皆さんこんにちは!
前回の投稿で、少しはLSAについて興味を持っていただけたら幸いです。
今回は、世界のLSA最新情報と世界を代表する企業を紹介します。
アイコンA5・水陸両用LSA
水陸両用のLSA・ アイコンA5
仕様
座席数:
2
最大離陸重量:
1510ポンド~1570ポンド (686.4 kg)
有効荷重:
430ポンド~490ポンド (195 kg) (推定)
手荷物(最大):
60ポンド(27.2 kg)
燃料:
91オクタンオートまたは100LL航空用
最高速度(Vh):
95 KCAS(109 mph)(176 km/h)
航続距離:
427nm (予備航続距離45分)
離陸距離
滑走路640フィート / 水面840フィート
着陸距離
滑走路 590 フィート / 水面 700 フィート
エンジン:
ロータックス912(100馬力)
折りたためる翼
アイコンA5は、翼をたたむことができます。そのためトレーラーなどで海や湖まで移動が可能です。
オプション、自動操縦
Garminの最先端インターフェースが、アイコン A5に搭載されました。オプションの2軸
オートパイロットを搭載したG3X Touch™ディスプレイは、アイコン A5に状況認識機能と高度な操作性をもたらします。
ガーミンG3X オートパイロット

アイコンA5を制作しているアイコンエアクラフト社は、2024年4月にアメリカの民事再生法を申請していました。
そして中国の企業が買収を行い、メキシコのティファナに複合材工場、カリフォルニア州ヴァカビルに最終組立工場を建設しました。
ライトスポーツ・アイコン A5を操縦するには、スポーツパイロットライセンス(SPL)が必要です。
スポーツパイロットライセンスの取得には約4週間かかります。既にスポーツパイロット以上
の資格を持っている人はその期間も短縮されます。
世界2位、カブエアクラフト
カブエアクラフトのベストセラー機、Xカブ
世界第2位の売り上げを誇るのが、カブエアクラフト。特徴的なその機体は、大きなタイヤや尾輪式のLSAです。
離着陸距離が極端に短く、郊外の山岳地や自然豊かな湖の畔などその多様性は無限大です。
カブクラフターズは35年にわたり、ブッシュフライトと空港外飛行性能で伝説的なパイパー
・スーパーカブのクラシックモデルを進化させてきました。当社のエンジニアリングはSTOL
(短距離離着陸)性能をさらに向上させるだけでなく、スーパーカブ・プラットフォームの
独自性を支えるあらゆる側面の改良にも注力してきました。その結果、バックカントリー飛行
向けに設計・開発された、現代的なアドベンチャー機のシリーズが誕生しました。パイロ
ットはSTOL性能だけでなく、卓越した飛行特性、比類なき快適性とエルゴノミクス、比類なき航続距離、そしてクラスをリードする実用性も享受できます。
また自作機として多くの愛好家に親しまれ、飛行機を作って飛ばせる魅力にはまっています。

この動画は、UAEのドバイのブルジュアルアラブのヘリポートへの離着陸するものです。
ドバイのブルジュアルアラブ ホテル。右上に飛び出しているのがヘリポート
最低Ⅰ泊、一人7万円以上で2万円の朝食付きも選べる、比較的ドバイでは安価なホテルです。
日本でもこのカブを所有している企業があります。
NISEKO AVIATION(ニセコ アビエーション)という会社が2018年に購入
していたのです。ニセコ アビエーションは2017年に北海道ニセコに、北海道にジェ
ネラルアビエーションを根付かせ、発展させることを目標に設立されました。
2018年3月に、エックスカブの型式証明を取得しました。

世界中に大人気なウクライナ製LSA
実は、ウクライナやチェコ共和国など旧東ヨーロッパ(共産圏)の国々は小型機の開発/製造が盛んな国々です。
元々自動車産業が盛んだったこともあり、自動車や航空機部品などの製造に関わる企業も多くありました。
2度の世界大戦により、航空機生産が主力となっていきました。中にはBMW社のように戦後航空から自動車に移った企業もあります。
そして、ベルリンの壁が崩壊後、資本主義社会になってもその確固たる技術は新たな小型機を次々と生み出しているのです。
ウクライナのアエロプラクト社です。かつては小型機部門で世界第2位の売り上げを誇った実績があります。
アエロプラクトは小型二席飛行機の企画・製造・販売を行っています。現在は小型飛行機
製造社のTOP3に入っており、多くを韓国や台湾等、世界中の40ヵ国に輸出をしています。
アエロプラクトの始まりは1978年です。当時、サマラにてハルキウ出身ワシール・ミロシニ
クが航空クラブを設立、そこで製造ではなく、主に展覧会や航空クラブ会が行っていました。
そのクラブの参加者の一人が後のチーフデザインエンジニアのユリー・ヤコウレウでした。
アエロプラクトのチーフデザインエンジニアのユリー・ヤコウレウは子供時代から飛行機に
興味を持ち、17歳になった時、サマラ国立航空大学に入学したことで、飛行機の世界に入り
ました。三年生の時、自分の飛行機の製造を試みたのです。それで、1984-85年にソ連で初
めてのジョイスティック制御システムの「アエロプラクト8号」小型飛行機ができました。
1985年にヤコウレウがキーウに引越ししてアントノウ社に勤め始めました。それと同時に
アエロプラクトのキーウ支店を開きっました。昼にアントノウ社に大型飛行機を企画し、
夜にアエロプラクトに小型飛行機を企画しました。1991年にヤコウレウはアントノウ社を
辞め、3百万ルーブルの投資を貰い、いくつかのモデルの飛行機を製造し、ハンガリーに売ったという初めての企業の経験でした。
1995年にUAEの市場に進出。UAEから貰った投資で新しい製造所を買い、整備もアメリカ製に改新しました。
小型飛行機の販売した数にアエロプラクトは世界で二位となりました。「アエロプラクト
22号」が一番人気モデルで、アメリカからニュージーランドやフィジーにかけて849台が売
られました。ヤコウレウは製造をできるだけ効率よくと節約的にしたいだ。この二つの原則
を材料(全体金属)にも構造にも影響を及ぼして、アエロプラクトの飛行機は信頼性が高く、
安定かつ節約的です。ライバル会社の飛行機が€10万(1,600万円)から値段付けている
ことに対して、アエロプラクトの飛行機は€4,5万(7,000万円)からになっています。
金属は折れる前に力を吸収し、事故の際に乗員の安全性を高まり、そして、金属は、コンポ
ジットと違って、紫外線、高温、その他の天候の影響によって引き起こされる構造変化の影響
を受けません。アエロプラクトが製造に使っている金属は航空用アルミニウムのみだからで
す。それに、離陸距離も着陸距離も短いことおかげで、滑走路が短くても使えるのが特徴です。
航空用アルミニウムの構造を持つ丈夫な機体
一番人気のモデルであるA22号が小型飛行機のなかで一番広いキャビンを持っています。三人の人が余裕のある程のスペースがあり、荷物を運ぶのに役に立つのです。
また、アエロプラクトの小型飛行機はアメリカ、ドイツ、チェコ、スペイン、イギリスの証明証を持っています。
しかし残念な事に、この優れた性能は戦争の兵器として使われることとなったのです。

訓練機に特化したピピストレイル
スロベニアを拠点とするピピストレイル社。ハンググライダー製造会社から、世界有数の航空
当局から認められる世界的に有名な小型航空機メーカーへと成長しました。
革新的なアイデアにより、ピピストレル社はマイクロライト機および軽スポーツ機への複合
材の導入、2人乗りおよび4人乗り機の初の電動飛行の実現、NASAの3つのチャレンジすべ
てでの優勝など、世界中の熱狂的なパイロットの心を掴みました。
2022年4月、ピピストレル社はテキストロン Inc.(NYSE: TXT)の事業部門であるテキストロン eAviationの傘下となりました。
訓練機に特化したLSA アルファートレーナー
性能
馬力:80馬力(Rotax 912 UL)
最高速度:104 ノット(192km/h)
最大高度:18,000フィート(5500m)
最大範囲:324 nm(521km)
有効荷重:529ポンド(240キログラム)
その燃費は1時間あたり11リットル。飛行時間に関しては予備燃料30分(法的に決まっている)を除き、約3時間20分飛行ができます。
訓練科目の場周経路でのタッチ&ゴー(離着陸訓練)1日中できということで。やりたくはないですが。
燃費や整備メンテナンスの安さなどコストパフォーマンスは最高です。飛行訓練には持って来いのLSAなのです。
また完全電動式航空機も開発しており、将来的にこちらが主流となると思います。
世界初の電動機型LSA・ヴェリスエレクトロ
航空機の運用および訓練での使用を検討するために、米空軍のAgility Primeプログラムのためにリースされる予定です。

テキストロンのeAviation部門の社長兼CEOであるクリヤ・ショート氏は、次のようにコメントしています。
AFWERXとMTSIがヴェリスエレクトロを選択したことは、ピピストレイルへの強力な支持
であり、この分野の新興技術に対する一流組織による受け入れの拡大です。これは、持続可能
な飛行への旅路における重要なマイルストーンであり、ヴェリスエレクトロが保有機となる
Agility Primeプログラムをサポートできることを誇りに思います。
ヴェリスエレクトロは、飛行訓練のための費用対効果が高く、持続可能なオプションです。
ピピストレイル社内で開発された成熟した電気エンジン設計により、ヴェリスエレクトロは
より持続可能なパイロット訓練やその他の任務を遂行する上で業界をリードしています。
最も環境に優しく代替推進力のパイオニアであるピピストレイルは、世界初の型式証明を取得
した電動機であり、世界30カ国以上でVFRのパイロット訓練用として認可されています。
直感的なパワートレインと人間工学に基づいた優れた操作性が標準装備されています。
騒音レベルはわずか60dBaと、機内・機外ともに超静音のため、騒音に敏感な都市部での
飛行を可能にしています。持続可能なフライトにおける革命であり、操作の容易さにおけるゲームチェンジャーだとしているのです。
このことは、都市に近い飛行場においても昼夜の飛行訓練が可能だと言うことを示唆しています。(LSAは夜間は飛行できません)
巡航速度は約90ノット(166km/h)
最高高度は12000フィート(3660m)
気になるバッテリー時間は約50分です。(VFRのリザーブ時間30分を除く)
洗練されたコックピット。操縦もとてもシンプル
同様に場周経路でのタッチ&ゴー訓練にはちょうど良い時間でしょう。これからバッテリーの性能が上がってくれば航法訓練も可能になるでしょう。
まとめ
今回は、私の『推し』である4つのLSAを紹介しました。世界中にはまだまだ多くのLSAがあります。
そしてそれらは、現状に留まることなく日々進化を遂げているのです。
多くの人々に、大空の楽しさを教え、若者の訓練のツールとして将来に希望を与えるものとして世界中で活躍しているLSA。
なぜ、日本では誰にも知られていないのでしょうか?
そして、日本にそもそもLSAは必要なのでしょうか?LSAは日本の航空業界の起爆剤になるのか?
次回は、日本のLSAに立ちはだかる大きな壁とは?日本に最適なLSAとは?
日本のLSAの未来を占っていきます。
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