皆さんこんにちは!
8月16日にアメリカ空軍は、垂直離着陸輸送機CV-22オスプレイについて
エンジン内部のクラッチの不具合を理由に所属する全52機の飛行を停止しました。
オスプレイ
オスプレイとは
オスプレイは、ボーイングとヘリコプターメーカーのベルテキストロンが共同開発
しました。1999年5月に納入を開始して、アメリカ空軍の特殊作戦部隊には
2000年9月に試験機2機が引き渡され、2007年1月から運用を行っていま
す。アメリカ海兵隊やアメリカ海軍、日本国内では横田基地に配備されています。
日本の陸上自衛隊にも2020年から部隊配備されています。
今回、不具合があったのはアメリカ空軍所属のCV-22 不具合の内容は、プロ
ペラローターを繋ぐギアボックス内のクラッチに不具合が出ており、過去6週間以
内に同様の不具合が2件、2017年以降は計4件報告されています。
アメリカ海兵隊向けのオスプレイはMVー22B、アメリカ海軍向けはCMV-22
Bで空中給油装置付きの外装燃料タンクを搭載しています。陸上自衛隊のオスプレ
イは海兵隊と同じMV-22Bです。沖縄県普天間飛行場には、アメリカ海兵隊の
MV-22Bが24機配備されています。
オスプレイの事故
オスプレイは、操縦性の難しさからこれまで様々な事故を起こしています。
① 2012年4月11日、モロッコのカブ・ドラー付近でアメリカ海兵隊のMV
-22Bが墜落、パイロット2名が死亡しました。当該機は人員輸送訓練実施中
目的地に輸送してきた人員を降ろした後、再離陸し方向転換を行った際に強い
追い風を受けて揚力が減り墜落に至りました。
② 2012年6月13日、フロリダ州ハールバートフィールド近隣でアメリカ空軍
のCV-22Bが射撃場内の森林に墜落しました。5名が負傷しています。原因は
前方を飛行しているオスプレイの後流に入ったことにより、操縦不能に陥り墜落し
たとの報告です。
③ 2015年5月17日、アメリカ、ハワイ州オアフ島、ペローズ空軍基地近く
の海岸に着陸時に地上の舞い上がった砂ぼこりをエンジンに吸い込んだために墜落
しました。1名の命が失われています。この事故後、エンジンフィルターの改修が
行われました。
④ 2016年12月13日、普天間飛行場のアメリカ海兵隊所属のMV-22B
が沖縄県名護市の東海岸沖合に不時着水しました。事故原因は、困難な気象条件下
での空中給油訓練でのパイロットのミスとなっています。空中給油機MC-130
のドローグ(給油口)とオスプレイのプロペラが接触し、意図的に緊急着水させた
ためでした。
⑤ 2017年8月5日、アメリカ海兵隊所属のMV-22Bがオーストラリア
東海岸沖に墜落しました。3名が死亡しています。事故原因はパイロットの操縦
ミスとなっています。
最近では、2022年3月18日、ノルウェイ北部ボドでNATOの演習に参加し
ていた海兵隊のMV-22Bが墜落、4名が死亡しています。2022年6月8日
カリフォルニア州サンディエゴでMV-22Bが墜落し、5名が亡くなりました。
2022年3月29日にアメリカ軍普天間飛行場所属のMV-22Bが、エンジン
の不具合のため、石垣空港に緊急着陸しています。
今回のCV-22Bの飛行停止を受けて、横田基地所属の6機も飛行を停止してい
ます。しかし、普天間飛行場と陸上自衛隊木更津駐屯地のMV-22Bは通常どお
りの運行を行っています。
オスプレイの操縦方法
オスプレイの飛行形態は、ヘリコプターモード、転換飛行、固定翼機モードがあり
ます。コンピューターが制御を行っているフライバイワイヤ方式が、操縦のアシス
トをしています。離着陸用のヘリコプターモードは、左右のプロペラ軸の角度と
スロットルレバーによる出力の調整で上昇降下を行います。固定翼機モードは、普
通の固定翼機と同じように中央のステッキ型操縦桿とスロットルレバーで操縦を行
います。転換飛行中は、両モードの操縦方法を組み合わせて機体をコントロールし
なければなりません。オスプレイのヘリコプターモードで飛行する場合、左右のエ
ンジンの揚力で機体を支えていますが、片方が停止したときのために主翼の内部に
シャフトを通して左右のエンジンを連結させています。これにより片方の揚力を失
うこと無く飛行ができます。両方のエンジンが停止した場合、ヘリコプターには
オートローテーション機能というプロペラを回転し続け、緊急着陸する方法があり
ますが、オスプレイにはその機能が付いていません。もし、両方のエンジンが停止
した場合は、ヘリコプターモードから固定翼モードにすることにより滑空できると
していますが、モードの転換には約12秒かかり、その間の高損失は500mにも
なります。つまり、500m以下では地面に激突することになります。
まとめ
オスプレイの飛行原理は、一部の空飛ぶクルマにも応用されています。ただ、空飛
ぶクルマの大半は個々のローターそのものが独立しています。全てのローターが停
止する確率は低いとは思いますが、安全に十分配慮した機体の設計、十分なパイロ
ット教育が必要になってくるでしょう。
参考:時事ドットコムニュース 特集 垂直離着陸機オスプレイ
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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