皆さんこんにちは!
皆さんは北海道と言えばスキーやスノボなどウインタースポーツをイメージされるかと思います。
しかし近年は地球温暖化の影響を受けて、その様相が目に見えて変りつつあります。
今日は、南北海道、ニセコをピックアップしてみます。
カンタス航空の復帰が北海道の国際展開を促進

新千歳空港。提供:北海道空港
日本の北海道エアポートは、新千歳空港を成長する国際ゲートウェイとして位置付ける戦略
を追求し、東南アジアに注力しながら、北米、中東、ヨーロッパへの長距離路線拡大の基盤を築いています。
北海道空港会社の航空事業開発担当常務取締役の唐橋健次郎氏は、今年後半にカンタス航空
が新千歳空港に復帰することは、6年ぶりにシドニー・札幌間の直行便を復活させる大きな勝利だと語ります。
この路線は、長年にわたり北海道の冬の魅力がスキー旅行者を惹きつけてきたオーストラリ
アからの旺盛な需要を取り込むことになります。唐橋氏によると、オーストラリアと新千歳
間の発着旅客数は2024年度に前年比148%増加し、2月だけでも180%増加しました。
同時に、新千歳空港は東南アジアからの急速な成長にも直面しており、過去12ヶ月間で
旅客数は155%増加しました。この成長に伴って運航能力も増強され、地上ハンドラー、
燃料供給業者、政府機関と連携してボトルネック解消に取り組んだ結果、週間便数は前年比
162%増加しました。これは、8都市の追加就航と100便以上の増便に相当します。
唐橋氏によると、北海道エアポートは東アジアのネットワークを統合し、東南アジアでの
拠点強化を図るとともに、長距離路線への接続基盤を構築していく意向です。「現在は東南
アジアへの更なる拡大に注力しており、将来的には中東や北米への路線拡大も計画しています」と唐橋氏は語っています。
ヨーロッパも引き続き注目しているが、唐橋氏はロシアの空域閉鎖により、フィンエアー
のヘルシンキ=札幌線など、一部の直行便が減便されていることを認めました。同氏は、
北海道は「ヨーロッパからの需要回復に楽観的」であり、直行便が再び運航可能になるま
で、東アジアおよび中東のハブ空港を経由する間接的な解決策を模索していると述べました。
短期的には、マレーシアやベトナムといった東南アジアの未開拓市場を優先し、冬季運航を
通年運航に転換することを目指しています。唐橋氏は、北海道の夏の「グリーンシーズン」
の需要も高まっていると付け加え、かつては主にウィンタースポーツで北海道をイメージし
ていた東アジアからの観光客が、このシーズンにますます増えていると指摘しています。
ニセコが富裕層誘致に加速する
リゾート地として国際的に人気のある北海道ニセコ町は、冬はパウダースノーを求める欧米
のスキー客らが多く、年間160万人が訪れる日本最大の観光地です。ただ、町商工観光課
によると、海外の富裕層が集まるエリアとして、2年前からSNSの投稿で「ラーメン1杯3000円」などの印象が広まっていました。
しかし、問題は新千歳空港から車で2時間などアクセスの悪さです。そこで経済界が提言しているのは新空港建設なのです。
ニセコの魅力
なぜ多くの外国人は、わざわざニセコに行くのでしょうか?それには、ニセコに多くの魅力があるからです。
ニセコ地域に外国人富裕層が集中する背景には、単なる「雪の質の良さ」だけでなく、
地理的な優位性、資産保全の魅力、そして日本の独特な法的・文化的な要素が複雑に絡み合っています。
これは、ニセコが世界の他のスキーリゾートとは異なる、独自の経済圏を築いた理由でもあります。
1. 究極のパウダースノー(Japow)という絶対的な資源
何よりも、ニセコが持つ自然資源の優位性が最大の魅力です。
ニセコは世界でも稀な、降雪量の多さと雪質の軽さを両立しています。シベリアからの乾い
た冷気が日本海を渡る際に水蒸気を吸い込み、ニセコ連峰にぶつかることで、大量の極上の
パウダースノー(通称:Japow)を降らせます。この雪質は、世界中のスキー愛好家にとっ
て「聖地」とされる絶対的な価値を持っています。
広大なニセコのスキー場は、整備されたゲレンデだけでなく、ツリーラン(林間滑走)や
バックカントリー(非圧雪の山々)へのアクセスが比較的容易です。これは、ヨーロッパや
アメリカの厳しく規制されたスキー場とは異なり、高い自由度とスリルを求める上級者や富裕層を惹きつけています。
2. 資産保全と投資先としての魅力
ニセコの不動産は、単なる別荘ではなく、国際的な投資対象として機能しています。
多くの国、特にアジア諸国では、外国人が土地の所有権(フリーホールド)を持つことに
厳しい制限があります。一方、日本の不動産は、外国人でも完全に土地の所有権を持つこと
が可能です。これは、国際的な富裕層にとって、安定した資産保全先として大きな魅力となります。
ニセコの不動産は、2000年代初頭から現在に至るまで、国際的な需要に支えられて地価が
持続的に高騰してきました。キャピタルゲイン(資産売却益)を見込める優良な投資対象
であり、世界的な富裕層ネットワーク内で活発に取引されているため、流動性(売りやすさ)が高いことも魅力です。
近年、急激な円安が進んでいることで、ドルやユーロ、オーストラリアドルなどの外貨を
持つ富裕層から見ると、日本の高級不動産や観光サービスが相対的に非常に安価に見えま
す。これにより、不動産購入や長期滞在への意欲がさらに高まっています。
3. アジア圏からの地理的優位性
ニセコは、欧米の有名リゾートと比較して、アジア圏の主要都市から非常にアクセスしやすい位置にあります。
香港、シンガポール、台北、ソウル、北京、上海などのアジアの経済の中心地から、飛行機
で数時間(通常〜5時間程度)で新千歳空港に到着できます。 特にオーストラリアの
富裕層は、季節が逆の日本の冬に長期滞在するためにニセコを利用することが多く、彼らが
初期のニセコ市場を牽引しました。現在はアジア全域に顧客層が拡大しています。
4. 日本の文化と安全性という付加価値
単なるリゾート地ではなく、「日本」というブランドが付加価値を高めています。
日本の治安の良さ、清潔さ、そして質の高いサービス(おもてなし)は、世界の富裕層から高く評価されています。
近くの港で獲れる新鮮な海産物や、北海道ならではの食材を、世界最高レベルの高級レスト
ランで堪能できることも、食にこだわる富裕層を惹きつける重要な要素です。
スキー後の冷えた身体を癒やす温泉文化も、他の国際的なスキーリゾートにはない、日本独自の魅力として機能しています。
これらの要因が複合的に作用し、ニセコは「世界最高の雪質」「安定した資産保全」
「高い利便性」を兼ね備えた、国際的な超富裕層が集まる唯一無二のリゾートへと変貌を遂げたのです。
新空港建設に関する提言・構想の現状
ニセコ地域への新空港建設は、地域経済界や外部の有識者団体によって、長年にわたり交通インフラの強化策として議論されてきました。
日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)による提言
日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)は、2024年12月に開催したシンポジウムで、
ニセコ地域周辺への新空港建設を提言の一つとして発表しています。
これは、ニセコエリアの国際リゾートとしての地位向上と、新千歳空港からの長時間の
地上移動という弱点を克服するために必要なインフラとして提案されたものです。ただし
これはあくまで民間による提言であり、政府がこれを即座に事業化するという段階には至っていません。
背景にある富裕層の強い要望
ニセコを訪れる海外の富裕層からは、新千歳空港からニセコまで車で約2時間かかる現状
に対し、プライベートジェット(ビジネスジェット)で直接乗り入れるインフラを求める要望が非常に強いことが指摘されています。
1200m級の滑走路は、大型の旅客機には対応できませんが、中・小型のビジネスジェット
の一部機体や、プロペラ機であれば離着陸が可能なサイズです。(倶知安町に建設予定)
富裕層アクセス改善に向けた具体的なプロジェクト
公的な空港建設ではないものの、ニセコエリアでは富裕層のアクセス改善を目的とした、
より新しいタイプの移動手段に関する計画が具体的に進行しています。
「空飛ぶクルマ」の離着陸場計画
ニセコ地域の南側に位置する真狩村において、2026年の運用開始を目指し、「空飛ぶ
クルマ」の専用離着陸場(バーティポート)の建設計画が進行中です。
大阪の新興企業「スカイスケープ」などが計画しており、 新千歳空港からニセコエリア
まで、ヘリコプターや将来的な「空飛ぶクルマ」を利用することで、移動時間を大幅に短縮
すること(ヘリコプター利用で約30分)を目的としています。 プライベートジェットその
ものの着陸はできませんが、新千歳空港からニセコ地域への「最終アクセス手段」として、超富裕層の利便性を高める役割を担います。
この動きは、ニセコ周辺の富裕層アクセス改善のニーズに対し、従来の滑走路建設ではなく
次世代の垂直離着陸技術で対応しようとする現実的な選択肢として注目されています。
ニセコの新空港計画は、公的な事業というより、富裕層観光という特殊な需要に応えるため
のインフラ整備の必要性を示す、民間や業界からの強い要望として存在している状態です。
今後、これらの提言が具体的な政府の検討対象となるかどうかが焦点となります。
その他のアクセス改善計画
ニセコの交通課題を解決するため、空港新設以外にも複数のインフラ整備が進められています。
その一つが北海道新幹線です。 2030年度の開業を目指し、倶知安駅が停車駅となる予定です。
北海道新幹線は、以下の区間から構成されています。
【データで見るニセコの危機】地球温暖化が北海道の「雪」と「食」を奪う?
近年、世界的なリゾート地として注目を集める北海道ニセコ地域。しかし、地球温暖化は、
その最大の魅力である「雪」と、北海道の基幹産業である「食」に、深刻な影響を与えることが予測されています。
私が作成したシミュレーションデータに基づき、21世紀末に北海道で何が起こりうるのか、具体的に見ていきましょう。
気温変化:避暑地北海道に「猛暑日」が到来する
北海道は冷涼な気候が魅力ですが、温暖化対策が進まなかった場合、その気候は劇的に変化します。
年間猛暑日(35℃以上)の予測

| 項目 | 現在(2020年頃) | 21世紀末予測(2081-2100年) |
|---|---|---|
| 年間猛暑日数 | 約0.5日 | 約30日 |
現在、北海道の道南・道央地域で猛暑日が観測されることはほとんどありません。しかし、
シミュレーションでは、夏場に35℃以上の猛暑日が年間で約1ヶ月も発生する可能性があるという衝撃的な結果が出ています。
これは、夏の平均気温が大幅に上昇することを意味し、ニセコが持つ「冷涼な避暑地」とし
ての価値が失われ、熱中症リスクも高まることを示唆しています。
雨量変化:ニセコの「パウダースノー」が消える
ニセコを世界的なリゾートに押し上げた「Japow(極上のパウダースノー)」の存続に関わ
る、最も深刻な変化です。温暖化により、冬の降水形態が雪から雨へと変化することが予測されています。
冬季降水に占める「雨」の割合増加

| 項目 | 現在 | 21世紀末予測 |
|---|---|---|
| 雪の割合 | 80% | 35% |
| 雨の割合 | 20% | 65% |
冬季の降水のうち、約65%が「雨」に変わると予測されており、積雪量の大幅な減少と雪質の劣化は避けられません。
この変化は、スキー観光を主軸とするニセコの経済に致命的な打撃を与えます。冬の短縮と
雪質の悪化に対応するため、「脱・雪依存」の戦略が喫緊の課題となっています。
農業への影響:北海道の「食」の地図が変わる
北海道は日本の食料供給基地ですが、温暖化は農作物の生産適地を大きく変化させます。
主要農作物の生産適地の変化(北海道全域を100%とした場合)

| 作物 | 現在の適地面積 | 21世紀末予測の適地面積 |
|---|---|---|
| 米(稲作) | 45% | 85%(拡大) |
| ジャガイモ | 90% | 30%(激減) |
- 米(稲作)の拡大: 温暖化により気温が上昇するため、これまで寒すぎて稲作が難しかった地域でも米の栽培が可能となり、適地が北上・拡大します。
- ジャガイモの激減: 一方、冷涼な気候を好むジャガイモやタマネギなどの北海道の代表的な畑作物は、適温の地域が大幅に減少し、生産が困難になることが予測されています。
これは、北海道農業が「水田の拡大」と「畑作物の再編」という大規模な構造転換を迫られることを示しています。
ニセコが取るべき未来戦略
このシミュレーションが示す通り、ニセコ地域は「観光」と「農業」という二つの基幹産業の危機に直面しています。
今後、地域の持続可能性を高めるためには、冬に偏重した経済構造からの脱却が必要です。
観光の課題解決策として、冬季に依存せず、夏季・秋季の「ヘルス&ウェルネス」「高級
アクティビティ」など、オールシーズン対応のラグジュアリーリゾートへの進化を急ぐこと。
農業においては、気候変動に対応できる新品種の開発や、高温に強い作物の導入など、農業経営の根本的な転換を図るなどが考えられます。
ニセコの美しい自然と、世界の富裕層を惹きつける魅力を次世代に残すため、今すぐに行動を起こす必要がありそうです。




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