ピッチトリムの失敗に備える方法、パート 3

飛行機

皆さんこんにちは!

これまで、2回にわたってピッチトリムにまつわる事故について見てきました。

最後のパート3では、あの世界を震撼させたボーイング737MAX墜落事故について

言及しています。

ピッチトリムの失敗に備える方法、パート 3

ボーイング737-8

2018年から2019年のボーイング737 Max墜落事故は、航空機の予期せぬ動きに対する初期反応が、航空機の特定のメーカーとモデルに対して正確に行われなければならないことを示しました。

クレジット: ボーイング

セスナ550航空墜落事故

TSBの調査では、ミシガン湖に墜落したセスナ550航空救急車の副操縦士(65歳)

はフルタイムのプロパイロットではなく、パートタイムで飛行していたビジネスマ

ンであったことが指摘されました。

コックピットボイスレコーダー(CVR)の検査中に、副操縦士のパフォーマンスに

関する重要な危険信号が指摘されていました。副操縦士は、不適切な標準計器の

出発ページを選択したことに気付かず、タクシーの指示に混乱し、別の航空機の

管制通信に応答し、3回の無線送信中に事故機のコールサインを言い間違えました。

副操縦士の背景をさらに掘り下げたところ、訓練記録に他の危険信号があったこと

が明らかになりました。たとえば、記録ではチェックライド飛行時間が 2.5 時間で

あることが示されていましたが、飛行訓練と乗車確認のための飛行時間航空機の

記録ではわずか 0.6 時間しかありませんでした。

FAA の事件記録の調査によると、2002 年 12 月に副操縦士が誤って発電機のス

イッチを「オフ」の位置にして離陸し、承認された緊急着陸装置の伸長手順に従わ

なかったため、ギアを上げて着陸したことが判明しました。

組織内の他のパイロットは、パイロットが「飛行機がどのように動作するのかまっ

たくわからず」、考えずに行動することが多かった、とNTSBの調査官に明らかに

しました。その他の欠点としては、負荷がかかりすぎる傾向や、コーチングなしで

は安定したアプローチで飛行することが困難であることが挙げられます。

これらの要因を考慮した結果、NTSBは、会社の点検航空士による不適切な点検飛

行を含む運航者の運航安全上の欠陥と、FAAが欠陥を発見し修正しなかったため、

安全性を不適切に強調したパイロットを主任の地位に就かせたと判断しました。

操縦士と航空士、そして準備が整っていない操縦士を副操縦士の席に座らせたこと

が事故の一因でした。

737 Max からの教訓

ピッチ トリムの故障に対する初期反応は、航空機の特定のメーカーやモデルに対

して正確に正しく操作しなければなりません。そうでないと、正しくない制御入力

の結果、航空機の制御がさらに低下する可能性があります。航空機の予期せぬ動き

の原因に応じて、正しい制御入力を直ちに行う必要があります。そうしないと、

航空機の状態が回復限界を超えてしまいます。

この点は、 2018年10月と2019年3月に起きたボーイング737 Maxの事故で実証

されました。

2つの事故の直後、「古典的な(在来型)」737型機で長年の経験を積んだパイロッ

トたちが、標準的な修正手順を適用すればこれらの事故を防ぐことができたと自信

を持って証言しました。彼らは、望ましくない自動操縦トリムや手動トリムの暴走

に対処するために、トリムに押し当てて反応するように訓練されていました。これ

により、コラムカットアウトスイッチが作動し、水平尾翼トリムモーターへの電気

の流れが遮断されます。

さらなる手順には、台座のカウンタートリミングまたは CUTOUT スイッチのアクテ

ィブ化が含まれます。古典的な 737 で数十年の経験を持つ同僚らは、このトレーニ

ング要素は簡単に達成でき、シミュレーターで 1 分しかかからなかったと述べてい

ます。彼らの言葉を借りれば、これは「簡単で簡単な」矯正手順でした。

事故前にパイロットに与えられた悲惨なほど不十分な移行訓練パッケージでは、ボー

イング737 Max の飛行制御システムの重要な違いについてパイロットに十分な情報が

与えられていませんでした。マックスの操縦特性強化システム (MCAS) のトリム シス

テムは、制御ヨークを動かすだけでは停止しませんでした。ヨークを引き戻すことで

MCAS に対抗するとシステムの目的が無効になる可能性があるため、 ボーイングは

この機能を回避しました。

MCAS は、パイロットが手動で航空機を逆トリムするか、中央台座の CUTOUT スイ

ッチを押して、自動的に機首を下げるシステムの試みを無効にする場合にのみ無効化

できます。

Max の事故から業界が理解すべき重要な教訓は、メーカーやモデルのバリエーション

に対する修正手順がまったく同じであるとは想定できないということです。「以前の

航空機ではうまくいきました」と当てはめると、航空機特有の操縦特性や飛行制御シ

ステムにおける重要な違いが見落とされます。

パイロットが独自の飛行制御特性を備えた航空機に移行する場合、パイロットが操縦

の違いを理解できるように適切な視覚的および音声による説明が必要であり、その後

適切な基本的な入力を開発するために十分な実践的なシミュレーターのトレーニング

が必要です。これは、タイプ別の不調の予防と回復のトレーニングでも強調する必要

があります。

事故調査からの勧告は航空機のガイドラインとシミュレーター訓練に組み込まれるべ

きです。ピッチトリムの失敗の管理はもっと注目に値します。電気システムの再描画

に費やす反復トレーニングの単調な時間の代わりに、その重要な時間をピッチトリム

の失敗を調査することに費やす方が価値があると主張する人もいるでしょう。

同様に、シミュレーターのトレーニングとチェック中に急なターンやアプローチ手順

のあらゆるバリエーションを実行しなければならない人にとって、おそらくその時間

の一部は、ピッチトリムの失敗に対処するという課題にさらされることに費やされる

べきです。

まとめ

3回にわたってピッチトリムの重要性と事故事例を見てきました。

今回のレポートから判るように、いくら飛行機の技術が発達しても、最終的に安全

を守れるのはパイロットです。

パイロットは、その飛行機の構造やシステムを完全に理解して、適切な対応を取ら

なければなりません。航空機の機種ごとに構造や操作方法は異なります。いくら

飛行時間が多いパイロットとはいえ、その飛行機を理解していなければ対処でき

ません。航空機メーカーによって手順や方法、スイッチなどが異なるからです。

ただし、共通して言えることは「瞬時の正しい状況判断と知識」です。

「知識」は、勉強することにより習得できます。その知識を元に「経験(訓練)」

が加わって正しい判断ができるのです。

また、この様に過去の事故事例から学ぶことも重要です。「自分だったらどう判断

する?」などシュミレーションや自己分析を行うことも知識の積み重ねになります。

『ローマは一日にして成らず』、毎日コツコツと努力を続けることが大切です。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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