皆さんこんにちは!
eVTOLのボロコプターは、2024年に破綻し、その後中国企業に買収されました。
2026年は新生ボロコプターとしてLSA(Light Sports Aircraft:軽スポーツ航空機)としての道を目指しています。
軽スポーツeVTOL機の承認を目指す
ボロシティモデルの型式認証を申請中

ボロコプター社は、今年後半にEASA(欧州航空安全局)の軽スポーツ機カテゴリーで
VoloXPro eVTOLの規制当局による承認を取得できる見込みです。同社は、2人乗りの
ボロシティ機の完全な型式認証取得を目指しつつ、eVTOL設計の「スリム化」バージョンを市場に投入することを目指しています。
ボロシティプログラムは2024年後半の倒産の危機により遅れており、同社は2025年3月
にオーストリアに拠点を置くダイヤモンドエアクラフトの中国親会社に買収された後、
軌道修正を図っています。昨年末、新たなオーナーは 既存のボロコプター体制の欠陥を認め、事業の再構築を模索してきたのです。
ダイアモンド・エアクラフト社のCEO、デビッド・ボーセック氏は対し、ボロコプターの
破産手続きの結果、「当社が介入の入札者であった場合よりも、再建と再構築を行う上で有利な立場に立つ 」と語りました。
ボーセック氏は、今後15年から20年の間に、小規模空港における垂直離着陸場の普及が
一般航空セクターに変革をもたらし、ダイヤモンド社の製品ラインナップにプラスの相乗
効果をもたらすと予測。「ダイヤモンド社の[固定翼]航空機のラインナップとボロコプター
社の[垂直離陸機能]を一つの製品に統合し、基本的にすべてを融合させることができます。」
しかし、当面は「私たちの考えは非常に明確です。プロジェクトを完成させることです」
とバウセック氏は明言しました。ドイツ南西部のブルシャルに統合されたチームを擁する
ボロコプターは、垂直統合型のアプローチが製品の将来的な進化にも不可欠だと考えています。
「独立した組織として能力を発揮できるようにするのが私たちの考えです」とバウセック氏
は説明し、新しい子会社はダイアモンドの「すべての人に航空を届ける」という理念に尽力すると付け加えました。
VoloXPro: 再設計された2X
この野心の中心となるのは、ボロコプターのVolo XProです。これは、同社の2人乗り
eVTOLコンセプトであるVolo 2Xの進化形です。オーナーオペレーター型一般航空市場に
おける軽量スポーツ機(または「超軽量機」)セグメントをターゲットとし、最大離陸重量
は600キログラム(1,323ポンド)と、このカテゴリーの重量制限の上限に達します。
XProはマルチコプターの18ローターアーキテクチャを継承していますが、主な違いは、
商用認証に必要な同等レベルの冗長性を備える必要がないことです。
しかし、ボロコプターは、自社のeVTOL機が最大3回のローターモーター故障でも飛行を
継続できると確信しています。2Xの60ボルト電気システムは、XProでは300~400ボルト
にアップグレードされました。ボーセック氏はこの変更について、「安全性が向上し、
効率面でもより魅力的なものになる」と述べています。重要なのは、2Xと商用機の共通化
により、商用機は「生産量の増加と型式認証取得期間の短縮」が可能になると同時に
2Xに「(EASAの)CS-23またはCS-25機と同等の堅牢性」がもたらされる点です。
XProの実験室試験は約60~70%完了しており、ボロコプターは地元当局と共同で、乗客を
乗せたデモ飛行を可能にするためのサンドボックス試験も開始しています。受注は2026年
半ばに開始され、価格は約50万ユーロ(58万5000ドル:9200万円)です。
ボロコプターは、フルモーション複合現実シミュレーターを用いた約2~3時間の転換訓練
を計画しています。国内規制当局の承認後、中国の許可も同時に取得し、ボロコプター
は2026年半ばからFAAのMOSAICフレームワークに基づく手続きを開始する予定です。
200万ユーロ(234万ドル)の2人乗りボロシティ(最大離陸重量1,050キログラム、
3,300ポンド)の開発も並行して進められています。ボロコプターはEASAのSC-VTOL
カテゴリーでの認証取得を目指しており、理想的には今年中に取得を目指していますが
2027年までずれ込む可能性もあります。現在、試験機による操縦性試験が進行中で、
来夏と来冬にそれぞれ高温時と低温時の性能試験が行われる予定です。
ボロコプターは、今年の第4四半期から、ベータテストと必要な150時間の飛行時間確保
のため、さらに2機の試験機を導入する予定です。現在組立中のこれらの機体は、型式
適合試験に完全準拠した最初の試作機となる予定です。
欧州航空安全庁(EASA)が策定したSC-VTOL(Special Condition for VTOL)は、垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶクルマ)のための専用の安全基準です。
空飛ぶクルマの「免許証」:EASA SC-VTOLと日本の空の絶妙な距離感
「空飛ぶクルマ」がいよいよ現実味を帯びてきましたが、そこで必ずと言っていいほど
セットで語られるのが「EASA SC-VTOL」という呪文のような言葉です。
今回は、この欧州基準がどれほど絶対的なのか、そして日本の航空局(JCAB)との違い
や、私たちが空飛ぶタクシーに飛び乗るための「ハードルの高さ」について、本音で解説します。
EASA SC-VTOLは「欧州の絶対ルール」なのか?
結論から言うと、欧州で商用飛行をしたいなら、避けては通れない「絶対的な基準」です。
欧州航空安全庁(EASA)が策定したこの基準は、型式証明(機体の設計が安全であると
いう証明)を取得するためのベースとなります。これに合格しない機体は、欧州の空で
ビジネスを行うことはおろか、標準的な耐空証明を得ることもできません。
いわば、「この試験に受からないと、公道(空)を走る許可は出さないよ」という厳格な試験問題集のようなものです。
EASA基準 vs 日本のJCAB基準:何が違う?
日本で空を管理する国土交通省航空局(JCAB)も、黙って見ているわけではありま
せん。しかし、日本と欧州で「全く別の正解」があるわけでもありません。
| 項目 | EASA (SC-VTOL) | 日本 (JCAB) |
| スタンス | 世界に先駆けてVTOL専用の基準を確立。 | 既存の基準(AIM Part II等)をベースにしつつ、国際整合性を重視。 |
| カテゴリー | Basic(過疎地・貨物)とEnhanced(都市・旅客)の2段構え。 | EASAの「Enhanced」に相当する厳しい安全性を、旅客輸送に求めている。 |
| 協力体制 | FAA(米)やJCABとも協議し、基準の共通化を模索。 | 日本の空飛ぶクルマ(SkyDrive等)の審査において、EASA基準も参考にしている。 |
要するに:
日本独自のガラパゴスな基準を作っているのではなく、「世界中のどこでも売れるように、
欧州やアメリカと足並みを揃えよう」というのがJCABの現在の立ち位置です。
3. 日本で空飛ぶクルマが飛ぶための「ハードル」は高い?
正直に言いましょう。めちゃくちゃ高いです。 技術的な進歩は凄まじいですが、クリアすべき壁は「機体の性能」だけではありません。
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「10億分の1」の壁: 都市部を飛ぶ「Enhanced」カテゴリーでは、致命的な事故の確率を $10^{-9}$ (10億飛行時間に1回以下)に抑える必要があります。これはボーイング787のような大型旅客機と同等の安全性を、この新しい乗り物に求めているということです。
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法律の壁: 現在の日本の航空法には、まだ「空飛ぶクルマ」という定義すら明確にはありません。パイロットの免許はどうするのか、自動運転なら誰が責任を負うのか、法整備が急ピッチで進められています。
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社会の壁: 「家の真上を飛んでうるさくないか?」「落ちてこないか?」という騒音やプライバシー、安全面での住民理解(社会的受容性)が最大の難所かもしれません。
結論:ハードルが高いからこそ、私たちは「安心して」乗れる
ハードルが高いということは、それだけ「安全が担保されている」ということでもあります。
EASAのSC-VTOLという厳しい世界基準があるおかげで、日本で開発されている機体も、
世界レベルの安全性を目指さざるを得ません。2025年の万博、そしてその先の日常へ向け
て、私たちは「空のタクシー」という新しい移動手段を、命を預けられる信頼できる乗り物として迎え入れようとしているのです。



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