皆さんこんにちは!
エアバス社のA320ファミリーの中で航続距離を大幅に伸ばすことができたA321XLRが、ヨーロッパ市場に大量に投入されます。
大西洋路線が劇的に変るかもしれません。
エア・カナダ、ナローボディ機でヨーロッパの二次市場を狙う

エア・カナダは2026年初頭に最初のA321XLRを受け取る予定。クレジット: エア・カナダ
エア・カナダは2026年夏にヨーロッパでの事業範囲を拡大し、エアバスA321XLRで
ベルリンを含むいくつかの小規模路線を開設し、ナローボディ機の長距離性能を活用して二次市場へのアクセスを開始する予定。
スターアライアンス加盟航空会社は、モントリオール発ベルリンおよびフランスのナント
行き、ハリファックス発ブリュッセル行き、トロント・ピアソン発アゾレス諸島ポンタ・
デルガダ行きの季節運航を増便します。また、モントリオール=テルアビブ路線も再開し
ます。テルアビブを除く全路線は、単通路機で週3便運航となります。
「主要都市への便利なアクセスを実現するとともに、経済関係を強化し、観光業を支援
するため、ヨーロッパ全域で新たな直行便を戦略的に増やしています」と、エア・カナダの
最高商務責任者であるマーク・ガラルド氏は述べています。「これらの路線増便により、
エア・カナダは来夏、目的地数で北米第2位の大西洋横断路線網を提供することになります」と、ガラルド氏は付け加えています。
2026年夏季スケジュールでは、ハリファックス=ブリュッセル線が6月18日から9月6日
まで、モントリオール=ナント線が6月10日から10月12日まで、トロント=ポンタ・デル
ガダ線が6月11日から9月6日まで運航され、いずれもボーイング737-8型機で運航されま
す。モントリオール=ベルリン線は7月2日から10月11日までA321XLRで運航され、
モントリオール=テルアビブ線は6月5日から10月24日まで週2便、787型機で運航され
ます。エア・カナダは、イスラエルとハマスの紛争中に運航を停止していましたが、
2025年10月にトロント=テルアビブ線の運航を再開しました。
ベルリンにとって、新しいA321XLRはブランデンブルク空港で同型機が初めて使用される
機会となります。ブランデンブルク空港によると、同機の効率性により、これまでこの地域
では実現不可能だった長距離路線の開設が可能になるとのこと。ベルリンは北米市場では
比較的サービスが不足しており、ユナイテッド航空の通年運航に加え、エア・トランザッ
ト、デルタ航空、ノルズ・アトランティック航空の季節運航のみが運航しています。エア・
カナダは2019年にベルリン・テーゲル空港に最後に就航しました。
A321XLRは、エア・カナダのより規模の小さい大西洋横断路線の開拓戦略の中核を成す
機材です。同社は30機を発注済みで、最初の機体は2026年初頭に、来年には最大10機が
受領される予定です。同社は既に、モントリオール-パルマ・デ・マヨルカ間の新規路線に
加え、モントリオール-トゥールーズ、モントリオール-エディンバラといった既存路線にも
同機を投入する計画を確定しています。
OAGスケジュールアナライザーのデータによると、エア・トランザットはモントリオール
=ナント線を運航しており、来夏には週6便の増便を計画しています。エア・カナダと
エア・トランザットはモントリオール=ブリュッセル線を運航していますが、ハリファッ
クス=ブリュッセル線はまだ運航されていません。アゾレス航空はトロントとモントリオー
ルからポンタ・デルガダへの路線を通年運航しています。
エア・カナダは2025年夏季にヨーロッパ28都市に就航し、カナダ・ヨーロッパ間の往復
座席数は580万席に達しました。これは2024年の549万席から増加しています。2026年夏
の暫定スケジュールは、今回の追加路線導入前でも既に597万席を超えています。今回の
新規路線は、モントリオール=パルマ・デ・マヨルカ線、モントリオール=カターニア線
を含む、既に追加されている路線に続くものです。
アメリカン航空のA321XLR初の海外路線はJFK-エディンバラ

クレジット: アメリカン航空
アメリカン航空は、2026年3月から、エアバスA321XLRを使用した初の国際路線を
ニューヨーク・ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)とエディンバラ空港(EDI)間で運航する予定です。
アメリカン航空は、納入の遅延を経て、長距離ナローボディ機が自社の保有機材に加わった
と発表。同社はA321XLRを50機発注しています。同社は7月に、エアバスから最初の
A321XLRを正式に受領したと発表していたが、「座席サプライチェーンの継続的な課題」
を解決するため、同機は欧州に留まる必要があると説明していました。
ダラス・フォートワースを拠点とするこの航空会社は、最大航続距離4,700海里
(5,400マイル)のA321XLRをまずJFK空港とロサンゼルス国際空港(LAX)間の路線で
運航します。A321XLRは12月18日から2026年3月までJFK-LAX路線で使用されます。
アメリカン航空は、2026年3月8日より、ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)とスコット
ランドの首都を結ぶA321XLRの運航を開始します。同社は、2026年10月24日まで季節
限定で、2,800海里(3,200マイル)以上の距離に渡る同路線を同機で運航します。
「アメリカン航空は追加のA321XLR機を受領するため、同航空会社は同機をさらに多くの
大陸横断路線および国際路線で使用する予定です」と同社は述べました。
OAGスケジュールアナライザーのデータによると、ジェットブルー航空は、先日終了した
夏季スケジュールにおいて、JFKとEDI間の季節運航を行っていました。デルタ航空は現在
この路線を運航しており、2026年1月と2月は運休し、3月に運航を再開する予定です。
アメリカン航空のA321XLRは、ビジネスクラス20名、プレミアムエコノミークラス12名、
エコノミークラス123名の合計155名の乗客を運ぶ仕様となります。エアバス社によると
この機体はシングルクラス構成で最大244名の乗客を収容できるといいます。
アメリカン航空は、2025年夏期スケジュールにおいて、フィラデルフィア国際空港
(PHL)とEDI間の季節運航をA321neoで実施していました。同社は、2026年冬期に
PHL-EDI便を3月28日から再開すると発表しました。
A321XLR革命!なぜ北米エアラインはナローボディで大西洋を渡るのか?
エア・カナダやアメリカン航空がA321XLRをヨーロッパ路線に積極導入する背景には、
単なる「座席数」ではない、戦略的な経済性が隠されています。A320neoと大差ない
座席数(180席未満)の裏側にある、XLR採用の3つの理由を解説します。
1. 圧倒的な「航続距離」が最大の武器
A321XLRの最大の魅力は、その名の通り「eXtra Long Range(超長距離)」性能にあり
ます。航続距離は約8,700km。これはA320neoでは到達不可能だった、アメリカ東海岸
や中西部からヨーロッパの「二次都市」(例:ニューヨーク/ボストンからプラハ、
ブダペスト、マンチェスターなど)への直行便を可能にします。
この「ロング・シン・ルート(長距離だが需要規模は中程度)」を開拓できる能力こそが、XLR最大の採用理由です。
2. ワイドボディ機との経済性競争
なぜ、既存のワイドボディ機(A330やB787)を使わないのでしょうか?
答えは「コスト効率」です。二次都市への路線は、250~300席のワイドボディ機を満席に
するほどの需要がないケースが多いのです。
A321XLRは、ワイドボディ機と比べて運航コストや燃料消費量が格段に低く、180席未満
のプレミアム重視の座席構成でも高い収益性を確保できます。少ない需要でも高い利益を
生み出せる、高効率なドル箱路線を生み出すのです。
3. 利便性と運航の柔軟性
小型のナローボディ機を使うことで、航空会社は以下のメリットを得られます。
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高頻度運航: 大型機を週数便飛ばすよりも、小型機で毎日運航することで、ビジネス利用客にとっての利便性が向上します。
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機材繰りの柔軟性: A321XLRは国内線やカリブ海路線にも容易に転用でき、季節変動やトラブル時の対応力が上がります。
つまり、A321XLRは「座席数」ではなく、「大西洋を低コストで渡り、新たな市場を開拓する能力」が評価されている、戦略的なゲームチェンジャーなのです。


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