ボーイングスキャンダルの余波、Wiskは?

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

ボーイングの新たなスキャンダル、B787の検査不正問題が世界中を騒がせています。

度重なる不正で、ボーイングは事業内容の見直しを迫られています。

ボーイングからの支援を受けていたスタートアップ企業は?

その中でも注目は、2023年、ボーイングの完全子会社となった電動航空機開発メー

カー・ウィスクはどうなるのでしょうか?

ボーイング787型機の品質問題

日本でも昨年4月にトヨタ系列のダイハツ自動車の認証試験不正問題が発覚して

ダイハツ自動車は大きな損害を被るとともに、一気に信用は地に落ちました。

そして、またボーイング787型機の主翼と胴体の接合部分の不正検査という

ショッキングなニュースが出てきました。このスキャンダルは、ダイハツ自動

車とは比べものにならないくらいの問題です。

ボーイング787型機の品質問題で、主翼と胴体の接合部分に対する必要な検査が一部

の機体で完了していない可能性があるとして、FAA(米国連邦航空局)は現地時間5月

6日から調査を始めました。FAAは、ボーイングの検査状況や従業員による記録改ざん

の可能性を調査しています。

ボーイングの社内メールによると、787の最終組立工場があるサウスカロライナ州

ノースチャールストンの「BSC(ボーイング・サウスカロライナ)」で問題が発覚。

787の主翼と胴体の接合部の適合性検査で、不正とみられるものを従業員が発見して

上司へ報告したことにより、経営幹部が事態を把握したというのです。

787プログラムの責任者であるスコット・ストッカー氏は、「何人かが必要な検査を

実施せず、作業を完了したと記録し、会社の方針に違反していた」と、BSCの従業員

へ宛てた電子メールで内部通報があったことを説明。「監督官庁に報告し、是正措置

を講じている」としています。

ストッカー氏は「我々のエンジニアリング・チームは、今回の不正行為が飛行の安全

性に関わる問題をただちに引き起こすものではないと評価している。しかし、製造

工程にある機体は、順番に検査を実施する必要があるため、私たちの顧客や従業員

に影響を与えることになる」と、今後の787の納入に影響が及ぶ可能性を示唆しま

した。

FAAは「ボーイングは製造中のすべての787を再検査し、運航中の機体への対応計

画も策定しなければならない」とコメントしました。

787の最終組立工場は、現在はノースチャールストンのBSCのみ。かつては2拠点あ

り、ワシントン州シアトル近郊のエバレットでも製造していましたが、2021年3月

にBSCへ集約しました。2007年にエバレット、2010年に第2工場となるノースチャ

ールストンが稼働。787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の

3機種で構成され、2拠点時はエバレットで787-8と787-9、ノースチャールストン

では3機種すべてを製造する体制でした。2017年3月31日に初飛行した787-10の

製造は、当初からノースチャールストンのみで行われています。

3月末時点の787の受注残は、787-9が586機でもっとも多く、787-10が168機、

787-8が35機の計789機。納入済みの787は計1123機で、787-9が半数以上を占め

る629機、787-8が396機、787-10が98機となっています。

破談になった企業

エンブラエルとの合弁事業の破棄

2020年4月、前年の2件のB737MAX墜落事故を受け、ボーイングは42億ドル

(約4500億円)規模のブラジルの航空機メーカー、エンブラエルとの事業統合

について中止を発表しました。

今回の事業統合が実現すれば、ボーイングは小型機市場での存在感を高め、より

安価に航空機を製造できるようになる見通しでした。

エンブラエルはボーイングの発表を受けて声明を出し、被った損害の是正に向けて

あらゆる措置を取ると述べました。エンブラエルは、ボーイングにとって財政的負

担になっている737MAXの2度の墜落事故に言及。ボーイングが、財政状況や

737MAXなど事業の評判に関する問題から42億ドルの支払いを避けるために

「不当な主張」を行っていると述べています。

両社は2020年4月24日までに合弁事業を設立する予定でした。しかし、ボーイン

グによれば「「エンブラエルが必要条件を満たさなかったため期限が過ぎた。ボー

イングは満たされなかった条件の詳細については明らかにしなかった。エンブラエル

は取引の条件をすべて満たした」と考えているということです。

今回の事業統合では、ボーイングがエンブラエルの商用機部門の株式80%を獲得

し、残りの20%はエンブラエルが引き続き保有することになっていました。

超音速ビジネスジェット機「アエリオン」資金難で事業停止

超音速ビジネスジェット「AS2」のイメージ(photo courtesy Aerion)

超音速ビジネスジェットの開発を手がけるアエリオンが事業を停止します。アメリカ

のニュース専門放送局CNBCが2021年5月下旬、その内容を伝えました。超音速ジェ

ット機「アエリオンAS2」の開発に必要な資金調達が困難であることを理由として

います。

アエリオンAS2は、ボーイングが開発を支援し、エンジニアリング、製造、飛行試

験のリソースなどを提供していた超音速ビジネスジェットです。AS2の構想が発表

されたのは2014年5月。アメリカでビジネスジェットを運航するフレックスジェット

が2015年11月、アエリオンAS2を20機、確定発注。エンジンの初期設計を2018年

10月時点で完了、初飛行は2024年、商業運航は2026年までに実現させる目標を掲

げていました。

アエリオンAS2は、最大速度はマッハ1.5、運航乗員2名で乗客12名を乗せ、4,750

海里と8,797キロを超音速で飛行する仕様でした。AS2の価格は1機あたり1億2,000

万ドル(約130億円)。AS2の開発費用は約40億ドルで、エンジン開発に10億ドルを費

やしていると2020年1月、アエリオンのトム・バイスCEOはコメントしていました。

2021年初めには、フロリダ州のロン・デサンティス知事と共に記者会見を行い、アメ

リカのオーランド・メルボルン国際空港に3億,7500万ドルの製造施設を建設すること

も発表。3月には、バークシャー・ハサウェイ社傘下のネットジェットが20機発注を

表明したばかりで、急展開での事業停止となります。

ボーイングはエンジニアリングや設計及び製造のサポートを行い、試験設備などのリ

ソースも提供する計画でした。アエリオンは2017年にロッキード・マーティンと提

携を行いましたが、2019年にロッキードとの提携は打ち切りました。

ズナムエアロの失敗、ボーイングを提訴

 

2017 年、ズナムエアロは大きく羽ばたいていました。ワシントン州カークランドに

拠点を置く航空スタートアップ企業は、都市間の地域間を短期間で移動するための

12席のハイブリッド電機ジェット機を構築するという大胆な計画でその隠された

ベールを脱いだのです。同社はボーイングとジェットブルーのベンチャー部門から

数百万ドルの資金提供を受けており、2022年までに飛行準備が整うと述べていま

した。

それから間もなく、それらの夢は地上に砕け散りました。 2018年、ズナムは資金

が枯渇し、従業員のほぼ全員を解雇し、本社を明け渡すことを余儀なくされました。

計画を再開するために必要な追加資金を調達するのに苦労したのです。そして今、

ズナムは、航空宇宙大手ボーイング社を詐欺、技術窃盗、契約違反、営業秘密の

流用の疑いでワシントン高等裁判所に訴訟を起こしました。

ズヌムは、ボーイングが「他の主要な航空宇宙メーカーや資金提供者と共謀」して

追加資金調達の取り組みを妨害し、その過程でズヌム社のエンジニアを引き抜こう

としたと述べています。同社は、ボーイング社が自社の優れた技術と空の旅を破壊

する可能性を航空界における自社の優位性への脅威と見なし、その優位性を弱体化

させようとしたと主張しています。ズナムは、投資家としてのデューデリジェンス

をサブテキストとして用い、ボーイングが自社の事業計画と独自技術にアクセスし

自社の利益のためにズナムを「搾取」したと述べました。

マイクロソフトとグーグルの元幹部らが設立したズナム社は、ハイブリッド航空機

のいくつかのモデルを製造することを提案しており、1つは2022年までに航続距離

700マイル、もう1つは2030年までに航続距離1,000マイルとなります。

そのアイデアは、排出ガスが少なく、離陸と着陸の手間が少ない格安航空券を提供

することでした。

ウィスクがボーイングのトラブルをものともしない理由

ウィスク

同じ様に2023年からボーイングからの支援を受けているeVTOL開発企業ウィスク

エアロははたして大丈夫なのでしょうか?

ウィスクが動じない可能性がある理由はここにあります。

ボーイングがキティホークを買収した後、自律性優先のeVTOL開発会社の唯一の

所有者になったのは昨年の2023年ことです。この買収は、2022年1月に自律型

eVTOLスタートアップへの4億5000万ドルの投資に続いて行われました。

ズナムとエアリオンにはこれまでをはるかに上回る額が投じられました。

また、ブルームバーグの先月の報道では、ボーイングがバランスシートを強化す

るために少なくとも2つの防衛事業の売却を検討していることが明らかになりま

した。

しかし、ボーイング社は遠い将来を見据えている企業です。それは 20 年間の市

場予測を生成しており、少なくともそれくらい先のことを計画していることは間

違いありません。 (昨年、経営戦略部門が閉鎖され、それは各部門に委ねられた

にもかかわらず)。

匿名を希望した両社に近い関係者はレボリューション・ エアロに次のように語り

ました。ボーイング社の民間航空機部門における継続的な状況にも関わらず、

ウィスク社と親会社との関係は変わっておらず、両者の共同ビジョンは変わらな

い。」と。

ウィスクの自律技術が正確にどこに導入されるかは憶測の余地がありまするが、

防衛と民間航空が可能性の高い事業分野です。 eVTOLは画期的なエンジニアリン

グの偉業であり、市場の規模が拡大すれば社会の大部分の移動に影響を与える可

能性がありますが、ボーイングにとって最大の収益源になる可能性は低いのです。

したがって、eVTOLは適切なタイミングで適切な場所にあり、ボーイング社はそ

れが自社の自律技術にとって最適なインキュベーターであると判断し、それをより

収益性の高い事業分野に活用できると判断したという議論があります。

この混乱の中でボーイング社が注意をそらされていたとも言えるでしょう。

 現時点ではボーイングがAAMに少しでも興味を持っているとは想像できません

中核となる航空輸送事業には解決すべき問題が多すぎます」と エアロダイナミック

・アドバイザリーのMD、リチャード・アブラフィア氏は語ります。

アブラフィア氏は、ボーイングの上層部の現在の状況が麻痺につながると信じて

います。  「最も重要で最も問題を抱えている事業部門である民間ジェット機の

首が切られることになるが、その代替は不確実でおそらく暫定的なものだ」と 

アブラフィア氏は言います。

「我々はボーイング社の最低点を超えたかもしれない。実は楽観的なんです。

適切なリーダーシップが社内外に適切なメッセージを送信すれば、会社を好転さ

せることができます。それにはこの 10 年のほとんどがかかりますが、必ず実現

できます。 GEを見てください。おそらく、新しいボーイングのリーダーシップ

チームは、もしそれがより良くなったとしても、それが到着したとき、将来につ

いて理解しているでしょう。しかし、現在の人は会社にロボトミー手術を施そう

としている。」

新しい指導者が自治戦略に乗り続ければ、2030年代初頭までに完全回復すること

はウィスクにとって朗報となるでしょう。開発者は 2030 年の商業サービス開始

予定を持っています。この目標を達成できれば、ボーイングの製品群全体で自律

性をますます広く利用できるようになる可能性があります。これは航空業界に新

たな革命をもたらす技術

ウイスクは、カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、2010 年、電動

垂直離着陸飛行の可能性を探ることに着手しました。それ以来、同社は複数世代

の航空機を開発し、1,750 回を超える本格的な試験飛行を実施してきました。

2023年、ウィスクはボーイングの完全子会社となりました。当社は別々に事業を

行っていますが、この関係により、ボーイングの開発、試験、認証などの専門知識

を活用することができます。

性能

  • ミッション:旅客エアタクシー
  • 電源:オール電化
  • 航空機の分類: eVTOL (電動垂直離着陸)
  • 構成:リフト + リフト/クルーズ
  • 運用:人間の監視下での自律(自己飛行)
  • 巡航高度:地上 2500 ~ 4000 フィート
  • 寸法:翼幅 <50 フィート
  • 航続距離: 90 マイル (予備を含む) / 144 キロメートル
  • 巡航速度: 110-120ノット
  • 充電時間: 15 分
  • 座席: 4 + 機内持ち込み手荷物用のスペース

まとめ

ボーイングは、2018年のMAXの墜落以来、今年にかけて数々の不祥事や事故を

引き起こしてきました。最近になって、整備や製造上の不具合が内部告発を

きっかけに明らかになってきました。それはもちろん会社の管理体制の不手際

で怒っていることですが、根本的な問題はなんなのでしょうか?

ボーイングを始め大手企業は、M&Aや合併を繰り返し大きくなってきました。

それはまた、多くの下請け会社を作ることとなったのです。それぞれの会社の

企業文化の違いや経営トップの腐敗など、複雑な要因が絡み合ってその結果が

出てきたのだと思います。

そして、経営方針や新規事業拡大として多くの新規事業を支援、出資してきま

した。全てが成功するわけではありませんが、ズナムやエアリオンのように

ボーイングの不祥事による経営悪化の余波をまともに食らった企業も不運としか

言いようがありません。今回の記事で書いたようにたとえウイスクのようなeVTOL

企業であっても、安泰とは言えないでしょう。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

 

 

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