皆さんこんにちは!
航空宇宙産業は決定的な新時代を迎えています。需要は高まり、持続可能性は譲れないも
のとなり、レジリエンス(回復力)はパフォーマンスと同様に重要になっています。
重要なのは、世界的なサプライチェーンを強化する取り組みです。
エアバス:デジタル化がサプライチェーンのレジリエンス強化を促進
レジリエンス(回復力)はパフォーマンスと同様に重要
ドイツのハンブルクで開催された2025年ハンブルク航空フォーラムの初日に講演した
エアバスの新任最高調達責任者、ブノワ・シュルツ氏は、進化する課題を緩和するための
航空宇宙産業の継続的な取り組みについて振り返りました。
重要なのは、世界的なサプライチェーンを強化する取り組みが、過去5年間に新型コロナ
ウイルス関連の複雑な問題に数多く直面してきた業界の回復力に新たな脅威が挑戦している時期に行われていること。
「近年、航空業界は歴史上最も厳しい試練に直面しています」とシュルツ氏は説明しまし
た。航空業界はここ数年で「さらにグローバル化」し、シュルツ氏はそれが「強み」を増し
たと考えているものの、同時にトレードオフも伴う。「複雑であることは必ずしも堅牢性を
意味するわけではなく、グローバルであることは脆弱性にもなり得ることを私たちは学び
ました」と彼は続けました。「この教訓により、効率性を何としても追求するという考え
方から、戦略的必須事項としての回復力と堅牢性へと意識が転換しました」
シュルツ氏は特に、「変化のスピードは加速している」と考えています。これは、国家の
政治的不安定、貿易障壁の複雑さ、そして原材料、部品、技術へのアクセスを阻害する地政
学的緊張の高まりといった要因が重なり、その要因となっています。こうした継続的なリス
クを管理する能力は、航空機需要の増加が予測される中で特に重要となります。エアバス
が2025年6月に発表した年次世界市場予測では、今後20年間で世界中で約5万機の運用航空
機が稼働すると予測されています(そのうち新規納入は約45%を占める)。
より良い「予測」が不可欠
そのため、「混乱から回復するだけでなく、より的確に予測できるサプライチェーンを構築
すること」が、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう。「今日のコミットメン
トを遂行できるほど強固で、明日の不確実性にも適応できるほど機敏なサプライチェーンを
構築すること」が、シュルツ氏は強調しました。
実際には、これは産業の回復力(利用可能な容量の活用と安定性の計画)と運用の回復力
(透明性、潜在的な混乱をできるだけ早く特定する能力、混乱を緩和する対策を含む)を組み合わせることを意味します。
デジタル化の導入拡大は、これらの戦略を進化させる上で重要な役割を果たすでしょう。
「レジリエンスを基盤と定義するならば、デジタル化はアクセラレータでなければならない
と長年言われてきました。今日では、これはもはや技術プロジェクトではなく、ビジネス上
の必須事項であり、長期的な安定性と競争力の基盤となっています」とシュルツ氏は述べ
ています。しかし、彼は、拡張デジタル化の取り組みがサプライネットワーク全体に価値を
もたらす一方で、「デジタル化とは人々を困惑させることではなく、より優れた洞察力と
意思決定のためのより優れたツールによって人々を拡張することなのです」と強調しました。
新たなコラボレーション
2025年に開始された新たな共同プロジェクトは、分散型デジタルエコシステムに向けた
重要な一歩となりました。DECADE-X(航空宇宙と防衛のためのデジタルエコシステム)
は、創設パートナーであるブーストエアロスペース、コリンズ・エアロスペース、リープヘ
ル、タレスと共に開始されました。この共同プロジェクトは、「多層的なコラボレーション
ソブリンデータ交換、そして完全な相互運用性を実現することを目指しており、中小企業にも適応可能です」とシュルツ氏は説明しました。
エアバスは、2024年1月からフランスで運用されている「エアロ・エクセレンス・インター
ナショナル」イニシアチブに参加しており、企業の長期的な安定性強化を支援するという
同社の意図をさらに明確に示しています。このプログラムは、3つの成熟度レベルにわたる
5つの領域で活動し、世界的に認められたエビデンスに基づく一連のプロセスを通じて、
参加者が自社の成熟度とレジリエンスを把握できるよう支援します。これにより、複数の個別評価を行う必要がなくなります。
持続可能性は新たな価値の原動力
シュルツ氏は、持続可能性は「もはや報告業務ではなく、新たな価値推進力」であると認め
進化するサプライチェーンのエコシステムは「費用対効果が高く技術的に先進的であるだ
けでなく、環境にも責任を持たなければならない」ことを認識しています。
しかし、数々の課題にもかかわらず、彼の結論は楽観的なものだ。「世界がこれほど速く
進化し、業界環境も大きく変化してきたこと、そして私たちがいかに変化に適応してきたか
は、本当に驚くべきことです」と彼は思いを巡らせました。「世界がますます不確実にな
り、個人主義が台頭しつつあるように見える時だからこそ、私たちの業界は常に安定と結束の力となってきたことを忘れてはなりません。」
決定的な新時代へ:不確実な世界で、航空宇宙産業が果たすべき使命
今、私たちの見上げる空は、かつてないほどの変革の時を迎えています。
航空宇宙産業は、まさに「決定的な新時代」の入口に立っています。パンデミックの影が
薄れ、世界中で移動の自由が戻ると同時に、航空需要は爆発的に高まりました。空港の賑わ
いや満席のフライトは、人々の「繋がりたい」「移動したい」という根源的な欲求の強さを証明しています。
しかし、私たちが直面しているのは、単に「コロナ前に戻る」という単純な話ではありま
せん。この新時代において、業界のルールは根本から書き換わりつつあります。
避けられない「二つの軸」:持続可能性とレジリエンス
かつて、航空機の価値は「より速く、より遠くへ、より多くの人を」運ぶパフォーマンスで
測られてきました。しかし今、その基準に決定的な要素が加わりました。「持続可能性
(サステナビリティ)」と「レジリエンス(回復力)」です。
気候変動への対策は、もはや企業のCSR活動の一環ではありません。それは、航空産業が
将来にわたって存続するための「譲れない条件」です。化石燃料からの脱却、電動化、
水素技術、そして持続可能な航空燃料(SAF)の普及。これらは待ったなしの課題であり
環境負荷を低減できない機体やシステムは、市場から淘汰される運命にあります。
そしてもう一つが「レジリエンス」です。近年のパンデミックや地政学的な対立は、私たち
のサプライチェーンがいかに脆いものであったかを痛感させました。どんなに高性能な機体
を設計しても、部品が一つ足りなければ空を飛ぶことはできません。パフォーマンスの追求
と同じくらい、予期せぬショックから素早く立ち直る「回復力」を持つことが、企業の生命線となっています。
巨人たちの挑戦:エアバスとボーイングの責務
業界を牽引するエアバスやボーイングといった巨人たちも、この荒波の只中にいます。彼ら
は、これまでの成功モデルに安住することは許されません。
喫緊の課題は、脆弱性が露呈したサプライチェーンの抜本的な拡充です。特定の地域や企業
に依存しすぎない、柔軟で強靭な供給網を再構築しなければなりません。同時に、持続可能
な技術へのシフトを加速させる必要があります。これは莫大な投資と技術革新を伴う痛みを
伴う改革ですが、避けては通れない道です。彼らの決断と行動が、業界全体の未来のスタンダードを決定づけることになるでしょう。
分断の時代における「結束の力」として
私たちが生きる現代社会に目を向けると、そこには「不確実性」が渦巻いています。国際
情勢は不安定さを増し、各地で内向きな個人主義や自国第一主義が台頭しつつあるように
見えます。世界は分断され、人々は不安の中にいるかもしれません。
だからこそ、私は強く思うのです。このような時代だからこそ、航空宇宙産業が歴史的に果たしてきた役割を忘れてはならない、と。
空の道は、国境を越えて人々を物理的に結びつけてきました。遠く離れた文化や経済を繋ぎ
相互理解の基盤を築いてきました。私たちの業界は、常に世界に「安定」と「結束」をもたらす力であり続けてきたのです。
技術的な課題、環境への責任、供給網の再構築――目の前には難題が山積しています。
しかし、空を通じて世界を繋ぐという私たちの使命は、これまで以上に重要性を増しています。
この決定的な新時代において、持続可能で強靭な翼を手に入れ、分断されがちな世界を再び
強く結びつける。それこそが、これからの航空宇宙産業が目指すべき未来図なのではないでしょうか。



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