トランセンドは、タービンエンジンで再始動

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

電気を使わず従来型のタービンエンジンを使ったVTOLを開発しているヘリコプター製造企

トランセンドを紹介します。あえて電気を使わない理由は?

トランセンド・エア

再設計されたVY 421 VTOL航空機でエアモビリティを再起動

Transcend Vy 400

トランセンド・エアのタービン駆動VTOL機Vy 400の改良版(画像:トランセンド)

トランセンド・エアは、2018年から開発してきたタービン駆動VTOL機Vy 400の改良版に

現在取り組んでいることを確認し、先進エアモビリティ分野へ再始動しています。

新しい双発Vy 421モデルが登場。以前のデザインより 25% 大きくなりました。民間およ

軍事用途を目的としており、最高時速786マイルで1,000マイル強の飛行で8人乗りまた

3,500ポンドの貨物積載量を運ぶことができます。

変わっていないのは、電気推進もハイブリッド電気推進も新しい形式の垂直リフト航空の商

業化への実行可能な道を提供しないという企業の信念です。代わりに、トランセンドのエン

ジニアリング チームは、GE アビエーションの 2,500 馬力 CT7 ~ 8 ターボシャフト エン

ジンとそのチルトウィング アーキテクチャを組み合わせることにより、速度、航続距離、

積載量のパフォーマンスを最大化することを目指しています。追加の垂直揚力は、後部胴体

に取り付けられた 4 つの小型ダクテッド ファンによって提供されます。

ボストンに本拠を置く同社は、Vy 421の実験機と、FAAのパート21.17 (b) 規則に基づく

認定を目指しているバージョンの航空機の予備設計の作業を開始するにあたり、資金調達

を行っています。今年中にVy 400の飛行試験を開始し、2025年に運航開始の準備が整うと

いう以前のスケジュールは、再設計を考慮して修正されました。同社は現在、2025 年の第

3 四半期中に GE エンジンを統合する準備が整うと見込んでいます。

過去 2 年間にわたり、米空軍は4 件の研究開発契約でトランセンドの取り組みを支援して

きました。同社は3つの下位選考段階を通過し、空軍研究所のAfwerx部門が実施する国防総

省の高速VTOLチャレンジの最終候補5社のうちの1社となりました。また、米国海兵隊が実

施している VTOL システムファミリーの情報プロセス要求にも関与しています。評価された

計画には、V-22 ティルトローターやユビキタスな C-130 双発ターボプロップ輸送機などの

航空機を、それぞれ暫定的に V-641 と V-653 と呼ばれるモデルに置き換える、より大型の

設計の可能性が含まれています。

イスラエル航空宇宙産業は軍用VTOLアプリケーションの可能性を開拓する可能性

5月、トランセンドはイスラエル航空宇宙産業と、同社の北米部門と協力してVy 421の軍用

バージョンを開発する覚書を締結しました。イスラエル・エアロスペース・インダストリー

 (Israel Aerospace Industries, IAI) は、防衛および国土安全保障用途向けの幅広い製品

ポートフォリオを持っています。また、航空機の改造やガルフストリーム向けの超中型ビジ

ネスジェットG280やロッキード・マーティンのF-35戦闘機用翼の製造でも豊富な経験を持っ

ています。

トランセンドは、Vy 421が、既存航空機の競争力のない運航コストと主要空港の混雑によっ

て現在運行困難と考えている地域航空サービスの範囲を変えると見ています。また、ティル

トウィングは今日のヘリコプターよりもはるかに多くのものを民間航空顧客に提供できると

考えており、1マイルあたりまたは1往復あたりのコストは約半分になると予測しています。

「Vy 421は、ビジネス用およびプライベート用の時代遅れの双発エグゼクティブヘリコプタ

ーを作ります」とトランセンドの最高執行責任者(COO)兼共同創設者のピーター・シュミ

ット氏はAINに語りました。「速度は 3 倍、航続距離は 2 倍で、立ち乗りキャビンと、密閉

された完全なトイレと調理室、および密閉されたコックピットの両方のためのスペースがあり

さらに安全性を高めるための機体全体のパラシュートを備えているため、はるかに広々とし

ています。ヘリコプターの多用途性とライトジェットの快適性とパフォーマンスを兼ね備えて

います。」

トランセンドは、Vy 421の商業用途の最前線に立ち、航空機を販売し、同社がパート135の

通勤航空地域交通(ART)サービスと呼ぶものの下で運航する計画。シュミット氏は、エク

リプス超軽量ジェット機を保有するチャーター航空会社リニア・エアの社長を務めていまし

たが、同社はVy 421が型式証明を取得する約1年前にパート135の運用を取得するつもりだ

と述べました。「設計とソフトウェアの重要な知的財産を所有することで、当社はARTの独

占権を維持しますが、他の航空会社に同航空機による不定期チャーター便の運航を許可する

予定です」と同氏は説明しました。

シュミット氏は、最高経営責任者(CEO)のグレゴリー・ブリュエル氏とともに、フルタイ

ム従業員12名を含む45名のチームを率いてVy 421に取り組んでいます。その中には、ゼネ

ラル・アトミックス社やアンペア社などの企業での経歴を持つエンジニアリング担当副社長

のジェフ・スピッツァー氏も含まれています。

ブリュエル氏は、Vy 421は着陸地点への急進進入飛行と垂直離陸からの素早い加速能力によ

り、ニューヨーク州ロングアイランド先端のイーストハンプトンなどで高まるヘリコプター

に対する地域社会の反対を回避できると語りました。同氏は、eVTOL航空機は実際には開発

者らが主張するほど静かではないと主張し、最大離陸重量での実際の騒音レベルについては

まだ明らかにしていません。トランセンドはまた、自社の航空機が緊急医療支援プラットフ

ォームとして機能すると考えています。

EVTOL の規制要件を満たしていない可能性が?

 この改良はトランセンドにとって争点となっており、この分野の新興企業は航空分野で利用

可能な新たな民間投資の大部分を占めています。しかし、ブリュエル氏は、電気航空機に関

しては科学と経済学がまだ一致していないと主張。「物理学とエネルギー密度は変わってい

ない」と同氏は語っており、バッテリー電気推進の航続限界は依然として不十分であり、予

想されるエアタクシーのビジネスモデルは同氏が感じているような規模では採算が取れない

と主張しています。

「しかし、eVTOLへの投資は、規制当局が認証を取得するために何を達成する必要があるか

に重点を置くようになったという点で、戦略的に価値がある」とブリュエル氏は付け加えま

した。そして同氏は、eVTOLの先駆者たちが現在、規制要件の全範囲が決着するにつれ、商

用サービスと投資収益率が正念場を迎えようとしていると支援者に保証していると信じてい

ると主張しています。

FAAは、パワーリフト航空機の「代替適格要件」を規定する特別連邦航空規則(SFAR)を詳

述する規則制定案の通知の中で、昼間の飛行では30分間のパワーリザーブを主張し、夜間で

は45分間に延長することを発表しています。トランセンドの見解では、これらの要件により、

開発中のほとんどの eVTOL 車両は商業的に実行可能な航続距離が不十分になると考えられ

ます。同社はまた、SFARが二重飛行制御に固執することで、一部のライバルは振り出しに戻

されるだろうと主張しています。

「私たちは(eVTOL開発者に)関与している投資家についてはよく知っていますが、私たち

が目にしているのは、人々がリターンを待って燃え尽きているということです」とブリュエル

氏は述べました。「航空に精通しており、今のところは静観している人たちもいます。また、

ファミリーオフィスの資金や戦略的投資家からの投資の可能性も検討しています。」

Vy 421 は主に現在入手可能な既製の機器から派生するため、ティルトウィング アーキテクチ

ャの承認を得る必要があることを考慮しても、トランセンドは型式証明への道は明確であると

主張しています。

「電気航空は間違った方向への一歩であり、使用されるエネルギー源が真に再生可能であり、

電力が最適ではない場所で電力を使用しようとしている場合にのみ有効です」とブリュエル

氏はコメントしました。「そして、彼ら(eVTOL)は、望む場所に着陸し、(高層ビルの)

都市の谷間を飛行してそこに到達することができるだけではありません。」

依然として化石燃料に大きく依存しているVy 421のタービンエンジンの使用は、航空業界が

法的拘束力のあるネットゼロ炭素公約に向けて歩みを加速する必要があると感じている人々

を動揺させるかもしれません。しかし、トランセンドの計画では、CT-7エンジンが持続可能

な航空燃料に移行できるようにすることが求められており、空気中の二酸化炭素を液体ジェ

ット燃料に変換する計画を考案しているプロメテウス・フューエルズという会社と提携して

います。

トランセンドの創設者らは、AMM分野で自社が最初に市場に投入されるわけではないことを

ずっと前から認めていました。彼らは、異なるドラムのビートに合わせて行進することで、

航空モビリティの再構築にさらに永続的な影響を与える可能性があるという信念に慰めを得

ています。

 Vy 400 は、より早く、低価格で

Vy 400 は、空港渋滞なしでミッドタウンからミッドタウンまで高速輸送を実現する VTOL

を実現しました。その性能は

パイロット1名、乗客4~5名。ペイロードは2,200ポンド(1,000kg)

巡航速度は405マイル/h(650km/h)、航続距離は最大450マイル(725km)

2,500馬力のGE Aviation CT7-8ターボシャフトエンジンをベースにした推進システムを搭

載したティルトローター。

なぜ電動(バッテリー)を使用しないのですか?

航空機の動力に使用されるバッテリーは、私たちが必要とするエネルギーの約 5% しか供給

できません。短距離をゆっくり行きたい場合は大丈夫かもしれません。中距離を速く行かなけ

ればなりません!これにより、移動時間を 80% 節約できます。

なぜこれがヘリコプターよりも優れているのでしょうか?

このVy 400の VTOL 航空機はヘリコプターよりもはるかに効率的です。運用コストが安くな

り、騒音も少なくなり、ジェット機のように飛行するように移行するため、はるかに高速にな

ります。

トランセンドの Vy 421 ティルトウィング航空機

Vy 400 VTOL 航空機は、軍用にも使われています(画像:トランセンド)

トランセンドは、Vy 421 航空機が量産に達した時点で、同航空機を製造するつもりはありま
せん。2021年、カマン・エアロスペースがヘリコプター製造の専門知識を活用して、フロリ
ダ州ジャクソンビルの自社施設で航空機を生産することで合意に達しています。

まとめ

新たに発行予定のFAAの規程によりますと、従来の航空機と同じ様に予備の燃料(電源)

を30~45分搭載しなければなりません。この規程は、eVTOLにははっきり言って意味が

ありません。そういうことでいうとトランセンドのタービン駆動VTOL機は有効です。

しかし、騒音問題を避けて通ることはできません。

トランセンドの主張が、資本家に受け入れられるかどうかは未定です。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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