皆さんこんにちは!
航空機のタイヤを作っているのは、ブリジストン、グッドイヤー、ダンロップ、ミシュラン
など、自動車のメーカーです。
航空機のタイヤは、自動車と違って100トン以上の重さに耐えなければいけません。
着陸の時の衝撃はかなりのものです。それゆえにタイヤの性能がとても重要です。
今日は、そんな過酷なタイヤのニュースです。
ALとブリヂストン、航空機タイヤの予測メンテナンスで提携
日本航空(JAL)は、株式会社ブリヂストンと連携し、タイヤ摩耗予測技術を活用し、
航空機タイヤの整備計画・管理の精度向上に取り組んでいます。この提携は当初、
ジェイエアが日本の大阪国際空港から運航するブリヂストンタイヤを使用するエン
ブラエル E170 および E190 航空機を使います。
JALによると、航空機のタイヤは通常、過酷な運航条件により数百回の離着陸後に
交換する必要があり、タイヤの摩耗速度は温度、滑走路表面、航空機の重量などの
条件によって左右されます。タイヤは、フライト後にJALエンジニアリング株式会
社の整備士が目視検査し、メーカーや航空会社が定めたガイドラインに基づいて交
換されます。
タイヤ交換の最適な時期を決定するために、JALとJ-AIRは未公開の飛行データと
航空機に関する洞察をブリヂストンと共有し、ブリヂストンはデジタル摩耗予測
アルゴリズムを使用してタイヤの摩耗を推定し、タイヤ交換の理想的なタイミン
グを予測します。
両社は、精度の向上により航空機整備プログラムの効率が向上し、ホイールとタイ
ヤの在庫が削減されるとしています。ブリヂストンによれば、さらなる利点は、
製造段階および使用段階での CO2 排出量の削減による環境への影響の削減です。
この提携の終了日は決まっていないが、JALはブリヂストンタイヤを装着したJAL
運航航空機にもプログラムを拡大するかどうか検討中だとしています。
ブリヂストンによると、タイヤ摩耗予測技術の利用を他の航空会社にも拡大する
ことを検討しているということです。
ブリヂストン、航空機タイヤ追跡アプリを発売
クレジット: ブリヂストン エアクラフト タイヤ ヨーロッパ
ブリヂストン エアクラフト タイヤ ヨーロッパは、新しくリリースされた easytrack
アプリで航空タイヤの追跡と状態監視を簡素化しています。航空会社、MRO、ホイー
ルショップがコストと時間を削減できるように設計されたスマートフォン アプリは、
タイヤ在庫情報へのアクセスと共有のプロセスをデジタル化し、完全にペーパーレス
化します。
ブリヂストンによると、easytrack ソリューションを使用して顧客に出荷されるタイ
ヤには QR コードまたは従来のバーコードが付いており、これをスキャンして情報や
電子文書(シリアル番号、請求書、証明書など)を取得し、顧客のシステムに転送さ
れます。ユーザーは、タイヤとその証明書の全履歴を確認できるだけでなく、入荷お
よび発送されるタイヤのバッチ、電子証明書、請求書をチームと共有することができ
ます。ブリヂストンは、このスキャンプロセスにより人的エラーが最小限に抑えられ、
効率が向上するため、大幅なコスト削減が実現すると述べています。
このアプリにはレポート機能も含まれているため、タイヤが取り外されたときに、
ユーザーは着陸性能、航空機上のタイヤの位置、取り外しの理由、発生した損傷
や健康上の問題を報告できます。ユーザーは証拠写真と簡単な説明を添付すること
ができ、それらはブリヂストンチームに提供されます。
ブリヂストンは、easytrack により、タイヤの性能とデータをより正確に把握で
きるようになり、健康状態のモニタリングを強化できると述べています。また、
このアプリは、移動と配送の追跡、およびサプライチェーンプロセスのさらなる自
動化を可能にすることで、企業にタイヤプールの完全な概要を提供します。
easytrack アプリには、請求書や証明書のペーパーレス処理や出荷タスクのセット
アップを可能にするオプションのデスクトップ拡張機能があります。さまざまな
価格オプションが用意されていますが、ブリヂストンによると、最も人気のある
のは従量課金制になると予想しているということです。
ブリヂストンによると、easytrack は多くの顧客と共同開発されており、アプリ
の導入について数社と協議中であるという。間もなく最初の契約が締結される予定
です。
また、イージートラックはブリヂストン・エアクラフト・タイヤ・ヨーロッパの
姉妹会社によって間もなく世界中の顧客に提供される予定です。
ミシュラングループはタイヤ以外にも目を向ける
クレジット: Sean Broderick/Aviation Week Network
ミシュランはタイヤで最もよく知られていますが、同社はサービスを提供する市場に
その能力をより広く印象づけるべく取り組んでいます。
MRO アメリカンズでは、これは初めて複数の航空宇宙関連ブランドをまとめること
を意味しました。おなじみのミシュランタイヤも展示されていましたが、象徴的な
ブランドとスペースを共有していたのはフェナーと CDI 製品でした。
2018 年にミシュランによって買収されたフェナーの航空宇宙製品には、コーティン
グされた生地が含まれています。 CDI は Fenner の一部であり、この取引に参加し
ており、ベアリング、シール、射出成形部品を製造しています。
タイヤ部門と同様に、両社は現在、1900 年以来発行されている有名なレストラン
ガイドを含むミシュラン グループ企業の一員となっています。同社のグループレ
ベルの目標の 1 つは、ビジネス ユニットとサービスを提供する業種間のつながり
を合理化することです。
「当社は、より包括的な航空宇宙ソリューションを提供できます」と米州および
英国航空宇宙マーケティング ディレクターのティム・フラー氏は述べています。
「メンテナンス、修理、オーバーホールのニーズ、販売業など、どのような活動
であっても、当社はタイヤ以外のことでもお手伝いできます。」
現在、有名なブランドを活用することと、グループの事業部門がタイヤ事業と同
じ中核的なビジネス原則を持っていることを強調することに重点が置かれています。
「彼らはミシュランの名前を知っています」とフラー氏は語った。 「彼らは、品質
エンジニアリング、技術的専門知識、イノベーションに関して何を期待されるかを
知っています。それはフェナーと CDI にある DNA とまったく同じです。」
小規模な事業部門の一部は目立つ展示をされていましたが、ミシュランのMROアメリ
カンズでの存在感は、その伝統的な製品を軽視するものではありませんでした。
同社の最新の航空用タイヤの 1 つ、および現在存在する新しいデザインの数少な
い例の 1 つが展示されました。
昨年のパリ航空ショーで発表され、今年後半に就航予定のダッソー ファルコン
10X 用に開発されたミシュラン エア X スカイ ライトは、既存のタイヤよりも
10 ~ 20% 軽量で寿命が 10 ~ 20% 長いように設計されています。しかし、
リトレッドはできませんが、顧客は軽量設計がもたらす燃料と関連する CO2 の
節約に関心を示している、とフラー氏は述べました。
まとめ
航空機用タイヤは、乗用車用タイヤなどとは異なり、航空機の重量を支えながら
離着陸を繰り返すという過酷な条件下で使用されるため、その製造には高度な技
術が要求されます。
「バイアス構造」は、カーカスを斜め(BIAS)に配置しているので、1枚では、
ねじれてしまいます。それを防ぐため、逆方向に複数重ねています。それをブレー
カーで締め付けています。バイアス構造のタイヤをバイアスタイヤと呼びます。
「ラジアル構造」は、カーカスがタイヤの中心から放射状(RADIAL)に配置され
ています。それをベルトで締め付けています。ラジアル構造のタイヤをラジアル
タイヤと呼びます。
バイアスタイヤの場合、機種にもよりますがおおむね約200回程度の離着陸で路面
に接するゴム部分(トレッド)が摩耗し返却され、トレッド部分を張り替えるリト
レッドを実施します。一般的にバイアスタイヤはリトレッドを約6回繰り返し、新
品時と合わせ合計で約1,400回/1本使用が可能です。ラジアルタイヤの場合、約
350回の離着陸でリトレッドを行い、それを約3回繰り返す事が可能です。
航空機のタイヤの構造。バイアスタイヤとラジアルタイヤ(クレジット:BS)
航空機用タイヤは、これまでバイアスタイヤが多く採用されていました。
しかし近年は、バイアスタイヤに代わって、より耐摩耗性が向上し、軽量化の進ん
だラジアルタイヤが主流になっています。
先進ラジアル構造RRR(Revolutionarily Reinforced Radial)(※以下RRRと表記)
を開発しました。
この構造では、安全性がさらに向上し、異物を踏んでもダメージを受けにくく、
傷がついたとしてもより壊れにくい性能を実現しています。それと同時に経済面で
も、軽量化により燃費を向上させ、耐摩耗性向上により省エネルギーにも貢献し
ています。
再生タイヤ(リトレッド)は、地球環境にも優しい方法です。
パイロットは、快適性のためにもなるべく優しい着陸を心掛けます。また、減速を
ブレーキだけではなくエンジンの逆噴射などを有効に使います。それは同時にタイ
ヤの摩耗を減らし、タイヤの寿命を延ばすことにもなります。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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