ドローンと戦争

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

ウクライナ戦争が始まってまもなく半年が経ちます。戦況は膠着状態です。

ここに来て、ロシアは原子力発電所を盾にとって、ウクライナの攻撃を躊躇させて

います。開戦当初、有効な手段であったドローンも影を潜めてきました。この半年

で何があったのでしょうか?

スイッチブレード

アメリカは、5月15日にウクライナへの追加支援400億ドル、日本円で約5兆

4000億円の支援法案を可決しました。これまでも、様々な武器の供与を行って

きました。M777、155ミリ榴弾砲や、対戦車ミサイルシャベリンなどです。

また、ドローンの提供も行っています。偵察用ドローンのピューマ、レイブンです。

その中で、攻撃型ドローンスイッチブレードが近代戦争の様相を急変させました。

この攻撃型ドローンスイッチブレードは、神風ドローン、自爆ドローンとも言われて

います。スイッチブレードは300型タイプと600型タイプの2種類があります。

その能力の高さから『空飛ぶショットガン}とも呼ばれています。

300型スイッチブレード

300型タイプは、全長49.5cmの小型でカバンに入れて持ち運びができます。

弾頭を搭載しており、高い攻撃能力を有しています。高感度カメラ、赤外線センサー

が搭載されており、索敵飛行で標的を探知し攻撃が可能なドローンです。

筒状のランチャーから発射し、翼が開き急上昇します。上空からのリアルタイムな

映像を用いてターゲットを確認、誘導していきます。高度なカメラとセンサーにより

未確認のターゲットを飛行しながら発見することができ、そのまま即時攻撃が可能に

なります。偵察と攻撃をこの1機でタイムラグ無く同時に行えることが大きな特徴で

もあります。また、固定ターゲットに対してはロックオンも可能です。もし民間人が

ターゲット接近した場合、自爆寸前でのターゲット変更やキャンセルが可能なこと

から、巻き込みなどの被害を最小限に抑えることができます。

操作も簡単で、準備は10分以内に完了し、動力は伝導モーターを使用しています。

性能は、速度は101km/h、突入時は160km/hにもなります。

重量は2.5kgと軽量で携行性に優れています。

600型スイッチブレード

300型は小さなターゲットに対して有効であり、性能が向上した600型では

装甲車や戦車など大型車両に対して有効な威力を持っています。

300型は最大15分10kmの距離を飛行することができますが、600型では

最大40分40kmの距離が飛行可能となります。全長は130cmと300型に

比べれば大きく、重量も24.7kgと重くなっています。ただし、速度は113km

/h、突入時185km/hとなります。なんと言っても、対戦車砲のシャベリンの

弾頭が搭載できるのです。

驚くべきは価格です。シャベリンは弾頭を含め2500万円ですが、スイッチブレード

は約75万円と非常に低コストです。シャベリンは、1発2000万円という高価格な

ので限られた人間しか操作できません。しかし、スイッチブレードは、操作も簡単で低

価格なために、必要なところへ必要な数を提供できることが期待されています。

フェニックスゴースト

今回の追加支援の中に、フェニックスゴーストという無人機が580機提供されました。

フェニックスゴーストという無人機(あえてドローンとは言いません)は謎が多く、公に

公表されていません。明らかになっていない部分が多い兵器です。

フェニックスゴーストは、アメリカ空軍によって開発された新しい攻撃型戦術無人機です。

空軍とともに開発製造を担当したAEVEXエアロスペース社は、2017年設立の新し

い会社です。ちなみに、スイッチブレードは700機以上提供されています。

この無人機は、ウクライナ戦争が始まる前から、アメリカ軍の特殊部隊での運用を目指し

開発が進められてきました。しかし、アメリカ軍がこの開発中の無人機を、ウクライナ東

部での作戦や要求に合わせた形で急速に提供に向けて完成させました。ウクライナ専門と

言っていいこの無人機は、現在ロシアへの新たな攻撃の焦点となっている東部ドンバス

地域の平坦で見晴らしの良い地形での戦闘に特化しています。

アメリカ国防総省報道官のジョン・F・カービーは、テレビインタビューの中で、

『これ以上詳細は話せないが、フェニックスゴーストはスイッチブレードのような使い捨て

ドローン(インタビューのまま直訳)、攻撃型ドローンでありその目的で設計されている』

と話しています。様々な目標に強い一撃を加えることができる使い捨てタイプの無人機で

弾頭の威力も、ソフトターゲットから中型の装甲車両まで有効だと言われています。

操作に関しても、少しトレーニングをするだけで運用は可能です。

搭載されているカメラは、偵察目的ではなく攻撃を行う前提で設計装備された高性能なカ

メラです。驚くべきは離陸方法です。スイッチブレードが筒状ランチャーからの発車であ

るのに対して、フェニックスゴーストは垂直離陸が可能と言われています。飛行時間が

長い他のドローンでは、離陸するための補助ロケットや発射装置が必要だったりして、

小型化が難しくなってしまいます。フェニックスゴーストは発進システムが不要であり

本体のみでの運用が可能なのです。

まだ、大きさは公開されていませんが、使い捨てであることから、大型のものではない

と思われます。そのため音も静かで気づかれにくく偵察と攻撃を行うことができます。

フェニックスゴーストは、6時間以上の飛行が可能です。飛行速度もトルコのTB-2

バイラクタルよりも速いと言われています。フェニックスゴーストは、ウクライナの特

殊作戦部隊や歩兵が携行しやすく、強力な戦力として期待されています。

ロシアによるGPSの妨害

スターリンク

スターリンクとは、ウクライナの奮闘を意気に感じた、宇宙開発事業スペースX社の

CEOであり、電気自動車企業テスラの共同創設者でもあり大資産家のイーロン・

マスク氏がウクライナの民のために介抱した衛星通信システムです。これによって

ウクライナはほぼ全土で衛星経由でインターネットの接続が無料になりました。

このことによって、ドローンによる作戦や戦況をリアルタイムで世界に発信できる

ことができています。

ロシア軍の妨害

ロシア軍は、ウクライナでアメリカのGPSの妨害を行っていると、アメリカ宇宙

軍作戦担当副本部長のディビィット・トンプソン将軍がテレビのインタービューに

答えています。GPSはアメリカ宇宙軍が運用する衛星測位システムで、ウクライナ

を含む世界の多くの国で利用されています。衛星測位システムには、アメリカのGPS

のほかヨーロッパ版のガリレオ、ロシア版のグロナスなどがあります。

ロシア側は、GPS衛星を直接攻撃することなく、地上の補助的な送信設備を狙った

模様です。GPSの仕組みとして、約30基の衛星が地球軌道上にあり、そのうちの

予備を含めた24基が稼動しています。少なくとも4基の衛星からの電波を捉えること

で現在値を算出する仕組みです。ただし、衛星からの電波だけでは、10m程度の誤差

が生じます。このため、地上のGPS基地局からも平行して電波を受信して精度を上げ

ています。

このロシア軍の妨害により、ドローンでの攻撃や作戦に支障が出ているは事実です。

まとめ

今後も新しい兵器の開発は進んでいきます。AIを使った新しいシステムも構築され

ています。

8月7日に、国際テロ組織「アルカイダ」のトップ・ザワヒリ容疑者をドローンによって

殺害したというニュースは衝撃的でした。ドローンの可能性を証明するとともに、ドローン

が人殺しの兵器だということが一層明らかになりました。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました