皆さんこんにちは!
エアバスシリーズの中でベストセラーと言えば『A300』ではないでしょうか?
そしてA300-600Fは、いまだに貨物機として飛行しています。エア香港は最後のフライトを終えましたが、まだまだ現役で世界を飛び回っています。
エア香港、最後のA300Fを退役させ、全機をA330Fに切り替え
クレジット: ロブ・フィンレイソン
エア香港は、6月23日に最後のA300F型機が同貨物航空会社向けの最終商業飛行を終えたこ
とを受け、エアバスA330F型機のみを運航する機材へと移行しました。エア香港は現在、
A330F型機を14機運航しており、内訳はA330-200F型機が4機、全長が長いA330
-300F型機が10機です。機材更新プロセスは、キャセイパシフィック航空が2018年にA330F型機を運航開始した際に開始されました。
A300の歴史と変遷
開発秘話:なぜA300は生まれたのか
1960年代、世界の旅客機市場はボーイング、ダグラス、ロッキードといったアメリカの
メーカーがほぼ独占していました。ヨーロッパ各国には個別の航空機メーカーはあったもの
の、単独ではアメリカの巨大企業に対抗できる力はありませんでした。
そこで、フランス、ドイツ、イギリス(後に一度離脱、再参加)、スペインなどが協力
し、「エアバス・インダストリー」という企業連合を設立。これが現在のエアバス社の前身です。
当時、アメリカが開発していたボーイング747やDC-10のような大型長距離機とは異なる、
ヨーロッパ域内の路線に適した「300席級の短・中距離用ワイドボディ機」というニッチな
市場を狙うことになりました。これがA300という名前の由来にもなっています。
A300の革新的な特徴
A300は、以下の点で非常に革新的でした。
- 世界初の双発ワイドボディ機: 当時、ワイドボディ機はDC-10やトライスターのように3発または4発が主流でした。A300は燃費効率の良い強力な双発エンジンを搭載し、ワイドボディ機の快適さと経済性を両立させました。
- 効率的な貨物システム: 胴体の太さは、ボーイング747と同じ標準的な貨物コンテナ(LD-3)を2列並べて搭載できるように設計されていました。これにより、貨物の積み下ろしが効率化され、航空会社の収益向上に貢献しました。
- 複合材の積極的導入: 当時としては珍しく、複合材を製造に用いることで、機体の大幅な軽量化を実現しました。
- 分業体制による生産: ヨーロッパ各国の工場で部品を製造し、フランスのトゥールーズにある最終組立工場に集約するという、現在にも通じる生産方式が確立されました。
成功への道のり:苦難と逆転劇
A300は革新的でしたが、開発初期はなかなか受注が伸びませんでした。アメリカの航空会社
は既存のボーイングやダグラスを好み、ヨーロッパ製の新型機には懐疑的だったのです。
この状況を打開したのが、営業担当責任者だったフレデリック・フランク氏でした。彼は驚くべき大胆な作戦に出ます。
- 「無料リース作戦」: 1977年、フランク氏は経営危機にあったアメリカのイースタン航空に対し、A300を半年間「無料」で貸し出すことを提案しました。
- 実証された経済性: イースタン航空が実際にA300を運航してみると、燃料消費量が競合機よりも約30%も少ないことが証明されました。さらに、整備も容易で手間がかからなかったのです。
この成功体験が決め手となり、イースタン航空はA300を23機も購入。これにより、A300は
アメリカ市場に初めて足がかりを築き、一躍世界的な注目を集めることになります。
その後の発展と現在
A300は、その後も胴体を短縮し航続距離を延ばしたA310など、多くの派生型を生み出し、
エアバスの成長の礎となりました。旅客機としての生産は2007年に終了しましたが、貨物機
として製造されたA300-600Fは、現在もUPSやフェデックスなどの貨物航空会社で重要な役割を担っています。
特にUPSは、機体を2040年まで運用するため、コックピットを最新のアビオニクスシステ
ムに換装する大規模な近代化改修を実施。A300が今なお現役で空を飛び続けていることを示しています。
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