皆さんこんにちは!
日本でも格安航空会社(LCC)が運航して10年が経ちました。世界では約半世紀前からLCCが人々の足となっています。
しかし、全てが上手く行っているわけではありません。倒産や統合を繰り返し成長しているのです。
それでは、LCCの航空機はどの機種が適しているのでしょうか?また、新たな取り組みACMIスケジュールとは?
【徹底分析】LCCの勝ち組機材はどれだ? B787・B737・A320の勢力図と「ドル箱路線」の法則
かつて「LCCといえば中古の古い飛行機」というイメージがありましたが、それはもう
過去の話。現在のLCCは、燃費効率を極限まで高めるために、最新鋭のハイテク機を
FSC(フルサービスキャリア)以上に積極的に導入しています。
世界のLCC市場で覇権を争う「ボーイング737」「エアバスA320」、そして長距離LCCの革命児「ボーイング787」。
それぞれの機種が世界のLCCの中でどの程度の比率を占め、どのような路線で「稼いで」
いるのか? データと実例を交えて深掘り解説します。
世界のLCC機材シェア:ナローボディの「2強」対決
LCCのビジネスモデルの基本は、「単一機種による効率化」です。整備部品の共有、
パイロット訓練の統一化によりコストを下げるため、世界のLCCの95%以上は、通路が
1本の「ナローボディ機(単通路機)」で運航されています。
✈️ エアバス A320ファミリー (A320ceo/neo, A321)
- LCCシェア感: 世界的に急増中(新規発注の約60%がエアバス優勢)
- 特徴: コンテナ貨物の搭載が可能、キャビン幅がわずかに広い、派生型(A321など)の航続距離が長い。
- 主な採用エアライン:
- IndiGo (インド): 約360機(世界3位の規模)
- easyJet (欧州): 約330機
- JetBlue (米国): 約290機
- Peach / Jetstar Japan (日本)
✈️ ボーイング 737ファミリー (737-800, 737 MAX)
- LCCシェア感: 歴史的な王者だが、MAX問題でシェアを削られつつある(シェア約40%)
- 特徴: 機体が地面に近くタラップでの乗降が容易(ボーディングブリッジ不要で空港使用料節約)、機体重量が軽く着陸料に有利。
- 主な採用エアライン:
- Southwest Airlines (米国): 約817機(世界最大!)
- Ryanair (欧州): 約580機(世界2位)
- Skymark (日本): 全機737(※MCC区分だが運用はLCCに近い)
【分析結果】 数で見ると、サウスウエスト航空とライアンエアーという「2大巨頭」
がB737を使っているため、稼働機数ではB737が依然として多いです。しかし、
「将来の受注残(バックログ)」ではA320neoファミリーがB737 MAXを圧倒し
ており、特にアジア圏のLCC(ベトジェット、エアアジアなど)はエアバスへのシフトが鮮明です。
各機種の「適材適所」とドル箱路線
では、航空会社はこれらの機種をどのように使い分けているのでしょうか?
① B737 / A320(基本モデル)
- 適した路線: 近距離・国内線・高頻度
- 距離: 500km ~ 2,500km(飛行時間 1時間~4時間)
- 戦略: これらの機体の真骨頂は「高頻度ピストン輸送」です。例えば、東京-札幌、東京-福岡、ロンドン-パリのような「バス感覚」の路線。 特にB737は、貨物室にコンテナを使わず「バラ積み(バルク)」する場合が多く、地上支援機材が少なくて済むため、地方空港での折り返し時間を短縮するのに向いています(ライアンエアーなどは最短25分ターンアラウンドを実現)。
② A321LR / XLR(エアバスの長距離型)
- 適した路線: 中距離・国際線・「Long & Thin(長距離だが需要は薄い)」
- 距離: 4,000km ~ 8,700km(飛行時間 6時間~10時間)
- 戦略: 今、最も熱いのがこのカテゴリです。これまでは大型機でしか飛べなかった「日本〜東南アジア深部(シンガポール・バンコク)」や「大西洋横断」を、座席数の少ないナローボディ機で飛ぶことで、空席リスクを減らしつつ直行便を飛ばせます。
- 例: PeachがA321LRで関空-バンコク線を運航。大型機では埋まらない路線でも、200席程度なら満席にでき、利益が出ます。
③ B787 ドリームライナー(ワイドボディ機)
- 適した路線: 長距離・国際線・主要幹線
- 距離: 6,000km ~ 12,000km(飛行時間 8時間~14時間)
- 戦略: LCCにとって「禁断の果実」だった長距離路線を現実にしたのがB787です。従来の大型機(B777やA330ceo)は燃費が悪く、LCCモデルには不向きでしたが、B787は炭素繊維ボディで燃費が劇的に良く、LCCでも採算が取れるようになりました。
- 例:
- ZIPAIR: 成田からロサンゼルス、バンクーバーへ。JALのお下がりではなく、新造機の787-8を導入して話題に。
- Scoot (シンガポール): 世界でも珍しい「全機787」のワイドボディLCC(一部A320併用)。
- Norse Atlantic (欧州): 欧米間を787のみで結ぶ。
- 例:
なぜ「B787」が長距離LCCの主役なのか?(データで深読み)
通常、LCCはA320などの小型機を好みます。なぜなら、座席を埋めるのが簡単だから
です。しかし、長距離LCC(Long-Haul LCC)では、ボーイング787が圧倒的な支持を
得ています。競合のエアバスA330neoを抑え、なぜ787なのか?
| 比較項目 | Boeing 787-8/9 | Airbus A330neo (-900) |
|---|---|---|
| 巡航速度 | マッハ 0.85 (速い) | マッハ 0.82 (標準) |
| 貨物搭載 | 非常に優秀 | 優秀 |
| 機内環境 | 気圧・湿度が高い (疲れにくい) | 標準的 |
| LCC採用 | ZIPAIR, Scoot, Jetstar, Norse, WestJet | AirAsia X, Cebu Pacific |
【深読みポイント】 LCCが787を選ぶ最大の理由は、「速度」と「貨物」です。 長距離
路線では、巡航速度の差が到着時間の大きな差(30分〜1時間)になります。機材の回転率
を上げたいLCCにとって、少しでも速く飛べる787は魅力的です。 また、LCCは旅客運賃
を安くする代わりに、床下の「航空貨物(カーゴ)」で稼ぐビジネスモデル(特に
ZIPAIRやScoot)を重視しています。787はこの貨物スペースが非常に使いやすく設計
されており、旅客が少ない時期でも「空飛ぶトラック」として利益を出せるのです。
一方で、AirAsia Xなどは座席数を極限まで詰め込めるA330neoを選択しており、
「とにかく人を大量に運ぶ」戦略の会社はエアバス、「貨物や快適性、速度のバランス」
を取る会社はボーイング、という棲み分けが見られます。
今後の展望:A321XLRがB787の市場を食う?
今後のLCC業界の注目は、エアバスの最新鋭機「A321XLR(Extra Long Range)」
です。 この機体は、単通路機でありながら最大航続距離8,700km(東京からシドニーやデリーまで届く!)を誇ります。
これが普及すると、これまでB787が担っていた「中長距離路線」の一部が、よりコストの安いA321XLRに置き換わる可能性があります。
- B787の弱点: 250席〜300席を埋める集客力が必要。
- A321XLRの強み: 180席〜200席で済むため、地方都市から海外への直行便(例:福岡-ハワイ、仙台-シンガポールなど)がLCCで実現可能になるかもしれません。
まとめ
- 近距離の王者: A320neo / B737 MAX(互角だが、将来性はA320優勢)
- 中距離の革命: A321LR / XLR(独壇場。新しい市場を切り開く)
- 長距離の要: B787(貨物収入と快適性で、質の高いLCCを実現)
LCCを利用する際は、「どの機種に乗るか」でその航空会社の戦略(貨物重視なのか、
詰め込み重視なのか)が見えてきます。次にチケットを取るときは、ぜひ「機材」にも注目してみてください!
ノルセ航空、売上高は過去最高を記録も大西洋横断運賃が利益を圧迫

クレジット: ロバート・ショー/アラミー
ノース・アトランティック航空は、過去最高の第3四半期の収益と、搭乗率が4四半期連続
で90%を超えたことを報告したが、大西洋横断路線の収益の低迷と一連の一時的な運用
コストにより、長距離LCCである同社は、ACMIスケジュールの二重モデルへの移行を加速する中で赤字が続いています。
CEO兼創業者のビョルン・トーレ・ラーセン氏は、ノルウェー航空が航空機の半分を
ACMI契約に基づいて運航し、残りの半分を自社ネットワークで運航するという二重戦略
に移行する中、同航空会社が保有する12機のボーイング787-9型機は「強固な基盤を形成する」と述べています。
「1年前、データ主導の商業戦略に基づき、ノース・アトランティック航空の新たな方向性
を定めました。そして、リスクの低減、収益の安定化、そして運航路線のグレードアップを
実現する、デュアルACMIと独自のネットワークモデルへの移行を進めました」と彼は述べ
ています。「それ以来、4四半期連続で搭乗率90%以上を達成し、旅客数は過去最高を記録し、財務実績も改善しています。」
しかし、ラーセン氏は「大西洋横断の主要路線における厳しい競争、運用上のマイナス
要因、そして航空業界全体に影響を及ぼすコストインフレ」を挙げ、課題が継続していることを認めているのです。
同社は2025年9月末までの3ヶ月間の売上高が2億4,980万ドルと報告しており、前年同期
の2億2,200万ドルから増加しました。旅客収入は2億1,050万ドル。同四半期の旅客数
は57万3,433人で、前年同期比11%増となった。搭乗率は95%で、4四半期連続で90%を超えました。
しかし、付帯収入の減少と大西洋横断路線の価格下落により、旅客一人当たりの収入は
406ドルから395ドルに減少しました。同社は「当四半期、大西洋横断路線市場において全般的な価格圧力が生じた」と説明しています。
一連の非経常的項目が収益性を圧迫しました。これには、約2,500万ドルの特別保守
費用(うち2,000万ドルは保険で償還)と、運用上の事故および団体交渉協定に基づく
遡及給与に関連する約900万ドルが含まれます。ノースは第3四半期に780万ドルの純損失
を計上し、前年同期の630万ドルの損失からわずかに拡大しました。
ノース航空は、長期ACMI契約に基づき、インディゴへの787-9型機6機の移管作業の最終
段階にあります。11月下旬までに5機が納入され、最終的な引き渡しは2026年初頭の予定
です。移管が完了すると、ノース航空は「ACMIチャーター機6機、自社定期便ネットワーク
に6機を配備するバランスの取れたポートフォリオ」を構築し、「予測可能なACMI収益と
キャッシュフロー」を確保することで、残りの長距離ネットワークの最適化を支えられると見込んでいます。
この冬、ノース航空はタイへの新規路線とP&Oクルーズのカリブ海チャーター便を就航
させ、定期便ネットワークの多様化を継続しました。2026年夏には、「需要が高く、航空
券価格も高い路線をベースに、欧州と米国間の集中的なプログラム」を計画していると
ラーセン氏は述べています。また、2026年FIFAワールドカップ開催に伴う北米の需要増加も見込んでいると付け加えています。
【航空業界の秘密兵器】ACMI(ウェットリース)とは? 予期せぬ欠航から航空会社を守る「緊急ヘルプ」の仕組み
皆さんは旅行中、自分が乗るはずだった飛行機とは違う、見慣れない塗装の機材で運航された経験はありませんか?
それは、航空業界で「ACMIリース」または「ウェットリース」と呼ばれる、特殊な契約形態で運用された飛行機かもしれません。
ACMIは、航空会社が予期せぬトラブルや急激な需要増に対応するための「秘密兵器」
です。この仕組みが、どのように機能し、そして「ACMIスケジュール」というものが何を意味するのかを深掘りします。
ACMIとは? 4つの要素から成る究極のパッケージ契約
ACMIは、その頭文字が示す通り、4つの主要な要素をセットで借りる契約です。
| 頭文字 | 項目(日本語) | 項目(英語) | 借りる側が負うもの |
|---|---|---|---|
| A | 航空機 | Aircraft | 機体の提供 |
| C | 乗務員 | Crew | パイロット、客室乗務員の提供 |
| M | 整備 | Maintenance | 機体の日常・定期整備 |
| I | 保険 | Insurance | 機体保険、第三者賠償責任保険 |
つまり、ACMIとは、「機体とその運航に必要な人員・整備・保険の全てをセットで、
他の航空会社から借り受ける」という契約です。航空会社は、自社のブランド名と路線
コードで、借りた飛行機を運行できるため、乗客側からは一見すると通常のフライトに見えます。
ACMIに対し、機体だけを借りる契約は「ドライリース(Dry Lease)」と呼ばれ、これは長期的な機材調達の基本となります。
なぜLCCやFSCはACMIに頼るのか?
なぜ、航空会社は高コストになりがちなACMIを利用するのでしょうか?そこには、航空業界特有のリスクトレードオフが存在します。
理由①:予期せぬ機材トラブルと整備遅延への対応
これはACMIの最も一般的な用途です。
- 例:エンジン交換:自社機材が予期せぬエンジントラブルで長期離脱した場合、スケジュールにぽっかり空いた穴を埋めるために、すぐにACMI機を借りて運行を継続します。
- 例:新型機の納期遅れ:ボーイング737 MAXやA320neoなどの新型機の納入遅延が発生した際、路線計画に狂いが生じないよう、他社からACMIで機材を確保します。
理由②:季節的な需要の急増(ピーク対応)
航空需要は年間を通じて変動します。特に夏期(ヨーロッパのホリデーシーズン)や年末年始、特定の宗教的イベントの時期には需要がピークに達します。
- 戦略的な利用: 自社で最大需要に合わせた機材を全て保有すると、オフシーズンの稼働率が下がり、コスト効率が悪くなります。そのため、ピーク需要の数ヶ月間だけACMI機をピンポイントで借り、需要が落ちれば返却します。
理由③:新規路線開設時のリスク軽減
新しい長距離国際線を立ち上げる際、いきなり自社で機材を購入・乗務員を訓練するのは大きなリスクです。
- 市場テスト: まずACMIで他社のワイドボディ機(例:B787やA330)を借りて運航し、その路線が本当に収益性があるかを数カ月かけてテストします。成功すれば自社機材に切り替え、失敗すればACMI契約を終了すれば良いため、初期投資リスクを大幅に抑えられます。
「ACMIスケジュール」とは:クルーと機材の管理が鍵
ここで言う「ACMIスケジュール」とは、単なるフライト時刻表ではなく、「貸し出し側」
と「借り受け側」双方の運用計画を指します。特に難しいのが「C」(クルー:乗務員)と「M」(メンテナンス:整備)の管理です。
1. クルーの勤務スケジュール(Cの複雑さ)
ACMI契約では、機体だけでなくクルーも一緒に来ます。彼らは借り受け側の会社の制服を着て運航しますが、給与体系や休日のルール(労働協約)は、所属元の航空会社(ACMIを提供する側)の国や規定に従います。
- 課題: 借り受け側のフライトスケジュールに合わせつつ、ACMI提供側のクルーが法定の休息時間を守り、ストレスなく運航できるかという綿密な調整が必要です。これは多国籍なクルーが関わるため、非常に複雑なパズルのような作業となります。
2. 整備スケジュール(Mの厳格さ)
機体の整備(メンテナンス)責任もACMI提供側にあります。
- 課題: 運航が集中するACMI機は酷使される傾向があるため、借り受け側の運航スケジュールに組み込みながら、定期点検(Aチェック、Cチェックなど)のタイミングを厳守しなければなりません。このスケジュールが乱れると、契約違反となり、高額な賠償問題に発展することもあります。
ACMIが生まれる場所
ACMIの専門業者として有名なのは、ヨーロッパや中東の航空会社です。特に、トルコの
ターキッシュ・エアラインズや、ラトビアのairBalticのように、自社の機材を多数持ち、
オフピーク時に他社に貸し出すことで効率的に収益を上げる企業もあります。
近年、コロナ禍からの需要回復期には、自社機材や乗務員が足りない航空会社が急増し、
ACMI市場は活況を呈しました。これは、航空会社が「所有」から「柔軟な利用」へと、
よりアセットライトな経営にシフトしている証拠とも言えるでしょう。
ACMIスケジュールは、世界の空の便を途切れさせない、縁の下の力持ちなのです。


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