皆さんこんにちは!
今日は、オーストラリアの話題です。
皆さんはオーストラリアと聞いて何を思い浮かべますか?
カンガルー、コアラ、エアーズロック、大自然などなどのイメージですかね。
そんなオーストラリアが脱炭素に向けて力を入れているというお話です。
オーストラリアのグリーン革命
オーストラリアってどんな国?
オーストラリア、正式にはオーストラリア連邦は、オーストラリア大陸の本土、タスマ
ニア島、および多数の小さな島々で構成される主権国です。7,617,930 平方キロメート
ルの面積を持つオーストラリアは、オセアニアで面積が最大の国であり、世界で 6 番目
に大きい国です。首都はキャンベラです。大都市はシドニー(人口540万人)、メルボルン
ブリスベン、パース、ゴールドコースト、ケアンズなどが有名です。
シドニーのオペラハウス 世界遺産にも登録されています。
温室ガス非排出への取り組み
オーストラリアではここ数年、深刻な干ばつが続いています。また、2019年9月から2020
年2月にかけて発生した大規模な山火事は、国内各地に甚大な被害をもたらしました。オー
ストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は2020年11月に発表した報告書の中で、オー
ストラリアの気温は1910年から平均1.44度上昇していることを明らかにしました。CSIRO
は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの増加によってオーストラリアの温暖化が進み、
山火事や干ばつ、海洋熱波などの極端な事象の発生頻度が高まっていると説明しています。
また、2016年の国民1人当たりのCO2排出量は、OECD加盟国の中でオーストラリアが1位
という報告が上がっています。
連邦政府は2020年5月、低排出技術に関する戦略を示す「技術投資ロードマップ」の策定を
発表しました。同年9月にはロードマップに基づく声明文で、水素や電力貯蔵、低排出の素
材製造(鉄鋼、アルミニウム)、CO2回収・貯留(CCS)、土壌炭素貯留を5つの優先分野
としました。これらの低排出技術が既存の技術と同程度の費用対効果をもたらすことができ
るよう、達成すべき数値目標を設定。例えば水素については、1キログラム当たり2オースト
ラリア・ドル(約168円、豪ドル、1豪ドル=約84円)未満を目指すとしています。連邦政府
は19億豪ドルを拠出し、オーストラリア初となる水素輸出ハブを設置するほか、農業や製造
業、輸送業などで排出削減や生産性向上に資する技術への投資、CCSの実証事業の実施、電
気自動車や燃料電池自動車の活用促進などに取り組みます。また、政府機関の再生可能エネ
ルギー庁(ARENA)やクリーンエネルギー金融公社(CEFC)による支援対象をCCSや土壌
炭素貯留などの優先分野に拡大し、低排出技術への投資を促進するとしています。
AAM(Advanced Air Mobility)の活用
世界中の他の国々と同様に、オーストラリアは新興の eVTOL とドローン産業を熱意を持っ
て受け入れています。中でもドローン配送業界は特に進んでいます。Wing と Swoop Aero
の 2 社が優勢です。現在、クイーンズランド州はオーストラリアの治験の主要拠点です。
ブリスベンのローガン市は特に活発です。
Wing は、過去 3 年間、さまざまな日用品のドローン配送を広範囲にテストしてきました。
米国を拠点とするこの会社は、2019 年 4 月の最初の立ち上げ以来、200,000 件を超える
オーストラリアへの配達を成功させてきました。
Wing社のドローン ネスト(画像 Wing)
一方、Swoop Aero は、ヘルスケアと医療製品の提供により重点を置いています。アフリ
カで成功を収めた後、同社は昨年、クイーンズランド州とビクトリア州で遠隔地のコミュニ
ティに商品を飛ばす試験を開始しました。
同社は 7 か月前、オーストラリアの民間航空安全局 (CASA) から、ビクトリア州ポート メ
ルボルンのキャンパスでドローン ロジスティクス リモート オペレーション センターを運営
する許可を得て、躍進を遂げました。この承認は、同社が「国際旅客機のように運用」し、
オセアニア、アフリカ、ヨーロッパ全体のグローバル企業をリモートで監視することや、最
大 5 台のドローン (BVLOS) を視野外で運用することを含め、1 つの施設に運用を集中でき
ることを意味します。 Swoop は 2030 年までに 10 億人にグローバル サービスを提供する
予定です。
ここ数か月で、薬局チェーンの TerryWhite Chemist との提携や、Mater Pathology との
提携など、オーストラリアの提携が発表されました。前者は、国内最大のヘルスケア卸売業
者である Symbion と提携しています。試験は、クイーンズランド州とニューサウスウェー
ルズ州の国境に位置するグーンディウィンディの町からまもなく開始されます。
後者は、血液検査やCovid-19スワブを含む医療サンプルをクイーンズランド州南東部のモー
トンベイ諸島からメーターの検査ラボに輸送するためのものです。
Swoop ドローン配達 (画像: Swoop)
このパートナーシップにより、サンプルがテストに到達するまでにかかる時間が最大 6 時間
短縮されると予想され、双方向ネットワークは年間 80,000 を超える病理サンプルを収集す
ると予想されます。
eVTOLの遅れ
驚くべきことに、eVTOL の普及は遅れています。Eve Air Mobility や Wisk Aero などの
他の企業が利用できるように市場を開拓した、空飛ぶタクシーの製造に関与する本格的な企
業はありません。
Eve は、北オーストラリア最大のヘリコプター オペレーターの 1 つである Nautilus Aviation
との契約を発表した後、2021 年 12 月に最初の進出を果たしました。このコラボレーション
を通じて、Nautilus Aviationは、グレート バリア リーフを含むクイーンズランド州の観光地
で使用される eVTOL 開発者に最大 10 機の航空機を注文しました。2 か月後、Eve は、Aviair
と HeliSpirit (50) および Microflite (40) から最大 90 個の eVTOL の注文をさらに 2 件受け
たことを明らかにしました。
Eve Air Mobility ‘Nautilus ‘ (グラフィックイメージ: Eve)
航空会社およびチャーター会社の Aviair とヘリコプター旅行代理店の Helispirit は、西オー
ストラリア州で航空機を運航し、キンバリー、南西部、およびグレーター パース地域の観光
スポットへのフライトを提供する予定です。納車は2026年を予定しています。
ヘリコプター サービス会社である Microflite の 40 の eVTOL も同じ年に予定されています
が、今回はオーストラリア南東部のメルボルンに向けられています。このパートナーシップ
は、地方自治体やその他の利害関係者と協力して、「eVTOL 運用のための安全でスケーラ
ブルな運用環境」を作成することを計画しています。
Wisk は昨年、クイーンズランド州サウスイースト市長評議会と覚書に署名しました。この
2 つの組織は協力して、安全で持続可能かつスケーラブルな自律型エア タクシー サービス
をクイーンズランド州南東部に導入し、最終的にはブリスベンで開催される 2032 年のオリ
ンピックおよびパラリンピック競技大会中に完全なサービスを提供する予定です。
田園、ビーチ、都市の景観が混在するこの州は、eVTOL 航空機などのイノベーションの試験
や打ち上げに理想的な場所となっています。
Wisk Aero Gen 6(画像:Wisk)
インフラストラクチャーの重要性
しかし、インフラストラクチャーがなければ、オーストラリアの eVTOL 産業は存在しませ
ん。幸運なことに、この国には Clem Newton-Brown という非常に進取的な個人がいて、
彼の会社である Skyportz (英国を拠点とする Skyports と混同しないでください) を通じ
てオーストラリアの eVTOL の先駆者となっています。
同社は 2018 年以来、潜在的なバーチポート サイトを蓄積しており、現在、Skyportz ネッ
トワークを構築する準備ができている 400 をはるかに超えるプロパティ パートナーを抱え
ています。
同社は、オーストラリア連邦政府と州政府の両方と協力して、Skyportz の「ミニ空港」を
都市や地域の中心部とその周辺に配置するための基準、規制、ゾーンの開発を支援しています。
昨年 8 月、Skyportz は AAUS の年次 Advanced Air Mobility サミットで、オーストラリア
で最初のバーティポートの設計が現在、メルボルン東部のカリビアン パークにあると発表し
ました。
Skyportzのバーチポート、完成予想図
eVTOL充電システムの開発
電気航空機充電製品を製造するオーストラリアに本拠を置く企業 Electro は、EV(電気
自動車)とeVTOL航空機の電力の統一を模作しています。 ElectroのCEOのポートロック氏
は、最近の垂直航空安全チーム (VAST) 会議で次のように述べています。 「航空機の充電
は、自動車の充電とは大きく異なります。航空機は、自動車のように充電器まで直接運転す
ることはできず、対処しなければならない翼幅があります。充電器はエプロンの上にある可
能性が高いため、充電器を移動して航空機に接続する必要があります。おそらく半ダースの
航空機が邪魔になる可能性があります. できるだけ早く航空機の充電を開始できるようにし
たいと考えています。」と。
eVTOL航空機にはさらに多くの電力が必要になります。これは、より太く、より長く、より
重い充電ケーブル、おそらく MW 機能のための統合冷却システム、サイトへの高電圧、およ
びグリッドとオンサイトの両方からサイトで電力をバンクする機能を意味します。
また、業界は、電源プラグを含む充電ハードウェアの標準化に向けた作業を継続する必要が
あります。eVTOL航空機の AC/DC 充電コンバーターや電源プラグの AC カプラーを避け、
1 人で航空機まで簡単に移動できるデュアル ポートを備えた車輪付きのポータブル DC 急速
充電器を使用することが想定されます。Electroは、電動航空機の充電に使用される導電性充
電システムの接続セットの設計および最小性能要件のために開発された SAE AS6968 規格
と互換性のある、30 ~ 80 kW の電力範囲でこれらの Rapid シリーズ DC 充電器をいくつ
か開発しました。DC 充電に重点を置くことで、AC に直接プラグインする機能に伴う重量、
コスト、および複雑さが解消されます。充電器と同時に、Electro は、ポートロック氏 が
「当社の充電システムの頭脳」と呼ぶエレクトロ マネジメント システム (EMS) を開発しま
した。EMS は、航空機の外側でインレット管理システムとして機能し、[地上] の充電クルー
がバッテリーの状態をすばやく確認し、次のミッションに必要な容量に達しているかどうか
を判断できるようにします。航空機の外側に EMS を設置することで、充電中にコックピット
に人がいる必要がなくなり、地上の乗務員が「充電を監視していつ充電を終了するかを決定
できるようになります。パイロットは操縦に集中でき、地上要員は充電に集中できるため、
運用の時間効率が大幅に向上します。充電器と組み合わせた EMS により、リモート監視、
請求、および無線更新を含むメンテナンスが可能になります。また、リモートで充電を開始
することも容易になります。
また、太陽光発電とリンクした大型のエネルギー貯蔵システムの必要性を訴えています。
まとめ
国土の広いオーストラリアは、地球温暖化の影響をもろに受けます。内陸地は、砂漠や
岩石に覆われた大地が続き、交通インフラはもっぱら飛行機です。まだまだ、AAMが
活躍する場が大いにあります。国を挙げてのグリーン革命の成功を願っています。
また、日本もオーストラリアの政策をお手本として、積極的なインフラストラクチャー
整備、開発が必要なことは言うまでもありません。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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