空飛ぶクルマ構造編・モーター

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

空飛ぶクルマ構造編、今回はモーターについてです。モーターは、バッテリーからの

電力を利用してプロペラ(ファン)を回す装置です。

モーターの性能が、推進力を決めてしまいます。

今回は、そのモーターを解説していきます。

電動モーター

電気モーター(電動モーター)は、私たちが日常使っている家電製品に多く使用され

ています。例えば、冷蔵庫や石油ファンストーブ、洗濯機、掃除機などです。

それではその電気モーターの原理を見ていきましょう。

モーターの仕組み

モーターとは、電気エネルギー(電圧×電流)を機械エネルギー(回転力×回転速度)

に変換する機器の総称です。

モーターと乾電池

皆さんは砂鉄やクギを磁石にくっつけて遊んだことはありませんか?

これらを「永久磁石」といいます。

永久磁石

また磁石にはN極とS極があり、N極とS極は引き合おうとし同じ極は互いにしりぞけ

合おうとします。

N極とS極 ちがう極どうしは 引き合う 同じ極どうしは しりぞけ合う

鉄しんにコイルを巻いて電流を流すと磁石となります。

これを「電磁石」といい、電流の流れているときだけ磁石になります。

電磁石にもN極とS極があり、モーターはこの磁石の引き合う力、しりぞけ合おうとする

力を上手く利用しているのです。

電磁石の性質 1. 電気がなければ、磁石にならない。 2. 電流が流れる方向を逆にすることで、N極とS極を入れかえることができる。

棒をつけ中心でくるくると回るようにした電磁石(ローター)を真ん中に置きます。

これでモーターと同じ構造になります。

ローター

この状態で電池をつけるとS極とN極が引き合い、同じ極同士が反発して時計回りに動

きます。しかし、90度動いたところで、磁石の引き合う力によりしっかりと止まって

しまいます。そこで90度まで回る手前で電流を切ってみると電磁石でなくなり、いき

おいにのってしばらく動きます。そして A の位置を通り過ぎた瞬間、上半分は常にN極

に、下半分は常にS極になるように電流の向きをタイミングよく切り替えればモーター

が回り続けるのです。

モーターが回り続ける

しかし、切れ目のところで電流が切れたとき、いきおいを失って止まってしまうことは

ないのでしょうか。

実は本物のローターは図のように3つに分かれており、まったく電流が流れない時はなく

上半分がN極、下半分がS極に保たれるため、確実に常に回転し続けることができるのです。

確実に常に回転し続ける

マブチモーター株式会社 マブチモーターのKidsサイトより引用

電気モーターの種類

モーターは、「直流モーター」、「同期モーター」、「誘導モーター」の3つに大別

されます。

1.直流モーター

直流モーターは、直流電源を動力源とし、固定された磁場(N・S極の磁界がある場)

におかれた導線に、流れる向きを交互に変えた電流を流すことによって回転運動を発

生させます(図3)。

図4 直流モーターの動作原理

2.同期モーター

同期モーターは、回転子として直流モーターの導線の代わりに磁石を用い、固定され

た電機子に交流電流を流すことによって、電機子が受ける力の反作用として磁石を回

転運動させる仕組みです(図4)。

同期モーターの動作原理

3.誘導モーター

誘導モーターは、同期モーターの磁石の代わりに回転子として鉄を用い、固定された

電機子に交流電流を流すことにより回転子に誘導電流を発生させ、その電流と回転す

る磁場の変動によって回転子がつられて回転する仕組みを応用したものです(図5)。

誘導モーターは構造がシンプルで堅牢であり、負荷の変動に対して強く、推奨使用範

囲を瞬間的に多少はみだしても対応できる利点があります。

図5 誘導モーターの動作原理

誘導モーターの内、図6に示すような「かご形回転子」を持ち「三相交流電源」で動く

「三相交流かご形誘導モーター」が効率が良いことから主流で、産業用ポンプ等におい

ても数多く使用されています。従来は変速に難点がありましたが、インバーターが開

されたことにより、可変速装置としても広範囲に使用されるようになってきています。

図6 かご形回転子の構造

航空機や空飛ぶクルマに使われているモーターはこのタイプです。

かご形誘導モーターは、負荷と接続して一定電圧・一定周波数(例えば200V・60Hz)

の商用電源を投入した時、始動・加速・一定速に到る過程での最大限のトルク、電流・

すべりは変化する基本特性があります。

問題点

それでは、どんな問題点があるのでしょうか?

定速運転ではモーターにかかる負荷が大きくなるとモーターの速度は低下し電流は増加

し、負荷が小さくなるとモーターは同期速度に近く上昇し電流は減少します。モーター

に流れる電流が増加して過大になると、モーターが発熱し温度が上昇して遂にはモータ

ーの巻線を焼損してしまいます。従って、モーターの通常運転範囲は、モーターに必要

以上の負荷がかからない、即ち、連続運転できる定格トルクの範囲で運転する必要があ

ります。

回転機械は、用途等によってそれぞれ最も効率よく稼働できる特定の回転速度(範囲)

があり、モーターにも最も効率よく運転できる出力回転速度があります。回転機械の

必要回転速度は、モーターの出力回転速度より低いのが一般的です。従って、回転機械

が必要とする回転速度とモーターの出力回転速度を合わせるためには変・減速する装置

が必要です。

この様に、電気モーターは始動時に大きな負荷がかかりますが、一端回転してしまえば

負荷は少なくなります。そして、航空機のモーターとなると離陸や上昇中にはモーター

を高速で回転させなければならずかなりの負荷がかかります。そこで、変速機が必要に

なります。

また、長時間運転すると構成されている永久磁石やコイルなどが高熱になってきます。

その素材にも、レアメタルなどが使用されています。

航空機のモーター

KITE MAGNETICS が「世界で最も強力な」航空機用電気モーターを発表

Kite Magnetics は、新しいナノ結晶磁性材料と高度な製造方法を組み合わせて、

世界最高性能の電気モーターを製造しています。

Kite Magnetics は、120 kW の空冷式電気モーターを発表しました。これは、

航空機用としては世界で最も強力であると、Avalon Air Show で発表されました。

電気モーターは、アモルファス金属マトリックス内のナノスケールの結晶で構成され

るナノ結晶磁性軟質材料であるエアロパームと呼ばれる材料から作られています。

この磁性材料技術により、電気モーターの部品で浪費されるエネルギーを10 倍以上

削減できます。これは、非常に高い電力レベルでも空冷を使用できることを意味し

ています。これにより、当社のモーターはよりシンプルで信頼性が高く、非常に軽量に

なりました。

Kite Magnetics によると、このモーターは小型車のエンジンよりも強力ですが、

重さはスーツケース一杯ほどしかありませんと言っています。

Kite Magnetics は、オーストラリアのメルボルンのモナッシュ大学材料科学工学科で

鈴木清典教授、リチャード パーソンズ博士、李子玉博士によって共同で始まりました。

2022 年、Kite Magnetics はモナッシュ大学から正式にスピンアウトし、航空機用の

新しいクラスの電気モーターの開発を開始しました。

ロッキード・マーチンがメガワット級の電気推進開発者 H3X を支援

ロッキード マーチンは、50 席から 100 席の航空機に電力を供給するために必要な電

力密度とフォールト トレランスの飛躍的な進歩をもたらす、統合モジュラー モーター

ドライブの開発において、テクノロジー スタートアップの H3X を支援しています。

米国の航空宇宙および防衛大手の H3X への投資の価値は、2 月 28 日の発表では明ら

かにされていませんが、H3X の資金調達総額は 900 万ドルになります。

H3X によると、同社のエンジニアリング チームは最大 10 kW/kg の連続比出力定格

を達成しています。これは、電磁気学、材料科学、パワー エレクトロニクス、付加製造

モーター制御、熱コンポーネントなどの技術の進歩に基づいていると述べています。

同社は、新しい設計または既存のプラットフォームの改造のいずれかで、全電気および

ハイブリッド電気航空機にそのドライブを使用する予定です。これらは、ギアボックス

なしでプロペラまたはハイバイパス ターボファンを駆動するために使用できます。

H3X によると、インバーターを含む推進システムのすべての要素を 1 つのハウジングに

統合することで、高価なフェーズ ケーブルやコネクタなど、必要なハードウェアの質量

が削減されます。理論的には、モジュール式 HPDM-3000 を最大 6 段までスタックして

さらに大型の航空機に最大約 17 メガワットの推進力を供給することができます。

H3X は、同社の電動モーター ドライブがより軽量でエネルギー効率に優れていると述べています。

H3X は、同社の電動モーター ドライブがより軽量でエネルギー効率に優れていると述

べています。(画像:H3X)

まとめ

航空機用電気モーターは、高出力が要求されます。いかにバッテリーから得た電力を

効率的な推進力に変換するかが課題です。

効率化と共に重要なのが、本体の重量と小型化です。高出力を生み出すには、大型の

電磁コイルと永久磁石が必要です。これらの形状や重量をいかにコンパクトにするかが

課題になってきます。

まだまだ課題は解決していませんが、近い将来技術の進歩によって優れた製品が誕生

することでしょう。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

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