皆さんこんにちは!
今月の14日に、ベルが開発しているカーゴドローンがテキサス州の草原に墜落しま
した。
Bell Autonomous Pod Transport プログラム
Bell Autonomous Pod Transport プログラム
ベルは、アメリカ大手のヘリコプターの会社です。近年は、ドローンやeVTOLの
開発、販売を行っています。
ベルは、Autonomous Pod Transport (自律運航型ポッド輸送機:APT)プロ
グラムの下で eVTOL 航空機を開発しています。最初の APT 70 は、2019 年 8 月
26 日にテキサス州フォートワースで初の自律飛行を行いました。2020 年半ばに、
この航空機は商用ミッションをシミュレートする NASA のシステム統合と運用化
のデモンストレーションに参加しました。これは米国の国家空域システムで、目視
外の運用が含まれます。
ベルはヤマトと協力して、日本の物流グループの荷物処理システムを APT 70 と統合
し、2020 年代初頭までに商用運用を開始することを目標にしています。
APT のコンセプトは、パイロンを介して 2 つの翼に取り付けられたペイロード ポッド
で構成されています。各翼には、電気モーターで駆動される 4 つまたは 8 つのプロペ
ラが取り付けられています。目的は、ポッドとバッテリーの両方をミッション間ですば
やく交換できるようにすることです。
APT 70 は、最大 70 ポンド(約32kg)の重さで最大 35 マイル(56km)、または
追加のバッテリーを取り付けると、最大 50 マイル(80km)の 35 ポンド(16kg)の
積載量を運ぶことを目的としています。ペイロードがなければ、最大 65 マイル(105
km)まで飛行できます。2019 年 11 月 18 日、ベルは飛行試験中に 60 ポンド(27kg)
のペイロードを達成し、すぐに 70 ポンドのペイロードを完全に運ぶことを試みると発表
しています。
2020 年 1 月 16 日、APT 70 のプロトタイプは、初の目視外飛行を行いました。
FAA承認の無人航空機システム統合パイロットプログラムの下で動作し、米国のテスト
サイトで10マイル(16km)飛行し、テキサス州フォートワース近くのベルのテストサ
イトで60ポンドのペイロードで18マイル(29km)の飛行を完了しました. 2020 年 2 月
17 日の時点で、APT 70 は 120 回以上の飛行を行っています。
また、最大 1,000 ポンドのペイロードを運ぶことができる、より大きなバージョンの計画
もあります。
2021 年 2 月には、複雑な空域を高度 300 フィートで 4 マイル (6.5km) 周回飛行し、
荷物を配達した自律型ポッド トランスポートのさらなる飛行試験が成功しました。
APT70、墜落
APT70の墜落という衝撃的なニュースが、火曜日の午後に入ってきました。
登録番号 N314AL の APT 70 実験用航空機は、2019 年に初飛行しました。この航空
機は、100 ポンド (45 kg) のペイロードで 22 マイル (3km) の範囲を飛行し、
最大速度は 86 ノット(時速160km)です。バッテリー駆動のこの航空機は、最高気
温 摂氏 52 度で最高時速 30 マイル (48 km) の風で飛行するように設計されています。
300 ポンド (136 kg) の車両の損傷は不明です。
ヤマトのドローンへの影響
ベルは日本の物流大手ヤマトホールディングスと組んで、このAPT70を商用展開して
いく計画です。ヤマトが手がけた機体に取り付ける貨物用ポッドのプロトタイプには
車輪が付いていて、簡単に動かすことができます。
ヤマトは、2021年3月からオーストリアのCycloTechと、「強風下でも狭い土地に正確
に着陸できる中型eVTOL(electric vertical take-off and landing:電動垂直離着陸)
航空機の成立性に関する共同研究」を行ってきました。
写真はヤマトホールディングスのホームページより
このドローンは今までのドローンと羽の形状が違い、サイクロローターと呼ばれる円筒状
の羽が回転することによって浮力を作り出します。このサイクロローターはコンパクトな
設計でありながら瞬時に偏向推力を生む特徴を持っており、垂直離陸から水平飛行への自
然な推移や高い機動性をもたらします。
今回のAPT70の墜落事故の原因がわかりませんが、FAAは「制御不能」事故として分類し
ました。今後、原因究明が行われますが、影響は限定的だと思います。
2022年2月16日に、アメリカのJoby AviationのeVTOLが試験飛行中に墜落しました。
すぐにアメリカの航空事故調査員会(NTSB)の調査が入りました。結果はまだ発表されて
いませんが、性能限界のテスト飛行であってけが人も出ていないことから、その後
研究開発は引き続き行われています。
まとめ
今回の墜落事故は、NASAがベルに対して地上ベースの探知回避 (DAA) センサーを使用
して、無人 eVTOL 航空機のデモンストレーションを成功したばかりでした。これは
商用化に向けた第一歩のプロジェクトの成功だったのです。そんな矢先の墜落事故だった
のですが、NASAとしても今は事故原因がわかるまでは静観せざるを得ません。
一方、日本のヤマトホールディングスとのATP70の計画に影響を及ぼすのは周知の通り
ですが、原因がはっきりすればすぐにでも再開はできるでしょう。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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