を選択できるようになるという。

エンブラエルとの提携により、「当社は米空軍などに対し、開発段階ではない多目的戦術

給油ソリューションを提供できるようになります」と同社は声明で述べています。

ノースロップとジェットゼロは2023年、空軍のタンカー輸送機として、実寸大のブレン

デッド・ウィング・ボディ実証機を建造する計画を発表。両社は、2027年の飛行予定の

実証機建造にあたり、2億3500万ドルの費用分担契約を締結しました。

ノースロップ・グラマンは、「先進的な設計(ジェットゼロ)と、エンブラエルのKC-390

のような運用上の強みを持つ現在のタンカーに焦点を当てることで、国内外の顧客の進化す

る要件を満たす効果的で適応性の高いソリューションを提供できるよう、さまざまなアプローチに投資しています」と述べています。

主翼胴体の一体型設計により効率性が向上し、インド太平洋地域での作戦範囲が広がります。

ノースロップ・グラマンは、米空軍との要件に関する協議について詳細を明かさなかった。

空軍は2025年8月にNGASに関する最新の情報提供依頼書(RFO)を公表しましたが、この

要請書は「管理された非機密情報」と明記されており、具体的な要件は明らかにされてい

ませんでした。空軍はNGASプログラムの代替案の分析を行っていましたが、ボーイング

F-47などの他の優先事項に資金を投入したため、そのスケジュールは遅延しています。

一方、空軍は、現在の計画と将来の空中給油機の配備との間のギャップを埋めるために、

さらに75機のKC-46を配備する計画を発表したが、具体的な時期は示されていません。

First Boeing KC-46 tanker for Japan completes maiden flight

75機のKC-46空中輸送機を追加する米空軍

米国1強時代の終焉

このニュースは、米空軍の装備調達戦略における歴史的な転換点を示唆する非常に重要な

動きです。これまで「米国の空はボーイングが守る」という暗黙の了解がありましたが、

ノースロップ・グラマン(以下、ノースロップ)がブラジルのエンブラエルと手を組んだ

ことは、なりふり構っていられない米空軍の切実な事情を浮き彫りにしています。

「NGAS(次世代空中給油システム)の深掘り」と「米国1強時代の終焉」というテーマについて、技術・戦略・産業の観点から解説します。


NGAS(次世代空中給油システム)の深掘り:なぜ「3本柱」なのか?

従来の空中給油機(KC-135やKC-46)は、旅客機を改造した「空飛ぶガソリンスタンド」でした。しかし、対中国を想定したインド太平洋の戦場では、この概念が通用しなくなっています。

背景:中国のA2/AD(接近阻止・領域拒否)能力

中国の長射程空対空ミサイル(PL-15など)や極超音速ミサイルの脅威により、旅客機ベー

スの大型機は前線に近づけません。給油機が撃墜されれば、戦闘機(F-35やF-22)はガス欠で墜落し、戦線が崩壊します。

そこでノースロップが提案した「3本柱」は、リスクを分散し、あらゆる局面に対応する「システム・オブ・システムズ」のアプローチです。

機種・技術 役割と戦略的意義
① 戦術輸送・給油 C-390 (エンブラエル)

「分散と生存」

 

短い滑走路や不整地でも離着陸できるため、攻撃されやすい主要基地に依存せず、島嶼部などへ分散展開(ACE構想)が可能。前線近くで給油を行う「戦術タンカー」。

② 戦略輸送・給油 BWB機 (JetZero)

「長距離とステルス性」

 

ブレンデッド・ウィング・ボディ(全翼機に近い形状)により、燃費と航続距離が飛躍的に向上。レーダー反射面積も旅客機型より小さく、脅威圏外からの大量輸送・給油を担う。

③ 高脅威下での給油 小型無人機/ステルス機

「ラストワンマイル」

 

ノースロップが得意とする高度なステルス技術や自律制御を用いた小型機。敵の防空網の内部まで侵入し、F-35やNGAD(次世代戦闘機)にこっそりと給油する。

つまり、「全部ボーイングの大型機で賄う」のではなく、「適材適所でリスクを分散する」というのがNGASの本質です。

「ボーイング基準」からの脱却と産業構造の変化

ご指摘の通り、これまでは「米国製(特にボーイング)」が基準でしたが、今は「使えるものは何でも使う」という実利主義にシフトしています。

  • ボーイングの失墜: KC-46の度重なる不具合(RVSカメラの問題など)、民間機部門での品質問題、宇宙船スターライナーの失敗などにより、米空軍のボーイングに対する信頼は揺らいでいます。

  • C-390の評価: エンブラエルC-390は、すでにブラジル、ポルトガル、オランダなどが採用しており、「完成された信頼性の高い機体」です。これをノースロップが米国内でライセンス生産などの形で取り込めば、開発リスクゼロで即戦力を入手できます。

戦闘機開発への影響(NGADなど)

この流れは輸送機に留まりません。

  • 戦闘機(NGAD): 米空軍は次世代戦闘機NGADのコスト高騰を懸念し、計画の見直しを行っています。ここでも、1社独占ではなく、無人機(CCA)の開発には新興企業のアンドゥリル(Anduril)やジェネラル・アトミクスを参入させています。

  • 「囲い込み」から「オープン化」へ: 従来のようにロッキードやボーイングがすべてを垂直統合で作るのではなく、優れた技術を持つ中小・スタートアップ(JetZeroなど)や同盟国の企業とパートナシップを組むことが必須条件になりつつあります。

米国1強時代の終焉か?

結論から言えば、「米国単独ですべてを完結できる時代」は終わりましたが、「米国を中心とした陣営」としての優位性は維持しようとしています。

① 「純国産」の限界

かつての米国は、圧倒的な資金力と産業基盤ですべての兵器を国内開発できましたが、現在は技術が高度化・複雑化しすぎて、1国1社で開発費を負担しきれません。また、開発スピードにおいて、民間技術を取り入れた中国の猛追を受けています。

② 新しい「強さ」の定義

これからの「強さ」は、自国ですべて作ることではなく、「世界中からベストな技術を即座に統合(インテグレーション)できる能力」に変わります。

  • ブラジルの機体(エンブラエル)

  • 米国のステルス・システム統合力(ノースロップ)

  • スタートアップの革新設計(JetZero)

これらを組み合わせるプロデューサーとしての能力こそが、今後の米国の覇権の鍵となります。

結論と日本への示唆

今回のノースロップ・グラマンの提案は、「プライドよりも勝利」を選んだ米国の現実的な判断です。

  • 日本への影響: 航空自衛隊もC-2輸送機やKC-46を運用していますが、米空軍がC-390のような戦術輸送機にシフトする場合、自衛隊の装備体系(特にC-130Hの後継)にも影響を与える可能性があります。また、次期戦闘機(GCAP)において、日本が英国・イタリアと組んでいるのも、「一国では作れない」という世界的な潮流と同じ文脈です。

米国は「1強」の座から降りたのではなく、「チームリーダー」として同盟国や他国企業の技術を吸い上げ、再構築するフェーズに入ったと言えるでしょう。

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