山火事を消火するドローンたち

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

地球温暖化の影響により世界各地で、山火事や大洪水が起こっています。

中でも山火事による森林の焼失面積は年間800万ヘクタール以上に達しています。これは

東京都の面積の約40倍に相当します。また、20年前と比べると2倍近くに拡大しています。

加えて、消防士を含めた死者の数は甚大です。そこで日本のヤマハは無人の消火ドローンを開発しました。

ヤマハ、火災対応用無人ヘリコプターの実証実験を実施

ヤマハ Fazer SAR 無人ヘリコプター

クレジット:ヤマハ発動機

オレゴン州航空局とヤマハ発動機は、ヤマハ発動機の無人捜索救助(SAR)ヘリコプター

システム(UAS)「Fazer」を山火事の軽減・鎮圧に活用する可能性を探るための覚書を

締結しました。オレゴン州では、暑く乾燥した夏の時期に多くの山火事が発生し、今年は

これまでに1,649件の火災が発生し、194,949エーカー(約7万平方キロメートル:北海道の面積)が焼失しています。

オレゴン州航空局は、「山火事のシーズンが激しさを増し、予測不可能になるにつれ、革新

的で柔軟性が高く、拡張性の高いツールの必要性がますます高まっています」と述べてい

ます。Fazer SAR UASの評価には、遠隔地や高リスク地域における小規模および発生中の

山火事への迅速な対応を支援するための、目視外運用の試験が含まれます。本契約は、

ヤマハ製UASの購入または配備を両当事者に義務付けるものではありません。

Fazer SARは最大154ポンドのペイロードを搭載し、108海里(約120分)の飛行が可能

で、オプションの燃料タンクを装備すれば6時間飛行可能です。このヘリコプターの4スト

ロークピストンエンジンは無鉛自動車用ガソリンを燃料とします。回転翼機の全長は16.1フィート(約4.8メートル)です。

Fazer SARの活用によるメリットを評価するため、ODAVとヤマハは「運用上の実現可能性

FAA(連邦航空局)との規制手続き、ペイロードの統合、緊急対応パートナーとの連携」を

検討します。初期評価の後には、デモンストレーション活動やパイロットプログラムを実施する可能性もあります。

SkyryseとCal Fireが消防活動にSkyOSを導入

カリフォルニア州消防局

© カリフォルニア州消防局

カリフォルニア州森林火災保護局 (Cal Fire)Skyryse( スカイライズ)は提携し、

Cal Fire のヘリコプターに スカイライズ の SkyOS ユニバーサル オペレーティング シス

テムとフライ バイ ワイヤ (FBW) コントロールを組み込み、消防活動を強化しました。

スカイライズ社は、ロビンソン R66向けSkyOSおよびFBW制御に関するFAA補足型式

認証取得に取り組んでおり、最近ではスカイライズ社製ブラックホーク A型を購入し、

同様のプログラムを開始しました。Cal Fireはスカイライズ社製ファイヤーホークヘリ

コプターを運用しており、スカイライズ社による改修の候補となる可能性が高いと考えら

れます。ただし、スカイライズ社は航空機を含む様々な機種向けにSkyOSプラットフォームを開発中です。 

SkyOSプラットフォームは、ヘリコプターの従来の操作系のほとんどを取り除き、単一

の操縦桿とタッチスクリーンのフライトディスプレイで構成される直感的なユーザーインタ

ーフェースで操作できるFBW操作系に置き換えました。FBW操作系により、パイロット

はペダル、サイクリック、コレクティブを操作することなく、制限超過を防止する内蔵保護

機能により、ヘリコプターの飛行範囲全体にわたって飛行できます。

カリフォルニア州消防局の職員がカリフォルニア州エルセグンドにあるスカイライズ本社で

SkyOSシミュレーターを試用したことがきっかけとなり、提携に至りました。「彼らは、

SkyOSシミュレーターが、固有の安定性と飛行範囲の保護だけでなく、水滴投下の最適化

や、オプションで操縦可能な機体の開発にも役立つと考えています」と、元米海兵隊

MV-22ティルトローター機のパイロットで、営業担当副社長のウォーレン・カリー氏は述べています。

「66の持つ本来の安定性、操作のシンプルさ、そして認知負荷の軽減をお客様にお見せする

と、彼らは『すごい!』と驚いていました。パイロットにとって、認知負荷はすべてであ

り、それを最小限に抑えることができれば、ミッションの効率性と安全性が向上します。」

Cal Fire にとってのメリットとしては、人間のパイロットには危険すぎる地域にオプション

のパイロット付き車両を派遣できるだけでなく、軽量の FBW システムによる積載量の増加

パイロットの認知負荷の軽減、視界の低下やその他の危険がある消防活動環境での飛行時のエンベロープ保護などが挙げられます。

Cal Fire は、カリフォルニア州内の 14 か所の航空攻撃基地と 11 か所のヘリタック基地に

航空機を配備し、3,100 万エーカーを超える私有の荒野の消防サービスと、カリフォルニ

ア州の 58 郡のうち 36 郡におけるあらゆる災害緊急サービスの提供を担当しています。

「(ブラックホークは)Cal Fire社に、このシステムの可能性を示すための自然な架け橋

になると思います」とカリー氏は述べました。「彼らは、当社の技術がファイヤーホーク

プラットフォームにどのような可能性をもたらすのか、非常に興味を持っています。今後

6ヶ月から1年かけてブラックホークにどのような変更を加えるか検討していく中で、スカイ

ライズ社がCal Fire社にとって最適なソリューションだと考えるだけでなく、Cal Fire社が

私たちと共に開発に参画し、共に歩んできたソリューションを確実に提供できるよう、彼らと緊密に連携していきたいと考えています。」

スカイライズのエンジニアたちは、SkyOSが消防活動をどのように強化できるかを理解する

ため、Cal Fireの訓練活動を視察してきました。「パイロットだけでなく、安全担当者や

ミッションコマンダーの方々にも同席していただき、彼らの任務がどのようなものかを理解

しようと努めました」と彼は述べています。これにより、スカイライズはCal Fireの特定の

ニーズに合わせて製品を適応させることができ、風、気温、位置情報、そして散水などの

任務に関わるあらゆる情報を組み込むことができます。「エンジニアの方々に何度か来て

いただき、皆さんの意見に基づいて私たちが行ったことをお見せする予定です」と彼は付け加えました。

「消防活動では一秒一秒が重要です」と、スカイライズの創業者兼CEOであるマーク・グロ

ーデン氏は述べています。「火災は30秒ごとに規模が倍増する可能性があり、火災の進行

速度が速いほど、よりスマートな対応が求められます。SkyOSテクノロジーは、より高い

能力を提供し、ミッションプロファイルを強化し、救急隊員がより効果的かつ安全に消火

活動を行うことを可能にします。カリフォルニア州に設立され、本社を置く企業として、

Cal Fireと協力し、当社のテクノロジーを破壊的な山火事との闘いに活用できることを光栄

に思います。最新かつ最高クラスのテクノロジーを救急隊員に提供することは、単なるツールへの投資ではなく、人命への投資なのです。」

山火事の恐怖

森林消失面積

米シンクタンク「世界資源研究所(WRI)」の報告によると、近年の世界の山火事による

森林の焼失面積は、年間800万ヘクタール以上に達しています。これは東京都の面積の

約40倍に相当します。また、20年前と比べると2倍近くに拡大しています。

2023年の焼失面積は、世界の森林の焼失面積は約1,200万ヘクタールに達し、これは20年前の3倍近くに増大しました。

2023年は、カナダで観測史上最悪の山火事シーズンとなり、約1,500万ヘクタールから

1,700万ヘクタールが焼失しました。これは日本の国土面積の約4倍に相当する広さです。

過去の主な山火事の事例:

    • 2019年〜2020年 オーストラリア: 「ブラックサマー」と呼ばれる大規模な山火事で、約1,860万ヘクタールの土地が焼失しました。
    • 2023年 チリ: 熱波と干ばつに見舞われ、43万ヘクタール以上が焼失しました。

このように、近年の山火事による森林の焼失面積は、地球温暖化や異常気象の影響で大幅に

増加しており、深刻な環境問題となっています。

死者数

2023年 ハワイ州マウイ島では 102人以上が死亡し、近代アメリカ史上最悪の山火事となりました。

2023年 チリでは、 少なくとも26人が死亡し、非常事態宣言が出されました。

2019年〜2020年 オーストラリアでは、 約33人が死亡しました。

これらの数字は、山火事が単なる環境問題ではなく、人命に関わる深刻な災害であることを示しています。

経済損失額

森林火災による経済損失は、直接的な被害(建物やインフラの損壊)だけでなく、間接的

な被害(観光業や農林業の減収、消火活動や復興費用など)も含まれるため、正確な全体像

を把握することは困難です。しかし、一部の事例だけでもその規模の大きさがわかります。

2023年 ハワイ州マウイ島の 経済損失は最大で60億ドル(約9,300億円)に上ると推定されています。

2023年 カナダの山火事による経済損失は、10億ドル(約1,550億円)に達するとされています。

2019年〜2020年 オーストラリアは 観光業だけでも45億オーストラリアドル(約3,400億円)の損失があったと報告されています。

2025年 ロサンゼルスでの山火事による経済的損失が9兆円以上に達したとの報道もあります。

このように、近年の森林火災は、人命の損失だけでなく、経済にも計り知れない打撃を与え

ています。気候変動による火災の増加が予測される中、これらの被害は今後さらに拡大する可能性があります。

日本でも

日本の山火事の発生件数は、長期的には減少傾向にあります。しかし、近年は年間1,200件から1,300件程度で推移しています。

直近5年間(令和元年〜令和5年)の平均は、出火件数: 約1,279件、焼損面積: 約705ヘクタールです。

これを1日あたりに換算すると、全国で毎日約4件の山火事が発生していることになりま

す。また、出火原因のほとんどは焚き火や野焼き、たばこ、放火など人為的なものであり、全体の98%以上を占めています。

山火事による経済損失額は、焼失した森林の価値や、消火活動にかかる費用、関連インフラへの被害などから算出されます。

直近5年間(令和元年〜令和5年)の平均は、 約2.23億円です。

この金額は、大規模な山火事が発生した年には変動します。例えば、2021年に発生した

栃木県足利市の山火事では、損害額が5,700万円を超えたと試算されており、個々の火災による被害額は小さくないことがわかります。

ただし、これらの数字は主に林野庁が公表する「損害額」であり、山火事が引き起こす生態

系の破壊、土砂災害のリスク増加、観光業への影響といった間接的な損失は含まれていませ

ん。そのため、実際の経済的影響は公表されている金額よりもはるかに大きいと考えられます。

 

 

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