皆さんこんにちは!
5月に入って各企業の第1四半期決算報告が発表されました。
eVTOLを代表するジョビーアビエーション、アーチャーアビエーション。
それぞれ、設備投資や実験予算などの超過で結果は赤字です。
今後はどうなるのでしょうか?
ジョビーアビエーション
最新の株主レターで同社が共有したデータによると、ジョビーアビエーションは
2024年第1四半期の純損失が9,460万ドル(147億円)と、前年同期の1億1,340
万ドル(208億円)に比べて減少したと報告しました。
実際には本業経費が増加したにもかかわらず、損失が縮小したのは金融商品の再評
価益が寄与したためと考えられます。
この四半期の収益は、国防総省との 1 億 3,100 万ドル(203億円)の契約から得
られました。
ジョビーアビエーションの営業費用は、認証、従業員ストック オプション、プロ
トタイプ部品への投資増加を反映して、合計 1 億 4,590 万ドル(226億円)となり
ました。この経費の増加は、ワラントとアーンアウト株式の再評価による 3,900 万
ドル(60億円)の利益によって部分的に相殺されました。
その他の収益は、主に当社のワラントおよびアーンアウト株式の有利な再評価益が
2023 年の第 4 四半期と比べて高かったことを反映して、前四半期より 3,820 万
ドル(60億円)増加しました。
ワラント:外部の投資家などに発行される新株式のこと。新規に資金調達をする際
に、投資家に有利な条件を設定して引き受けてもらうことで、従来であれば難しい
額の資金調達などができるようになり、企業戦略にも幅を持たせられるようになり
ます。
アーンアウト:M&A実行後、条件に応じて追加代金を支払う義務のことを指します。
具体的にはM&A実行後の一定期間内に、買収対象となっている売り手企業・事業が
定められた目標を達成した場合、あらかじめ両者が合意した計算方法に基づき対価
が追加で支払われます。
同社は当四半期中に営業のために 1 億 660 万ドル(165億円)の現金を使用し、
さらに 690 万ドル(10億円)を有形固定資産に費やしました。 ジョビーアビエー
ションは現金および同等物を 9 億 2,390 万ドル(1兆4,320億円)で四半期を終え
ました。
一部の経費を除いた調整後EBITDAは1億1,040万ドル(16億円)の損失となりました。
この損失は、同社の従業員コストと継続的な開発努力を反映しています。
2024 年第 1 四半期のハイライト
ジョビーは、FAA によって最終的な耐空基準を公表された最初の、そしてこれまでの
ところ唯一の電動エア タクシー会社となりました。
同社は、アブダビ首長国の電動エアタクシーエコシステムの開発を支援するため、
アブダビ政府の3部門と多国間協定を締結しました。
同社は、2024年第1四半期末時点で9億2,400万ドル(1兆4,320億円)の現金と短
期投資を報告しました。
アーチャー・アビエーション
1億1650万ドルの損失を計上。流動性を維持する
アーチャーアビエーションは第1四半期の株主報告書を発表し、電動垂直離着陸機
(eVTOL)航空機「Midnight(ミッドナイト)」の開発の進捗状況を共有しなが
ら、同四半期に1億1,650万ドル(180億円)の損失を計上したことを明らかにし
ました。
同社は第1四半期に100便以上のテスト飛行を実施し、年間400便という目標を超え
る勢いで進んでいます。ミッドナイトは、垂直離陸し、翼担持飛行に移行し、再び
垂直に着陸する重要なマイルストーンに近づいています。アーチャーはその後、
商用利用をシミュレートするために航空機を1日10~15回飛行させる計画を立て
ています。
「航空の電化は日々ますます主流になり続けています。当初から、当社の戦略は、
当社初の電動航空機ミッドナイトの設計を可能な限りシンプルに保ちながら、
安全性とバランスの取れた業界トップクラスの性能を提供することであることを
明確にしてきました」と アーチャー社CEOのアダム・ゴールドスタイン氏は述
べています。
「私たちは、新しい航空機プログラムのあらゆる側面を垂直統合するコストと
リスクを負うのではなく、航空宇宙産業で最高のサプライヤーであると信じて
いるサプライヤーと提携することでこれを達成しています。私たちが電気航空
機の商業化に向けて急速な進歩を続ける中で、この資本軽戦略は今日、これま
で以上に明確な利益をもたらし続けています。」
アーチャーは 2024 年第 1 四半期に 5,880 万ドル((92億円)の現金を使い果
たし、4 億 580 万ドル(629億円)の現金および現金同等物で四半期を終えまし
た。しかし、四半期末時点の同社の流動総額は5億2,300万ドル(810億円)で、
これには現金および現金同等物4億600万ドル(630億円)と、さまざまな資本
協定に基づいて利用可能な負債および株式による収益1億1,700万ドル((181億円)
が追加されています。
同社はまた、アラブ首長国連邦で商用エアタクシー事業を開発するためのアブダ
ビ投資局との枠組み協定を発表しました。
第2四半期にeVTOL航空機の開発コストを削減すると予想
カリフォルニア州サンノゼにある新しいバッテリーパック製造施設は、アーチャーがミッドナイト eVTOL 航空機の量産化に向けて行った投資の 1 つです。 © アーチャー・アビエーション
アーチャー社は、2025年初頭の4人乗りミッドナイトeVTOL航空機の市場投入に
向けて取り組んでいる第1四半期に高いコストがかかった後、今年の第2四半期に
は営業経費を削減することを目指しています。先週木曜日(5月9日)、アーチャ
ーは最初に次のように報告しました。今年の最初の 3 か月間の非 GAAP ベース
の費用は合計 1 億 4,220 万ドル((220億円)でしたが、第 2 四半期にはこれが
8,000 万ドルから 9,500 万ドル(124~147億円)に減少すると予測されています。
型式証明プログラムが重要な段階に入る中、アーチャーは同四半期の純損失が
1億1,650万ドル((180億円)と報告していましたが、これは2023年の同時期およ
び昨年の最終四半期の両方を上回りました。 3月31日現在、同社は4億580万ドル
(630億円)の現金および現金同等物を保有し、全体の流動性は5億2300万ドル
((810億円)に維持されており、これは過去4四半期に達成された水準と一致して
います。
アーチャーによると、第1四半期のコスト上昇には、さまざまなコンポーネントや
サブシステムの製造能力を確立するためのサプライチェーンパートナーへの一時
的な支払いが含まれていたという。営業費用の3,490万ドル(54億円)の増加は、
一部は非現金株式ベースの報酬に2,030万ドル((31億円)が費やされ、さらに
ウィスクおよびその親会社ボーイングとの知的財産訴訟の和解に1,530万ドル
((24億円)が費やされたことによると同社は説明しました。
アーチャーは、今年ミッドナイト航空機による400回のテスト飛行という目標を
達成する予定であると述べました。同社の開発チームは、推力による垂直飛行と
翼による巡航飛行からの移行の達成に近づいており、これが実現したら、同社は
航空機を毎日 10 ~ 15 回飛行させて、理想の状態に近づけることを期待してい
ます。コマーシャルミッションテンポと呼ばれます。
アーチャーは、カリフォルニア州サンタクララの本社で、コンポーネントとシス
テムを統合した、最初の量産準拠ミッドナイト航空機の最終組み立てを開始しま
した。今年後半にこの航空機による有人飛行試験を開始する準備を進めています。
アーチャーは水曜日、サンノゼにバッテリーパックの大量生産ラインを確立した
と発表しました。この施設は年間最大15,000個のバッテリーパックを製造するこ
とが見込まれており、同社が今年後半にジョージア州コビントンに開設を目指し
ている航空機の大量生産施設に供給されることになります。バッテリーパック
工場には、セルのテストと負荷、接着剤の塗布、レーザー洗浄、溶接、ライン終
了テストなどのさまざまな自動化プロセスがあります。
「当初から、当社の戦略は、当社初の電動航空機ミッドナイトの設計を可能な限
りシンプルに保ちながら、安全性とバランスの取れた業界トップクラスの性能を
提供することであることを明確にしてきました」とアーチャー社のCEO、アダム
・ゴールドスタイン氏はコメントしました。 「私たちは、新しい航空機プログラ
ムのあらゆる側面を垂直統合するコストとリスクを負うのではなく、航空宇宙産
業で最高のサプライヤーであると信じているサプライヤーと提携することでこれ
を達成しています。私たちが電気航空機の商業化に向けて急速な進歩を続ける中
で、この資本軽戦略は今日、これまで以上に明確な利益をもたらし続けています。」
アーチャーの技術および製造パートナーには、ハネウェル、ガーミン、モリセル
のほか、投資家でもある大手自動車グループのステランティスが含まれます。
ユナイテッド航空は、シカゴやニューヨークなどの都市でミッドナイトの早期商
業運航者となることが期待されています。アーチャーは最近、UAEでeVTOLエア
タクシーサービスを開始する計画を発表しましたが、そこではライバルのジョビー
やEHangも確立されつつあるのです。
まとめ
ジョビーとアーチャー、それぞれ2025年の商業化に向けて今が一番お金がかか
る時です。新規事業で一番のお金がかかるものは、研究開発費です。
両社は、機体の大部分を完成させており、一番の難関と言われる「垂直上昇から
水平飛行」に移行する試験の最終段階です。これは、V22オスプレイにも見られ
るティルトタイプのプロペラ構造で、イギリスのバーティカル・エアロスペース
社のVX4が昨年8月に墜落事故を起こしています。
同様にV22オスプレイも商業化された後も事故を起こしています。
全電動式eVTOLは、その構造が複雑であり、またバッテリー性能向上という課題
が大きくのしかかってきます。他の関連企業と連携すことは元より、国のバック
アップが欠かせません。幸い両社は、米軍からの支援を受けているため資金調達、
商業生産後の買い取りがある程度約束されています。また、中東UAEでの商業飛行
も後押しをしてくれていますので来期(第2四半期)移行の決算はいかに赤字を
減らせるかが株主を離さないための方策です。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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