新型V-22航空機近代化プログラム

飛行機

皆さんこんにちは!

昨年11月の鹿児島県鹿屋でのV22オスプレイ墜落事故。残念ながら搭乗員8名の尊い命

が失われました。

根本的な原因はいまだに不明ですが、2週間後には飛行を再開しています。

そんなオスプレイですが、機体の胴体以外の改修が行われようとしています。

その名は、「新型V-22航空機近代化プログラム(ReVAMP)」

「新型V-22航空機近代化プログラム(ReVAMP)」

米海兵隊のMV-22が2022年4月にノルウェーを飛行。(クレジット: 米国海兵隊)

V-22 プログラム オフィスは、ティルトローターの長期的な近代化を検討する新たな

研究を開始しており、胴体を除くほぼすべての航空機をオーバーホールすると同時に

これまでの厄介な問題を解決するためにギアボックスに変更を加えています。

同局が「新型V-22航空機近代化プログラム(ReVAMP)」と呼ぶこの長期計画は

初期段階にあります。 V-22 プログラム事務局 (PMA-275) のプログラム マネージャ

ーであるブライアン テイラー大佐は、「もし V-22 をもう一度やり直さなければなら

ないとしたら、それはどのようなものになるだろうか」ということに焦点を当ててい

ます。

今のところ、V-22 の胴体にはほぼ無限の寿命があるように見えますが、航空機の寿

命を制限するメンテナンスの問題や問題の多くは翼、エンジン、ギアボックスにあり

ます。

「つまり、そこに新しい翼とナセルを取り付ければ、おそらくあと 40 年間は大丈夫

でしょう」とテイラー氏は言います。

この研究は、2036 年頃の研究、開発、テスト、評価を対象とし、2040 年頃の開発

テストと 2042 年の設置を目指しています。大まかに言うと、研究分野には、改良

された駆動システム、新しいエンジンまたは既存エンジンの新しいコア、氷保護の

改善、および4月30日にワシントンで開催された現代海洋博覧会でのテイラー氏の

プレゼンテーションによると、航空機のメンテナンスプロセスの近代化が進められ

ているということです。

同時に、プログラム事務局は、V-22 コックピット技術代替 (VeCToR) と呼ばれる

取り組みの下、V-22 のコックピットの短期的な刷新にも焦点を当てています。

これは主に、コックピットのディスプレイ、キーボード、気象レーダー、ミッショ

ンコンピューターなどの陳腐化の問題に対処するためのものです。

現在の負担の多くは V-22 のティルティング ナセルにかかっており、全体のメンテ

ナンス作業の約 60% がそれによって生じています。空軍はナセル交換プログラム

に着手しており、すでに約20機がこの作業を終えています。米海軍もこの手続きを

踏む予定です。しかし、最大の艦隊を擁する海兵隊はナセルを完全に交換する予定

はありません。その代わりに、海兵隊の V-22 はナセル内の配線を交換することに

しました。これははるかに簡単で安価な作業であり、ナセルの交換によってもたら

されるメンテナンスと信頼性の向上の約 70% を達成できると期待されています。

最も緊急な短期的な修正は V-22 のギアボックス内にあり、プロプロモーターのギ

アボックスの問題はいくつかの事故に関連しています。最も顕著な問題はインプット

クイル アセンブリ (IQA) にあり、ハード クラッチ エンゲージメントとして知られ

る、クラッチの滑りを引き起こす問題が長年にわたって発生していました。

過去 2 年間、軍は 800 時間ごとに IQA を交換してきましたが、複数の運航停止を

経て飛行に復帰したため、費用と時間のかかる負担となっていました。プログラム

オフィスは IQA の置き換えの初期段階にあり、新しいプロトタイプには約 15 か所

の変更が加えられており、今後 1 か月以内に納品される予定だとテイラー氏は述べ

ています。

テイラー氏は具体的な変更点については説明しませんでしたが、IQAを再設計すると

いう以前の取り組みから影響を受けたと述べました。共同プログラム事務局(JPO)

は、当時約7年前から知られていたハードクラッチの噛み合いの問題を解決するため

に、2017年にIQAの再設計を開始しましたが、その修正は2020年に認定されなかっ

たことが、航空宇宙デイリーによりわかりました。

テイラー氏は、V-22 のクラッチは独特で、「必要なときに接続し、必要なときに

解放するという非常にギリギリの状態にある」と述べています。以前の再設計の取

り組みは「その点で少し行き過ぎていたため、今回はそれを踏まえたものです。」

海軍の2025年度予算要求では、投入クイルを改良し、使用中に摩耗してオスプレイ

の石油システムに欠けが生じることで長い間問題を引き起こしてきた、艦隊の薄い

高密度クロムメッキを除去する計画の概要が示されています。

このサービスは、2026 会計年度に新しいキットの提供を開始する予定です。

テイラー氏によると、このキットはギアボックス全体の「キー デグレーダー」の

交換をカバーしています。薄い高密度クロムの欠けの原因はクラッチのピニオンベ

アリングにあり、これは別のタイプの鋼に置き換えられる予定で、テイラー氏は、

ある特定の欠けの場合には「本当に役立つ」と述べています。同事務所は、ギア

ボックス内の他の金属の交換も検討しています。チッピングは事故に関連しており、

発見されると通常はプロプロターのギアボックスが交換されることになります。

ギアボックス内部の硬いクラッチ係合とチッピングの問題は長年知られていました

が、問題の根本原因は発表されていないものの、JPOはクラッチアセンブリ内部の

環境をよりよく理解していると述べています。 V-22 のクラッチは独特で、「この

特定の現象については 10 年にわたる研究が行われてきました」とテイラー氏は言

います。

V-22 は 20 年以上運用されてきたため、海軍航空システム司令部の技術者たちは

「もしもう一度やり直さなければならないとしたら、これが私がやりたいことの実行

リスト」を作成していました。 V-22の信頼性問題への対処について尋ねられたとき、

テイラー氏はこう答えました。

「10分以内くらいだと思います。この質問をすると、12 件のアイデアがすぐに私た

ちに持ち込まれました。なぜなら、それらはしばらくそこに放置されていたからです」

とテイラーは言います。 「しかし実際には、これらすべては私たちが過去に学んだこ

とによって情報を与えられたデータであり、今はそれが実際に私たちが必要とするソ

リューションになるかどうかを確認することになっています。」

10年間に30人が死亡

オスプレイはこれまでも安全性の懸念が指摘されてきました。開発段階の1991
〜2000年に4件の墜落事故で計30人が死亡し、「ウィドーメーカー」(寡婦製
造機)と呼ばれました。92年には試作機が着陸時に右エンジンから出火して墜落
し、搭乗員7人全員が死亡。漏れた潤滑油がエンジンの熱で発火、高熱でドライ
ブシャフトが作動しなくなったことが原因とされました。
2005年に量産化が決まり、配備が始まった後も各地で事故が発生。12年にモロ
ッコで演習中に墜落して2人が死亡したほか、15年には米ハワイ州で着陸に失敗し
て2人が死亡。16年には、普天間飛行場所属の機体が空中給油機に接触し、沖縄
県名護市沖に墜落して大破、負傷者2人を出しました。近年も、昨年6月に米カリ
フォルニア州で5人が死亡するなどの事故が相次いでいます。
2000年に19人が死亡する事故がありましたが、8人の死者・不明者を出した今回の
事故はそれに次ぐ規模の重大事故。操縦ミスではなく機体に何らかの不具合があっ
た可能性が指摘されています。
カリフォルニアの事故について、米軍は今年7月の調査報告書で、クラッチが一時
的に離れて再び結合する際に衝撃が発生する「ハード・クラッチ・エンゲージメント
(HCE)」という現象が原因と断定。機体に問題があったと結論付けました。
姿勢が制御できなくなってエンジンから火が出たということで、今回もクラッチの
可能性は否定できません。一方で、クラッチの不具合で、エンジンから火が出たと
いう報告は聞いたことはなく、今回の事案が同じ事象だとは考えにくい」と話す
専門家もいます。
去年8月には陸上自衛隊のV22で「プロップローター・ギアボックス」に金属片が入
って警報が点灯し、航空自衛隊静浜基地(静岡県)に予防着陸しました。今回火が
出たエンジン付近のトラブルですが、専門家は「ギアボックスに金属片が入り込んだ
だけでは、エンジン全体が壊れることは想定しにくい。エンジンが汚れて火が出る可
能性はあるが、それが致命的な不具合だったのかは調査結果を見なければ分からない」
と話しています。

オスプレイの必要性

V-22「オスプレイ」は、ヘリコプターと飛行機の特性を合わせ持った「ティルトロー

ター機」と呼ばれる航空機です。ティルトローターは可変式のローター(回転翼)で、

離着陸の際にはローターを傾けてヘリコプターのように機体を上昇、下降させ、飛行

中はローターを前方に向けプロペラ機のように飛ぶことができるため、運用には場所

を選びません。

これまで使われてきた軍用ヘリコプターに比べて、「オスプレイ」はより高速飛行が

可能で航続距離と輸送量も格段に増えています。たとえばアメリカ海兵隊のCH-46

「シーナイト」とMV-22「オスプレイ」を比べてみますと、航続距離は1110kmに

対し3590km、巡航速度は241km/hに対し446km/h、積載量では2270kgに対し

9070kgと格段に向上しているのが分かります。

実際に人員や物資を搭載して作戦を行い、出発した基地へと帰投するまでの距離

「戦闘行動半径」は、「オスプレイ」の場合は約600kmと言われています。そし

て1度でも空中給油を行えば、その距離は1000km以上にまで延伸されます。

在日米軍の基地からその行動半径を見てみますと、沖縄県の普天間基地から600km

の範囲には尖閣諸島、1000kmであれば台湾全域と中国の沿岸部までが範囲となり

ます。そして山口県の岩国基地から600kmの範囲には韓国の大半の地域を、

1000kmであれば朝鮮半島の8割から9割程度をカバーすることが可能です。

またMV-22は、2013年に普天間基地からフィリピンのクラーク基地を経由し

オーストラリアのダーウィンまで約4700kmの距離を、空中給油機KC-130を随伴し、

2日間で飛行しました。翌日には同国のタウンズビルに到着し、さらにその翌日には

珊瑚海で演習中の強襲揚陸艦に合流。計4日間で約7000kmにもおよぶ距離を移動し、

従来のヘリコプターでは到達不可能な長距離移動が行えることを証明しています。

まとめ

V22 オスプレイは、発想的には素晴らしい機体です。ヘリコプターと固定翼との

融合という理想の形の航空機です。

しかし今回の事故のように、エンジンとプロペラを繋ぐ構造自体が複雑です。

これまで数々のティルトローター型の航空機が開発されてきましたが、どれ一つ

としてロングセラー機とはならず消えていきました。その中でオスプレイは、

ある一定の成果を上げている唯一のティルトローター型の航空機です。

これまでの事故を受けての改修ですが、オスプレイは後何年飛行できるのでしょ

うか?また後継機は、ジョビーやアーチャーのようなeVTOLになるのでしょうか?

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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