皆さんこんにちは!
先週ロンドンで開催された Helicopter Investor 会議で演説した回転翼航空機業界
のリーダーたちは、新興の高度なエア モビリティ セクターの見通しについてある程
度の楽観論を表明しました。それは、大手のヘリコプター企業がこぞってVTOL航空
機の事業に参入しているからに他なりません。
Bristowの戦略
Bristowの野心
世界的なヘリコプター グループ Bristow は、事業を多様化するという野心を抱い
ていましたが、現在、高度なエア モビリティ (AAM) 部門の主要なプレーヤーにな
るための第一歩を踏み出しています。ライバルである Era との合併など経営が強化
されました。
Bristow は eVTOL 航空機が一部のヘリコプターに取って代わる可能性があると
想定しており、特に改良されたバッテリー技術が航続距離を伸ばしていることを理
解しています。 場合によっては既存の回転翼航空機の直接の代替品として、コスト
効率が大きく変化する可能性があることです。ヘリコプターは、製造、購入、運用、
維持に非常に費用がかかります。既存の顧客ベースがこれらの新しい車両を既存の
ニーズに合わせて、おそらく別の方法で使用することは自然な流れだと思います。
回転翼航空機の運用で 70 年以上の経験を持つ Bristow は、ビジネス モデルの多様
化を目指しています。世界中の複数の国に AOC があるため、このグループは、ロジ
スティクス フライト、貨物配送、捜索救助任務など、新しい AAM アプリケーション
を追求するのに適した立場にあると考えています。同社はまた、航空機のメンテナン
スや乗務員のトレーニングなどのサービスで、複数の eVTOL メーカーやその他のオ
ペレーターをサポートしたいと考えています。
Eve 、Vertical Aerospace とのパートナーシップ
Bristow は2021年9月に、Eve Urban Air Mobility Solutions とのパートナー
シップを発表しました。了解覚書 (MoU) の下で、Bristow はエンブラエル(ブラジ
ルの航空会社)の子会社と協力して、Eve の 4 人乗り eVTOL 航空機の航空事業者
の証明書 (AOC) を作成し、2026年に新しいモデルを 100 台購入することを約束し
ました。
Bristow は8月に、最大 200 機の電気航空機を購入する暫定的な約束をしており、
場合によっては現在保有している回転翼航空機に取って代わります。8 月 26 日に
は Electra Aero の eSTOL モデルを 50 機採用することに合意し、9 月 21 日には、
Eve 航空機と直接競合する、Vertical Aerospace の VA-X4 eVTOL モデルを 50 機
採用することを約束しました。
Vertical Aerospace の VA-X4 eVTOL モデル
Overair のバタフライとコラボレーション
カリフォルニアに本拠を置く新興企業Overair航空機メーカーとのコラボレーション
を開始しました。Bristowは、2025 年に FAA の型式認証を完了する予定のモデル
である Overair のバタフライ eVTOL 航空機を 20 から 50 機の間で「事前注文」
しました。
Overair のバタフライ eVTOL 航空機
Bristow はOverairに、車両設計の考慮事項、主要な性能パラメーター、飛行計画のベ
スト プラクティス、飛行運用データの共有、ヘルス モニタリング戦略、構成とメンテ
ナンスのプロトコル、インフラストラクチャ、そして地上支援作戦。また、eVTOLの
商用運用開始の促進にも貢献します。
Lilium Jets のサポートを提供
ドイツを拠点とする Lilium Jets との拘束力のない覚書に基づき、Bristow は、フロ
リダで予定されている同社の定期便ネットワークに配備された Lilium Jets の保守サ
ポートを提供します。Bristowは、他の米国およびヨーロッパ市場でも eVTOL 旅客
サービスのサポートを提供します。
Lilium は、2025 年に EASA の型式認証を取得する予定です。開発中の Lilium Jet
は、155 マイル(250km)の範囲で最大 時速280km の速度で飛行します。Lilium
は、10 から 15 席に対応するバージョンの設計を拡大できると考えています。
Lilium Jets 日本のDENSOも参画
7-Seater Lilium Jetは全長8.5m、翼幅13.9m、の電動垂直離着陸機(eVTOL)。
乗員1人乗客6人の合計7人乗りで、巡航高度3000mを時速280kmで飛行可能。
Elroy Air の Chaparral を100機先行発注
物流の面でもBristow は、サンフランシスコを拠点とする Elroy Air と自律型航空
貨物航空機を追加することを約束しました。Chaparralハイブリッド電気 VTOL 航
空機を 100 機購入。
Chaparral は、最大 500 ポンド (226 キログラム) の貨物を 300 マイル (482 キロ)
の範囲で運ぶように設計されています。自律的に飛行するように作られていますが、
必要に応じて、地元の航空当局に準拠するために遠隔操縦することもできます。
その設計は、巡航飛行用に 8 つの垂直リフト ローターと 4 つの前向きプロペラを備
えた高翼を特徴としています。
ヘリコプターと無人航空機システム (UAS) オペレーターの両方としての専門知識を
活用して、ロジスティクス、ヘルスケア、エネルギー用途の時間に敏感な貨物の移動
に対する高まる需要を満たすために、Elroy Air Chaparral 航空機を使用する予定です。
Elroy Air はすでにFedExと協力して、仕分け場所間で貨物を移動するための Chaparral
自動航空貨物システムのテストを開始しています。FedEx は 2023 年に Chaparral と
の飛行試験を開始する予定です。Elroy はまた、商業、軍事、および人道的活動のため
にいくつかの見込み顧客と契約を結んでいると発表しています。
Chaparral 航空機の初期のプロトタイプは 2019 年に最初のテスト飛行を行い、同社は
2021年後半に米国空軍で本格的な試験飛行を行いました。
Elroy Air は、2023 年に FAA の 型式認証を取得することを目指しています。
Elroy AirのChaparralハイブリッド電気 VTOL 航空機
Lobo Leasing
Lobo はアイルランドのダブリンに本社を置き、世界中にオフィスを持つフルサービス
の航空機リース会社です。
Pipistrel が計画している Nuuva 自動貨物航空機の頭金をすでに支払っています。
英国を拠点とするグループの CEO であるダン ロバーツ氏は、Nuuvas を事業者にリース
または転売する目的で、Textron eAviation 社にさらに支払いを行う用意があると述べま
した。
スロベニアの軽飛行機メーカー、pipistrel社が開発を進めている自律型貨物hVTOL
(ハイブリッド電気垂直離着陸)航空機「Nuuva V300」が、ヘリコプターのリース
サービスを展開するロボ・リースより15機の受注を2022年4月に獲得しました。
「Nuuva V300」は3立方メートルの容量を持つ無人航空機で、前後に同程度の大きさ
のものを2対備えた「タンデム翼」の翼構成などを特徴とします。機体のサイズは全長
11.3m、全幅13.2m。最大460kgの貨物を搭せることができ、時速220kmのスピード
で飛行できます。
またeVTOLの名のとおり、離着陸には型式証明済みの8基の電気エンジンを使って垂直
離着陸に対応。滑走路も必要としません。操縦は地上から遠隔操作で実施する自律飛行
を採用しているとのこと。pipistrel社は「ヘリコプターの10分の1のコストで運用でき
る」とアピールしています。
イベントのハイライトSkyBus
Helicopter Investor イベントのハイライトの 1 つは、最大 40 人の乗客または 9,900
ポンドの貨物を運ぶハイブリッド駆動の eVTOL の衝撃的な計画の発表でした。
ヨーロッパの新興企業であるLyte Aviationは、 今後 24 か月以内にタンデム チルト
ウィング SkyBus の本格的なプロトタイプを構築し、2030 年までにサービスを開始
すると述べました。
Lyte Aviationは40席のSkybusでeVTOL市場を混乱に陥れる(2023年3月24日記事)
日本のAirX、中国EHangを販売
先週の3月21日(祝)と22日の2日間にわたって、Gメッセ群馬で開催された
ぐんまデジタルランドで、日本のヘリコプター企業AirXがEH-216Sを展示しま
した。
AirXは、日本でEH-216SとEH-216L(カーゴタイプ)の注文、販売を行っています。
EH-216S
EH-216Sは、今年1月と2月に岡山と大分でも実証実験を行っています。
AirXは、岡山の一般社団法人MASCへEH-216Sを日本で初めて納入したと発表しました。
MASCの詳しい説明は、次の記事から。
大阪万博に名乗りを上げる、MASC(2023年2月28日記事)
まとめ
今回の記事からおわかりの通り、ヘリコプター企業の中には積極的にeVTOLへ
舵を切っているところがあります。今後、すぐにヘリコプターが無くなってしま
うかといえば、けっしてそうではありません。まだまだ、ヘリコプターの需要は
あります。理由として、eVTOL(AAM)ではまだ運べる重量が少ないからです。
Lyte AviationのSkybusのような大型のVTOL航空機ができない限りは、併用と
いう形をとらざるを得ません。ただ、技術が発達してeVTOLの数が増えてきた
場合には、コストや騒音、環境を考えると衰退することは目に見えています。
それは近い未来かもしれません。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
コメント