皆さんこんにちは!
昨日のブログで、中国の干ばつについてのニュースをお伝えしました。さっそく
中国は人工降雨装置を使って雨を降らせました。
人工降雨
仕組み
人工降雨の仕組みは、ヨウ化銀を燃やして送風機で煙を上空に噴射させます。
4000~5000メートル上空の雲の中の水蒸気とこのヨウ化銀を反応させ
ることで雨を降らすことができます。雨ができる仕組みは、水滴の核になるも
のが必要で、このヨウ化銀に細かい水滴が付着して雨粒となって地上に降り注
ぐ仕組みです。
ヨウ化銀とは、銀とヨウ素の化合物です。ヨウ化銀には毒性はありますが、
人工降雨に使われる程度の量ですと人体には影響がありません。
歴史
人工降雨の歴史は、1950年代にフランスで始まりました。ドライアイスを
細かくしたものを散布する方法と先ほどのヨウ化銀を使用する方法が開発
されました。現在は、ヨウ化銀を使用する方法が支流になっています。
日本で最近使われたのは、東京都で2013年8月に首都圏の水瓶である
小河内ダムの奥多摩湖で人工降雨装置を稼働させました。午後2時に装置
を作動させると15分ほどで雨が降り始め、45分後にはかなりの量の雨
が降りました。午後2時から3時にかけての雨量は11ミリ、5時からの
2時間は17.5ミリを記録しました。この雨雲は気象レーダーにもしっ
かり映っていました。装置は、建物の屋上にある煙突のようなものから蒸
気を吹き上げるものです。この装置を持っているのは全国でも東京都だけ
です。
2008年の北京オリンピックでは、ヨウ化銀をロケットで打ち上げて、開会式
前にわざと雨を降らせ、本番当日は晴天になりました。
元々、人工降雨装置が開発されたのは軍事目的の側面が大きかったのです。人工
的に雨や霧を発生させることができれば、地面がぬかるみ、輸送ルートを断つこ
とができます。また集中豪雨で水が溜まったダムを決壊させれば、周辺に甚大な
水害を起こすことができます。しかしながら、軍事兵器として使用していないの
は、雨が降ることが不確実で、作戦を立てづらくリスクが大きいからです。
干ばつや台風対策
干ばつ対策
熱波や干ばつが数々の問題を引き起こす中、短期的な解決策として人工降雨の
ほかにも工学的なアプローチの開発も進んでいます。
アメリカ、コーネル大学の研究チームは、太陽光を宇宙に反射させて地球温暖
化を防ぐソーラージオエンジニアリング(ジオエンジニアリングは気候そのも
のを人工的に操作する第三のアプローチ)の潜在的なメリットを検証していま
す。それは、成層圏エアロゾル噴射と呼ばれる技術で、大気上層部にエアロゾ
ル硫酸塩をばらまき、太陽光を反射させて地球を冷やすアイデアです。
台風対策
台風そのものを弱体化させて、被害を最小限にしようという試みがあります。
1960年~1970年代にかけて、台風(ハリケーン)の周りの壁の雲に
ヨウ化銀をまくことによって積雲内の潜熱の放出を促し、壁雲の外側の積雲を
さらに発達させることによって上昇気流を増大させます。そして、台風の眼の
周囲に流入する湿った空気をより外側で上昇させ、眼の半径を大きくします。
眼の半径の増大は角運動量保存の法則により、最大風速の回転成分が減少して
最大風速も減少する仕組みです。実際に、カリブ海で発生するハリケーンにつ
いてこの実験が行われました。ハリケーンの壁雲に2時間おきに5回のヨウ化
銀の散布を行った結果、最大風速はかなり減少しました。これにより予想され
ていた災害の被害率が50%低下しましたが、実験の効果か自然のものなのか
は、まだ検証が必要であると結論づけています。
中国の人工降雨作戦
今回の中国の人工降雨は、巨大なドローンを使用して雨雲の元となる粒子を散布
して、人工的に雨を降らせることに成功したと報じています。8月23日から2
9日にかけて実施された今回の作戦では、6000平方キロメートルのエリアを
カバーできる大型ドローン2台が投入されました。
この作戦が功を奏したのか、28日には四川省、重慶市で待望の雨が降りましたが
場所によっては降水量が平年の2倍にも達する大雨の影響で、洪水や土砂災害の危
険性が高まっており、警戒を強めています。重慶市の気象当局は地域の住民に対し
て進行中の干ばつの影響で山腹の傾斜が固まり、流れの遅い水を吸収する能力が低
下しているので、洪水や地滑りのリスクに備えるよう注意を呼びかけています。
まとめ
人間が自然をコントロールすることは、現在できません。人工的に雨を降らせたり
することは一部できますが、今回の中国の例のように洪水が起きては元も子もあり
ません。しかし、地球温暖化の歯止めをかける手段の一つとして今後の研究に期待
したいと思います。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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