UPRT JAPAN INITIATIVE — SPECIAL FEATURE
日本のパイロット養成に、
革命を。
— HIEN Aero Technologies が示した
「新しいフライトトレーニングのかたち」 —
原典:HIEN Aero Technologies 株式会社「新しいフライトトレーニングのかたち — 日本の操縦士養成に革命を。」(2026 Japan Drone 展配布パンフレット案)
編集・解説:UPRT JAPAN INITIATIVE
公開日:2026年5月25日
御法川先生率いる HIEN Aero Technologies が、Japan Drone 2026 で配布されるパンフレット案を公開されました。「新しいフライトトレーニングのかたち — 日本の操縦士養成に革命を。」——このタイトルが示す通り、本提言は、現在の日本航空訓練が直面する構造的危機への、極めて明快な処方箋となっています。本記事では、その内容を翻訳・解説するとともに、UPRT JAPAN INITIATIVE の構想との「共鳴」について述べたいと思います。
1. 現状認識——日本の操縦士養成が抱える構造的危機
HIENのパンフレットは、現状認識から始まります。きわめて率直に、しかし深く。
「エアラインパイロットを頂点とする日本の操縦士養成は、様々な構造的問題を抱えています。
旧態依然とした訓練機材、航空機部品の高騰、深刻な人材不足などにより、国内のフライトスクールは訓練規模の縮小、訓練期間の長時間化を余儀なくされており、当面の間増大するエアラインパイロットの需要に応えることが全く出来ない状況です。」
この一文の重みは、現場を知る者ほど深く感じられるはずです。「全く出来ない」と断言する HIENの姿勢に、私は強く共感しました。問題の本質から目を背けないこと——それが解決への第一歩です。
そして HIENはここに、もう一つの喫緊の課題を加えます。
「無人航空機やAAM(次世代エアモビリティ)の運航者養成も喫緊の課題になっています。」
有人機の訓練すら回らない中で、無人機・AAM時代を担う新しい運航者をどう育てるのか。日本の航空産業は、二重の人材危機に直面しているのです。
2. HIENが描く「新しい教育の姿」——4つの柱
この危機に対する HIEN の答えは、明快かつ大胆です。4つの柱から成る、新しい教育のかたち。
LSAの全面活用で劇的なコスト低減
Light Sport Aircraft(軽スポーツ機)を全面的に活用し、従来の訓練コストを大幅に低減。より多くの人材が継続的に飛行経験を積める環境を実現。
UPRTを各フェーズで導入
Upset Recovery Training(異常姿勢回復訓練)を各訓練フェーズで導入し、失速・姿勢喪失などクリティカルなリスクへの対処能力を強化。安全性を重視した実践的教育を提供。
AAAコンセプト(AI・AR・AAM)を積極活用
AI(データ解析・個別最適化学習)× AR(視覚的支援による理解向上)× AAM(次世代モビリティを見据えたスキル教育)を積極活用し、小型有人eVTOL時代を見据えた人材育成を実施。
積極的な産学連携
大学・研究機関・企業との積極的な産学連携により、実機運用・研究開発・先端技術教育を融合した、新しい航空教育モデルを構築。
3. LSAという「機体プラットフォーム」
パンフレット2ページ目では、教育の中核となる「LSA」について、より詳細な解説が展開されます。HIENは、LSAを単なる訓練機としてではなく、「日本の航空産業の入口を再設計する戦略的プラットフォーム」として位置づけています。
LSAの3つの戦略的意義
| 領域 | 戦略的意義 |
|---|---|
| ① 実用性 | 最大離陸重量約600kg・巡航速度200km/h前後。短い滑走路でも運用可能、燃費・整備コストが低い。地方空港や飛行クラブの活性化、操縦士不足対策として日本への導入メリットが極めて大きい。 |
| ② 教育の経済性 | 低速安定性に優れ、初期操縦訓練に最適。Rotaxエンジン搭載機では燃料消費も少なく、維持費を抑えながら運航可能。グライダー曳航・地域航空スポーツ振興にも高い効果。 |
| ③ AAM時代の基盤 | Performance basedという新しい概念で規定され、電動化や新技術との親和性が高い。小型有人eVTOLを含むAAM(Advanced Air Mobility)分野の基盤カテゴリーとして注目される。 |
とくに③の 「Performance basedという新しい概念」という表現に、HIENの哲学が凝縮されています。これは御法川先生が研究で長く提唱してこられた「仕様規定型から性能基準型へ」のパラダイムシフトそのもの。LSAは、その思想を物理的に体現する機体カテゴリーなのです。
4. 導入可能機種——具体的な選択肢の提示
HIENの提案が単なる構想に終わらない強みは、具体的な機体を2機種、すでに導入候補として明示している点にあります。
CANDIDATE 01 · CZECH REPUBLIC
Orlican M-8 EAGLE
長い航空機製造の歴史により培われた技術力と信頼性を活かした、複合材製の高翼機LSA。広い視界とキャビンが特徴の新鋭機。
CANDIDATE 02 · CZECH REPUBLIC
BRM Aero Bristell B23
世界で高い人気を誇る全金属製LSA。美しいデザインと快適性を兼ね備え、同型機でPart23型式を得るなど信頼性も高い。
両機種ともチェコ共和国製。チェコは LSA 製造において世界トップクラスの実績を持つ国であり、ASTM コンセンサス規格に基づく信頼性の高い機体を多数供給しています。とくに Bristell B23 が「Part 23 型式を得るなど信頼性も高い」と評されている点は重要——LSAでありながら一般航空機の認証基準にも適合するということは、御法川先生の論文が示す「シームレス化」——LSAから Part 23への滑らかな知見転用——が、すでに現実の機体において始まっていることを意味します。
5. UPRT JAPAN INITIATIVE との完全な共鳴
ここで、私自身が長年提唱してきた UPRT JAPAN INITIATIVE の構想と、HIENの提言とを並べてみたいと思います。驚くべき一致を確認することになります。
構想の対照表
| テーマ | HIENパンフレットの提言 | UPRT JAPAN INITIATIVEの構想 |
|---|---|---|
| 機体プラットフォーム | LSAの全面活用 | MOSAIC改正対応LSAでの訓練機転換 |
| 安全訓練 | UPRTを各フェーズで導入 | APS EPIC-S2標準のUPRT必修化 |
| 未来技術 | AAAコンセプト(AI・AR・AAM) | AI×AR×AAM統合フレームワーク |
| 連携 | 積極的な産学連携 | HIEN × 法政大学 × UPRT JAPANの3者統合 |
この一致は、偶然ではありません。これは、日本の航空訓練が直面する課題に真摯に向き合った時、辿り着く必然の解なのです。HIENが、UPRT JAPAN INITIATIVEが、そして御法川先生の研究室が——それぞれ独立して、同じ場所に辿り着いた。この事実こそが、構想の正しさを最も雄弁に証明しています。
独立して同じ結論に至った3者がいる時、
それはもはや「アイデア」ではなく、
「時代の要請」と呼ぶべきものである。
6. Japan Drone 2026 ——共創の第一歩
HIEN のパンフレットは、2026年6月3〜5日に幕張メッセで開催される Japan Drone 2026 での配布が予定されています。同時期に御法川先生が登壇され、AAMスケーラブル開発について講演されます。そして UPRT JAPAN INITIATIVE も、この場で本格的な活動を社会に発信します。
この3者が同じ日、同じ場所で、ほぼ同じメッセージを発するという事実。これは 意図された連携の結果ではなく、それぞれが独立して導き出した答えの「共鳴」です。だからこそ、これからの動きには本物の力があると、私は確信しています。
JAPAN DRONE 2026 — MAKUHARI MESSE
2026年6月3日(水)〜5日(金)
幕張メッセ 国際展示場
HIEN Aero Technologies × 法政大学 × UPRT JAPAN INITIATIVE
7. 結びに——「革命」という言葉の重み
HIENのパンフレットのタイトル「日本の操縦士養成に革命を。」——この「革命」という言葉は、決して大袈裟ではありません。LSA、UPRT、AAA、産学連携——この4つを統合的に実装することは、日本の航空訓練の構造そのものを根底から作り直すことを意味します。それは、まさに革命と呼ぶに値する変化です。
しかし、その革命は破壊的ではなく、建設的であってほしい。既存のフライトスクールを否定するのではなく、それらが新しい時代に適応するための選択肢を提供すること。これが HIEN・法政大学・UPRT JAPAN INITIATIVE 3者の共通した姿勢であると、私は理解しています。
来るべき Japan Drone 2026 で、この「新しいフライトトレーニングのかたち」が、多くの方に届くことを心から願っています。そして本ブログをご覧の皆様には、ぜひ会場で実物のパンフレットを手に取り、HIENブースを訪ねていただけたら幸いです。
新しいフライトトレーニングのかたち。
それは、日本の空の未来を、すべての人に開く扉である。
HIEN Aero Technologies、法政大学、UPRT JAPAN INITIATIVE——
3者の共鳴が、いま、確かなかたちになろうとしている。
本件に関するお問い合わせ
参考資料
- HIEN Aero Technologies 株式会社「新しいフライトトレーニングのかたち — 日本の操縦士養成に革命を。」(Japan Drone 2026 配布パンフレット案)
- 法政大学アーバンエアモビリティ研究所「日本におけるAAMのスケーラブルな開発プロセス — LSAの視点から」(御法川学 教授)
- UPRT JAPAN INITIATIVE 公式ブログ「遙かなる大空」
- APS Aviation Performance Solutions — EPIC-S2 標準
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