元F1メーカーがドローンを飛ばす

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

元F1チームのロータス(後のケータハム)のMGI Engineeringが、物流ドローンを

開発しました。その技術は、F1モータースポーツからの流れを受け継ぐものです。

MGI Engineering

MGI Engineeringは、貨物eVTOLの開発プログラムに着手するために、新しいビジネス

を立ち上げました。MGI Engineering の創設者兼 CEO である マイク・ガスコイン氏は、

今週のevtolinsights.com London Conference(2023 年 4 月 18 ~ 19 日ロンドン)

で、完全に機能する貨物 UAV 技術のデモンストレーターを正式に発表しました。

MGI はフォーミュラ 1 開発の哲学と考え方を貨物 eVTOL UAV 市場に適用しています。

非常に効率的でペースの速い反復設計プロセスを備えた軽量複合構造は、貨物 eVTOL

業界が提示する課題に取り組む同社の重要な要素であり、この分野全体でこれらのコン

サルティング サービスを提供することを目指しています。MGI エンジニアリングの優

れた能力は、モータースポーツの頂点である F1 での数十年にわたる経験に由来してお

り、その経験は確実に反映されています。

ロンドン会議で展示された MGI カーゴ ドローン (画像: evtolinsights.com)

1 年間の研究により、同社は貨物用途向けの Mosquito (モスキート)自律技術デモンス

トレーターを作成しました。超軽量構造複合材設計の開発は、航空機がミッションを効果

的かつ効率的に達成できる重要な要素であり、MGI のソリューションは、デモンストレー

ター技術の2 つのバリエーションを使用した構成可能な設計を行っています。

開発したドローンは、4つの翼に分散されたダイレクトドライブモーターを備えた8つのロ

ーターを備えており、4つの翼すべてがピッチとロールを制御するために使用されるMGI

独自のチルトメカニズムを使用しています。垂直に離陸し、長距離ミッションのために完

全に有翼飛行に移行することができます。

ミッションプロファイルに従って翼とローターを構成できるこの機体へのモジュラーアプ

ローチにより、共通のバッテリーモジュールを使用してスケーラブルな共通プラットフォ

ームが可能になり、貨物配送のためのマイルあたりのコストパフォーマンスの高いソリュ

ーションが保証されます。機体プラットフォームのコンセプトは、最大 500kg まで積載

可能な機体に効率的にスケールアップできるように設計されています。プラットフォーム

共有ソリューションは、マイクのキャリアを通じて自動車業界で働いてきた経験に基づい

ています。

(画像: MGI エンジニアリング)

MGI エンジニアリング

MGI Engineering は 2003 年に設立されました。創設者兼 CEO のガスコイン氏は、

2009年にMGIを通じてロータスF1チームを設立する前に、マクラーレン、ティレル、

ザウバー、ルノー、トヨタで働いた経歴を持っています。

同社は、最先端の技術を利用して完全なエンジニアリングおよびプロジェクト管理ソ

リューションを提供する豊富な経験を活用して、ミッション主導のエンジニアリング

アプローチで持続可能性と将来性のある実行可能性を最大化するために、貨物 eVTOL

などの既存および新興の業界で使用します。

2009年にガスコイン氏らはウイリアムズのスポンサーであるアジア最大の格安航空会

社「エアアジア」を所有するマレーシア人実業家トニー・フェルナンデス氏にアプロー

チをしました。フェルナンデス氏は新代表に就任し、マレーシア政府とマレーシア企業

家のコンソーシアム「1マレーシアF1チーム」 が新たな活動母体となりました。

2010年にロータスチームとして名称を変更し、2012年にはケータハムレーシングチーム

に更なる変更をしました。

なぜUAV?

世界の電動垂直離着陸 (eVTOL) 市場は、2028年までに23.13%の複合年間成長率(CAGR)

と232億1000万ドルの市場評価額で成長すると予想されていて、ノイズのない製品に対す

る市場のニーズが高まっています。環境に有益でありながら物と人の両方を輸送できる従

来の航空機に代わるグリーンエネルギーです。認証プロセスのために乗客用 eVTOL が数

年先にあるため、MGI Engineering は、より効率的な方法で需要を満たすために、無人

貨物配送アプリケーションに注力しています。

では、なぜ MGI は貨物配送用途に無人航空機 (UAV) に焦点を当てることを選択したの

でしょうか? 軽量空力車両のスペシャリストとして、チャンスがあると信じています。

この業界はまだ始まったばかりなので、飽和状態になる前に市場を活用する余地がありま

す。同社は、eVTOL の世界が私たちに提示する要求を楽しみ、新しい技術を設計するとい

う挑戦を楽しんでいるのです。

無人航空機は、ロジスティクス、郵便配達、医療、災害救援など、複数の用途に使用できま

す。さらに、UAV は、ヘリコプターなどの現在のソリューションよりも安価で、静かで、

環境に優しい方法でミッション プロファイルを完了することができます。

 MGI にとって eVTOL 業界の魅力は、私たちの専門的なバックグラウンドを活用して、

フォーミュラ 1 と航空宇宙の専門知識をこの新しいセクターに適用できることです。

私たちにとって、これはたまたま航空機にすぎない、ニッチで軽量な複合材のハイブリッド

車です。eVTOL 車両の要件またはミッション プロファイルは現在存在しますが、車両自体

は存在しません。それが、MGI エンジニアリングが解決しようとしているものです。

私たちは、医療用品、緊急装備、その他の必需品の配送など、特定のミッション プロファイ

ルを実行できるこの新しいテクノロジーの最先端にいます。これらの車両は、都市部と遠隔

地の両方の環境で使用されるだけでなく、数千時間の貨物飛行の安全なアプリケーションか

ら旅客アプリケーションが生まれると考えています。

さらに、考慮すべき信頼性要因があります。従来の航空機には、ヘリコプターのギアボック

スなど、非常に複雑な推進ユニットが搭載されています。シンプルなシステム (複数の分散

型ダイレクト ドライブ電気モーター) を使用する eVTOL 航空機を使用すると、ヘリコプタ

ーの信頼性を超えて機体の信頼性と固有の安全性を最適化できます。これに加えて、複数の

推進ユニットがあるため、冗長性が車両アーキテクチャに組み込まれています。万一故障が

発生した場合でも、機体はローターの数を減らして飛行を維持できます。

コストは、この業界が成功するための最も重要な領域です。無人 eVTOL は、従来の航空機

よりも低コストで運用できる可能性があるため、コストによって制限されているミッション

が実行可能になります。

気象条件によるサービスへの影響も少なくなります。たとえば、飛行範囲が 160 キロメート

ルを超える場合、UAV は、悪天候や霧の多い天候にもかかわらず、沖合の島々に必要な物資

を届けることができると予想されます。シリー諸島(イングランド南西部のコーニッシュ沖

にある群島)の場合と同様に、年間の 30% は霧のため配送できません。

それにもかかわらず、開発と無人 eVTOL 航空機の数千時間の飛行を通じて、有人飛行を含

む高度な航空モビリティ (AAM) のさらなるユースケースに役立つ可能性がある認証を組み

込む可能性が大きくなることに注意すべきです。UAV による信頼性の高い安全な飛行の実証

済みのプラットフォームを持つことで、eVTOL 業界はこれを有人 eVTOL 飛行に参入するた

めの基盤として使用できると理解しています。貨物および物流用の UAV は、旅客用途より

も短期的に実現可能です。

ペースの速いフォーミュラ 1 業界で、ニッチな複合材の軽量構造車両を扱ってきた長い歴史

により、MGI の知識をニッチな複合材の軽量構造無人貨物 eVTOL 航空機の業界に適用する

利な立場に立つことができると考えています。MGI は、当社の能力だけでなく高度な構造

軽量設計の貨物 eVTOL 市場スペースの課題に対応するために、実用的な貨物 UAV 技術デ

モンストレーターの設計に成功しました。MGI のエンジニアリング主導の焦点を絞った経験

は、成長する貨物 eVTOL 市場におけるグリーン エネルギー環境に優しいソリューションの

必要性に対して、MGI が最適であり、実行可能な製品を作成できることを意味しています。

まとめ

あらゆる業界から、eVTOL航空機に参入してくる企業が後を絶ちません。特に自動車メーカー

やその技術を持った製造メーカーが参入しています。バッテリーやエンジンの開発を手がけて

いるメーカーと共同し、日本の東レのように複合材を開発しているメーカーとのコラボレーシ

ョンを通して1つの製品(航空機)ができあがっていくことは、ゼロからではなく1+1=3以上

いなるでしょう。

また、MGI が経験してきたフォーミューラーカーの厳しい世界で生き残って行くすべを知って

それを生かせることができることは、大きなアドバンテージになるでしょう。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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