皆さんこんにちは!
自家用、飛行訓練用小型航空機としてその名を馳せているのがシーラスです。
日本でも航空大学校の訓練機としても使用されています。ベストセラー機の魅力と2026年の進化を見ていきます。
そして、シーラスが持つ究極の安全装置とは?
N11000はCirrus SRシリーズの11,000機目の納入を記念

11000機目の記念すべきシーラスSRシリーズモデル © シーラス
シーラス社は、1999年に初号機を納入してから約26年後、SRシリーズのピストン式単発
飛行機の11,000機目を納入しました。初期モデルには、当時としては先進的だった真空
駆動計器と航空電子機器が搭載され、後に高性能な自動操縦装置を備えた洗練されたグラス
コックピットへと進化する電子機能が追加されています。
記念すべき11,000機目のシーラスは、最上級ターボチャージャー搭載のSR22Tで、ガー
ミンベースのPerspective Touch+アビオニクススイートとSafe Return Emergency
Autoland(SR20およびSR22 G7+モデルにも搭載)を搭載しています。ダークグリーン
の「モンテヴェルデ」カラーリングを特徴とするシリアルナンバー11,000のインテリア
には、ビジョングリーン、コンクリートアルカンターラ、マットカーボンファイバーといった高級素材がふんだんに使用されています。
G7+シリーズのその他の機能には、Wi-Fiまたは携帯電話データによる自動リモート航空
電子機器データベース更新、近くの飛行中の航空機または滑走路上または滑走路に接近して
いる他の航空機による滑走路侵入の可能性をパイロットに予測して警告する滑走路占有認識
システム、および外気温に基づいて飛行中に自動的にオンとオフを切り替えるスマートピトーヒーターなどがあります。
全複合材航空機の性能は1999年以降ほとんど変わっていませんが、シーラス社は初代G1
から現行のG7+に至るまで、各世代ごとに着実にアップグレードを続けてきました。
シーラス社オーナーズ・パイロット協会によると、全機種にシーラス・エアフレーム・
パラシュート・システムが搭載されており、11月13日時点で142回使用され、287人の命が救われています。
シーラス、2026年SRシリーズピストンシングルの特徴を発表

シーラス社は昨年、SRシリーズの単発ピストン航空機にSafe Return Emergency
Autoland(SAE自動着陸)機能を含む大幅なアップグレードを実施した後、2026年型
SR20、SR22、SR22T G7+に新機能を追加しました。これには、アビオニクス、塗装色
とデザイン、そしてSR22にはSR22Tで既に採用されている4枚羽根の複合材プロペラが含まれます。
2026年モデルでは、USB-BおよびUSB-Cポートがアップグレードされ、フロントに60
ワットポート2つ、リアに100ワットポート2つが搭載され、ポータブルStarlinkアンテナへ
の給電が可能です。オプションのCirrus Global Connect Iridium衛星通信システムを使用
して、音声通話やテキストメッセージの送受信が可能です。このシステムは気象情報も提供
しており、提供気象情報の種類が拡大し、5分ごとに自動更新されます。
ガーミン ベースの Cirrus Perspective Touch+ アビオニクス スイートは、移動マップ
上に交通パターン エントリの選択肢を追加し、これらを自動操縦装置と連動させることができます。
シーラス は、タンジェリン、モルディブ、ビリジアンという 3 つの新しいペイント
カラーを含む、カーボンとプラチナのカラーリング用の 2 つの新しいプレミアム コレクションを導入しました。
「2026 SRシリーズ G7+は、シーラス・エアフレーム・パラシュートシステムやセーフ・
リターン緊急自動着陸といった革新的な安全システムと相まって、お客様に幅広い選択肢、
優れたコネクティビティ、そしてパイロットの利便性を提供します」と、CEOのジーン・
ニールセンは述べています。「2026 SRシリーズは、オーナー様のミッションと歩調を合わ
せながら進化を続け、ビジネスとライフスタイルの価値を拡張する役割を果たします。」
個人オーナー向け航空機の金字塔
シーラス・エアクラフト社のSRシリーズは、単なる「移動手段」としての航空機を
「ライフスタイル・ガジェット」の域にまで高めた、個人オーナー向け航空機の金字塔です。
2026年モデル「G7+」で見せた圧倒的なコネクティビティと安全性の進化を含め、その成功の裏側を多角的に解析します。
シーラス・エアクラフト社の歴史変遷:革新の系譜
シーラス社の歴史は、航空業界における「常識への挑戦」の歴史です。
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1984年: クラプマイヤー兄弟がウィスコンシン州の納屋で創業。
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1998年(SR20の誕生): 業界に衝撃を与えた「CAPS(パラシュート・システム)」と、当時としては珍しいコンポジット(複合材)機体を備えたSR20が登場。
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2001年(SR22の登場): より強力なエンジンを搭載したSR22が発売。以来、20年以上にわたり単発ピストン機の世界ベストセラーとして君臨。
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2011年: 中国のCAIGA(中航通飛)の傘下に入り、潤沢な資金を得て開発が加速。
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2020年代(G7/G7+): タッチパネルアビオニクスと「緊急自動着陸(Safe Return)」を標準化し、IT世代のオーナーへ訴求。
SRシリーズの性能解析:2026年モデル「G7+」の特筆点

シーラスSRシリーズ、SR22 (G7+)
2026年モデルのSRシリーズは、ポータブルStarlinkへの給電を想定したUSB-C
(最大100W)の搭載など、「移動中も地上と同じデジタル環境」を約束しています。
【主要モデル性能比較】
| 項目 | SR20 (G7+) | SR22 (G7+) | SR22T (G7+) |
| エンジン | Lycoming IO-390 (215hp) | Continental IO-550 (310hp) | Continental TSIO-550 (315hp/ターボ) |
| 最高速度 | 約155 ktas | 約183 ktas | 約213 ktas |
| 航続距離 | 約700 nm | 約1,100 nm | 約1,000 nm |
| 安全装備 | CAPS + Safe Return | CAPS + Safe Return | CAPS + Safe Return |
| プロペラ | 3枚羽根 | 4枚羽根(複合材) | 4枚羽根(複合材) |
なぜ世界中で「売れ続けている」のか?:詳細分析
シーラス社が従来の「セスナ」や「パイパー」を凌駕し、市場を独占している理由は3つの「価値」に集約されます。
① 圧倒的な「安心感」の提供
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CAPS(パラシュート): 「エンジンが止まっても、機体ごとパラシュートで降りれば助かる」という直感的な安心感は、非プロパイロットの家族やビジネスマンにとって最大の購入動機です。
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Safe Return(自動着陸): パイロットが急病等で操縦不能になった際、ボタン一つで最寄りの空港へ自動着陸する機能は、自家用機運航のハードルを劇的に下げました。
② 「高級車」のようなユーザー体験(UX)
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アビオニクス: Garminベースの「Perspective Touch+」は、スマートフォンのような操作感を提供。
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インテリア: 航空機特有の「無機質なコックピット」ではなく、高級車のようなレザーシート、エアコン、そして2026年モデルの高速充電ポートなど、快適性へのこだわりが徹底されています。
③ ブランド価値とリセールバリュー
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訓練機としての需要: 現代のハイテク機材に慣れる必要がある航空大学校や大手エアラインの訓練施設が、次々とシーラスを導入しています。
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高い資産価値: 常に最新のアップグレード(塗装やソフト更新)が行われるため、中古市場でも値崩れしにくく、オーナーにとっては「賢い投資」となっています。
結論:2026年、シーラスは「究極のパーソナル・ツール」へ
2026年モデルのSRシリーズは、もはや単なる飛行機ではありません。衛星通信、
Starlink給電、AIによる交通パターン管理など、「空飛ぶコネクテッド・オフィス」へと進化しました。
CEO ジーン・ニールセンの言葉にある通り、「オーナーのミッション(仕事や人生)に歩調を合わせる」姿勢が、競合他社との決定的な差を生んでいます。
究極の安全装置、Safe Return(緊急自動着陸システム)
シーラス社の「Safe Return(緊急自動着陸システム)」は、ガーミン社の「Autoland」
技術をベースに、シーラスの機体特性に合わせて最適化された革新的な安全機能です。
このシステムが具体的にどのように作動し、どのような「思考」を機体が行っているのか、ステップごとに解説します。
システムの起動(アクティベーション)
システムの起動には、「手動」と「自動」の2つのパターンがあります。
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手動起動: パイロットが急病などで操縦不能になった際、同乗者が天井にある「赤い大きなボタン」をワンタッチするだけで起動します。
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自動起動: パイロットが長時間操作を行わず、機体が異常な姿勢(ESPの作動など)を検知し続け、警告に応答しない場合、システムが「パイロットが意識喪失した」と判断して自動的に作動します。
操作ステップ:着陸までの「自動思考」
起動した瞬間、システムは以下のプロセスを数秒以内に完了させ、実行に移ります。
① 最適な空港の選定
システムは機体の現在地、高度、燃料残量に加え、リアルタイムの気象情報(Datalink経由)を解析します。
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基準: 距離だけでなく、風向き、視程、滑走路の長さ、路面状況を考慮して「最も安全に降りられる空港」を瞬時に選び出します。
② 緊急事態の宣言と通信
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トランスポンダ: スコークコードを「7700(緊急事態)」に自動設定。
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無線連絡: 現在の周波数および緊急用周波数(121.5MHz)で、自動音声により「緊急自動着陸を実行中であること」と「現在地・目的地」を管制官と周辺機に放送します。
③ 障害物回避とアプローチ
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地形データ: 内蔵された3D地形データに基づき、山や障害物を回避するルートを生成します。
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自動制御: スロットル、フラップ、スピードブレーキをすべて自動で操作し、最適な速度と高度で滑走路へアプローチします。
④ 着陸と停止
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接地: 滑走路端で自動的にフレア(機首上げ)を行い、接地。
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停止: 自動ブレーキを作動させ、滑走路上で完全に停止します。
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シャットダウン: エンジンを停止させ、乗客に「安全に停止しました。ドアを開けて脱出してください」といった指示を画面と音声で伝えます。
設定されている「安全マージン」と制限
このシステムは「どんな状況でも降りられる」魔法の杖ではなく、確実な生還を期するために厳しい安全基準(マージン)が設定されています。
| 項目 | 設定されている安全マージン / 条件 |
| 滑走路の長さ | 通常、4,000フィート(約1,200m)以上の舗装された滑走路を優先します。 |
| 気象条件 | 激しい雷雨や極端な横風条件では、システムが最適解を見つけるのが困難になる場合がありますが、その時点で「最善」の場所を選びます。 |
| 燃料監視 | 目的地までの燃料が足りない場合は、より近い適切な代替地を再計算します。 |
| 地形クリアランス | 常に周囲の障害物から一定の高度マージン(安全な距離)を保って飛行します。 |
まとめ:究極のバックアップ
Safe Returnの真の価値は、「素人でもボタン一つで機体を地上に戻せる」という点に
あります。これは、従来の「パラシュート(CAPS)」が機体へのダメージを前提とした
緊急避難であるのに対し、「機体を無傷で、かつ滑走路上に降ろす」という、より高度な救済策を提供しています。
豆知識: 2026年現在、このシステムはシーラスだけでなく、一部のハイエンドなビジネスジェット(Vision Jetなど)にも搭載されており、航空安全の新しい標準となりつつあります。



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